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2014年06月04日

ロイター発

市 (2014年06月04日 06:06) │Comments(0)語りのプラザ
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0EE0KF20140603

Clyde Prestowitz

[2日 ロイター] - 安倍晋三首相は先月会見し、密接な関係にある他国が攻撃された場合に日本が守る集団的自衛権の行使容認に向けた検討を加速する考えを強調。具体例を提示し、現在検討を進めている。

日本は憲法により戦争に従事することが禁じられている。日米安全保障条約の正称には「相互」という言葉が使われているが、実際にそうだったことは一度もない。米国が日本の防衛を一方的に保障するというのが常だ。

これは長い間、米国の外交政策には好都合だった。米国政府は、潜在的な脅威に対して、厄介な同盟国に頼るよりも、前方で防衛の指揮を執ることを好んできたからだ。

米国は日本を、最重要の前線基地として、特にアジア太平洋地域を監視する第7艦隊の拠点として利用している。そのため米国は、憲法解釈を拡大して米国や国連の平和維持活動への貢献拡大するよう日本に対して静かに迫る一方で、概してその平和主義的政策を支持してきた。

米国の国内総生産(GDP)が世界の約半分を占め、アジア太平洋地域で米軍が完全な支配力を握り、米国と日本の利害がほぼ一致していたころには、それは米国が取るべき正しい政策だったかもしれない。だが、こうした状況はもはや過去の話だ。

現在の米GDPは世界の約22%であり、この先15%まで下がる見通しだ。また、相対的な軍事力も変化している。例えば、1995年に台湾と中国本土の緊張が高まったとき、米国は台湾海峡に空母2隻を派遣したが、現在同じことはしないだろう。日米の利害も同程度には合致しない。

日本が実効支配し、中国も領有を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)のことを考えてみてほしい。尖閣諸島は米国にとって、戦略的・経済的価値を持たない。だが、日本国憲法の特殊性と日米安保条約から、尖閣諸島をめぐって米国が中国と戦争を始める可能性もある。

安倍首相のこうした動きは、アジアの多くの国から疑いのまなざしで迎えられ、時には猛反対を受けるだろう。米国からも抵抗する声が一部上がるかもしれない。その背景には、アジアでいまだ癒えることのない第2次世界大戦で受けた傷や、政治的便宜主義があるだろう。また米国では、安倍氏が過去に反米的政治家だったとして懸念する声もある。

しかしながら、こうした懸念から、安倍首相の提案に対する米国の支持を妨げてはならない。道理にかなった発言をした安倍首相を支持したからといって、同氏の主張全てに米国政府が同意する必要はない。

一部の同盟国と中国との地域的な問題の結果として、米国が中国と対立しかねないリスクが一段と高まっている。日本が自国と同盟国の防衛に、より大きな責任を担うことによって、米国民が危険にさらされるリスクは減少するだろう。

米国政府は、アジア諸国から反対の声が上がるのは必至であろうとも、安倍氏の提案を支持するだけでなく、歓迎すべきなのだ。

*筆者のクライド・プレストウィッツ氏は、レーガン政権時代に商務省に勤務し、日本、中国、中南米との通商・投資交渉を担当。現在は米経済戦略研究所の所長を務める。著書に「日米逆転 成功と衰退の軌跡」「東西逆転 アジア・30億人の資本主義者たち」など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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Posted by 市 at 06:06Comments(0)語りのプラザ
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