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2017年11月03日

破産のススメ

市 (2017年11月03日 11:18) │Comments(4)語りのプラザ
ご紹介ありがとうございます。
こちらに、「破産のススメ」の前書き全文をご紹介します。

はじめに 今年、平成二十九年三月、私が代表取締役社長であった会社の破産と、私個人の破産を決断しました。 裁判所の司法統計によると、平成二十七年度の破産申立件数は約七万件でしたが、私も今年の統計ではそのうちの一件になってしまいました。 タイトルの「破産のススメ」ですが、本来おすすめすることではありません。 なぜなら、すべての債務を踏み倒すことになりますし、私も今回の件では、たくさんの方々に、多大なご迷惑をおかけすることになりました。 御迷惑をおかけした方々には、この場をお借りいたしまして、深くお詫び申し上げます。 今回私は、どうにもならないところまでいって破産をしましたが、もっと早い段階でやめていたら、ご迷惑をおかけする範囲はもっと小さくできたと思います。その経験も踏まえて、今現在苦しい状況の方々にはよく考えていただけたらと思います。 破産にいたった経緯は本編でおいおい書いていきますが、実際のところ破産がどういうことなのかは意外と知られていないと思います。 私自身がそれまで破産ということに対して持っていたイメージは、なんだか大変な事、恐ろしい事、なにもかも終わってしまうのではないか? という漠然とした恐怖でした。映画やドラマに出てくるような、債権者が押しよせて責めたてられるようなシーンを頭の隅で想像していました。 とくに日本では、「借りたお金はなにがなんでも返さなければいけない」というのが倫理的にも道徳的にも強く、その為に途中で白旗を上げることもできずに、最後の血の一滴まで流しきってしまうような経営者の方も多いと思います。 私自身、今年の三月には、もうこれ以上資金繰りや経営を継続することは無理だと判断しましたが、それがすぐに破産の申立につながっていたかというと、必ずしもそうではありませんでした。 それほどに破産の実態も知らず、破産するための法的な手続きや、それによって生じるメリット・デメリットも知らず、それが行動にうつせない最大の障害になっていたようです。 それに、いざやめるにしてもそれまでの経緯がありますから、いきなり破産という結論に飛びつくのも難しかったのです。経緯はどうあれ、会社で仕事をしている従業員やその家族、継続中の仕事など、その時の自分の立場を無責任に放り出すということができなかったのです。多くの借金を抱えた赤字体質の会社経営の中で、私はとても長く惨めな時間を過ごしてきました。 それでも、どうにかしよう、なんとかしようと頑張ってみましたが、現実はドラマのようなわけには行かず、ダメなものはダメでした。 そしてついにもうこれ以上続けることはできないところまで追い詰められて破産を決断することになりましたが、いざ破産することになってみると、「なぜもっと早くしなかったんだろう?」そう思うほどに、破産することのデメリットは私にとって小さいものでした。 いずれにしろ、これ以上会社を続けることは無理だと判断し、三月に動き出してから約五ヶ月後の、八月九日に東京地方裁判所から免責が許可され、ようやくすべての手続きが終わりました。 この本の中では、私が実際に経験した体験談とともに、破産の実態や手続きについて書きました。 法律的な部分については、実際に本件を担当していただいた、藤田智弘弁護士監修のもと、できる限り正確を期しています。 東京地方裁判所から免責(債務に対する責任を免除される事)が許可された今、破産の実態をより多くの人に知っていただき、今も悩み苦しんでいる中小企業の経営者の方々に、少しでも本書がお役に立てれば幸いです。
elan



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Posted by 市 at 11:18Comments(4)語りのプラザ
この記事へのコメント
先程、アマゾンで「ポチッ」とやっちゃいました。
この前書きを読んでしまうと、さすがに我慢出来ないでしょう。
届くのが楽しみ楽しみ。

仕事、職業。
大手企業のサラリーマンや公務員の安定か、本当にやりたい事へのチャレンジか。
選択の自由があるか無いか。

選択の自由ってのも重要ですよね。
友人にもいます、自営業を親から引き継いだのが。
子供の頃から家業を継ぐことを決められてました。大学も家業のための学校へ。
本人は当然の事と受け入れてましたけど、適性ってのもあると思うんですけど。

本当にやりたい事?。いやいや、本当はやりたかった事?。私はいまだに思いますよ、戦闘機パイロットになりたかった、って。
現実はフツーのサラリーマン。
まぁ、これはこれで良し!ですけど。
Posted by MIZ at 2017年11月03日 18:23
>MIZさん

お買い上げありがとうございますm(_ _)m

個々人選択の自由はあるはずなんですが、教育段階でその選択肢が狭められているので、どこかではみ出さないと、やりたいことが見えないということはありますよね。
それにやってみないと、それが自分の本当にやりたいことかどうかも、若いうちはわかりませんし。

ご友人が家業を継がれたことですが、それも自分の仕事として受け容れて、やりがいのあることとして取り組んでいかれるのなら、むしろ恵まれているのかもしれませんし、適性もやってみないとわかりませんしね。
私の周りには二代目がたくさんいましたけど、なかなか難しそうでしたが。

実は私もパイロットへの憧れはありましたが、あまり心に残っていないので、子供の憧れ程度だったのでしょう。
色々な憧れや希望は擦り切れて、もう思い出すことも難しいのですけど、それはそれで未来を考えることで埋め合わせようと思います。

とりあえず、まだ駆け出しですけど、作家にはなりましたしね。
Posted by elan at 2017年11月04日 08:29
elanさんの「破産のススメ」1回目を読み終わりました。
「大変でしたね。区切りがついて良かったです」。としか言葉をかけれないほど重い。
自分が起業した会社ではないところがまた辛いですよね。外から見ると道連れにされた感があって。

厳しい経営状態の中小企業は多いのでしょうけど、立ち行かない経営の辞め時ってのは経営者自身は見極めれないのですかね。事業を伸ばすこと維持することならともかく、辞め時なんて考えないか〜。そうだよな〜。

それにしても、この内容をよく書かれたと思います。
悩んでる企業経営者にとっては手引書になり得る内容ですもの。
そして、もしかしたらもしかしたら、人の命を救うきっかけにもなり得ますものね。


それにしても、公的機関の書類ってどうしてこんなに難しい名前にするの?。
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届とか雇用保険被保険者離職証明書とか。
こんなのスグに覚えられないよ。イジメなの?。窓口で言われても必ず「えっ?」って聞き返すでしょ?。
Posted by MIZ at 2017年11月05日 12:15
>MIZさん
読了ありがとうございます。
人生には時として罠が口を開けている時があります。
私もハメられたわけではありますまい。
結果そうなってしまったとしても。

実際、やめるにやめられなかったというのが本当のところです。
会社自体は法人化して四十一年目、事業自体は戦前から営んでおり、地元ではそれなりに名のある会社でしたし、仕事とお金さえ回っていれば、自分に余裕はなくとも、とりあえず生活できれば、それを覆してまでという選択は取りづらい。
それに仕事はずっと続いていましたし、従業員の生活も考えなければならないし、会社実体の整理も実際大変でしたから、想像しただけで、続けられるものならという思考に縛られていました。
破産の手続きや実態を知らなかったことも大きかったです。

本編ではごっそり削りましたが、会社を引き継ぐ時には、自分の借金はキレイになっていたのですが、その後、震災の少し前に亡くなった母からは700万ほど借りて注ぎ込み、私自身も運転資金のために個人で500万ほど金融機関から借り入れしてそっくりツッコミ、その後母が亡くなって口座に残っていた500万も消え、取れなかった給料もおそらく数百万、それらすべて、言ってしまえば赤の他人の会社のために失いました。
ですが法律的には私の責任になっていたんですよね。
だから本にも書きましたが、個人のお金を出さねばならなくなった時が、やめるかどうかのボーダーラインだと思います。

本も内容的に、破産者自身がここまで詳細に書いたものはあまり無いはずなので、それなりに価値のあるものだと自負しています。
小規模経営者にできるだけ多く届くといいのですけどね。
おそらく東京オリンピックのあと、五年ほどの間にひどいことになると思います。

年金関係とか雇用関係は本当にわけわからないですよね。
なんちゃら機構とか、もうなにやってるのかわかりません。というわけにもいかないので、事務に任せていた手続きも結局全部私がやるハメになりましたが、とにかくこれで終わるという一心で頑張ったらなんとかなりました。
それに昔と違って、今は窓口の対応も優しいですしね。

今改めて本をめくってみると、漢字が多いですね(笑)
自分でもよく書いたものです。
Posted by elan at 2017年11月06日 07:33
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