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2014年03月23日

AR-180 Howa

市 (2014年03月23日 13:45) │Comments(5)記事
AR-180 Howa

AR-180 Howa

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AR-180 Howa


                     AR-180 

     ★TV映画 SWAT★
 移民となり、サンフラン スィスコの街に着いたのは、たしか31歳のころでしたよ。この新天地で知る人はなく、持ち金は少なく、その時はものすごい不景気で失業者があふれており、皿洗いの仕事を見つけるのに毎日ダウンタウンをほっつき歩いて1ヶ月以上もかかってしまうという就職難でした。
 でもなんとか日本風のレストランにもぐりこんで、テンプラを揚げるという職にありつき、ようやく落ち着いたところでテレビが欲しくなって1番安い80ダラのモノクロ TV を買いました。
 そのときやっていたのが 「SWAT」 という番組で毎週楽しみに観ていたのです。
 そんなある日の SWATです!
   ワルモノがいて、軍の倉庫だったかに侵入し「特別に凄い高性能なライフル」を奪って街に出たのですよ。この危険極まる犯罪者に SWATは敢然と立ち向かい、どうやったかは覚えていませんが、とにかく犯人をヤッツケてメデタシとなりました。
 物語はいつものようにタアイのないものなので心に残ることはありませんでした、が、その日の番組からは鮮烈に刻まれたものがありました。
 それは犯人が盗んだテッポーなんです!!
   犯人も盗む時に嬉しかったのか、その銃をオモムロにキャメラに見せびらかすようにし、キャメラもまるで待ち構えていたようにその銃をナメルように写しましたよ。笑
 “あっ!! AR-18だぁ~”
 その特徴ある姿がガーンと心に焼き付いてしまったのですよ。
 “ほ、ほしい、欲しい!!!・・・”
 熱病の始まりですね。
 サンフランに着いたものの銃を買うほどのオカネはなく、何を買うかさえ考える余裕すらなかったのですが、ひとまず夜の職を得て昼間は英語学校に通うという生活パターンができ、心にゆとりができたのです。
 人が浮気や恋をする時って、たいていは、こういう「心のゆるみ」が出た時なんです。
 そして、恋というのは、女が相手とはかぎらず、時としてモノへの恋ってあるわけなんですよね。で、こっちの方が安上がりですし。
 そこで早速AR-180の値段を調べます。すると250ダラでした。AR-18はフルオートで、180は民間用のセミオートなのです。
 ウチの全財産2,800ダラ。買えない額ではありません。しかし月給は380ダラ・・・タマや付属品も買うとなれば一月分の給料が無くなります。
 “やはり、今はやめておこう・・・”
 慎重なワシは自重しましたよ。
 しかし、恋心が冷めたかといえば、それが燃えさかるばかりなんです。そこで、どうすればよいかジッと考えたのです。
 “今、カネを倹約できるといえばバス代くらいのもの、それもビビたる金額・・・いやまてよ、2年間バスに乗らなければ AR-180が買えるではないか・・・よしっ!!”
 その日から職場まで走りました。
 片道30分。1ダラで買った中古のジーンを履いたワシが颯爽とサンフランのダウンタウンを走るようになったのは AR-180のせいだったのです。

 「50歳にて死ぬることと決めよ、未来を想い患うなかれ」

 と、そういうテツガクで渡米したわけですが、でもこの時期は妻が音楽学校に通っていて経済的に最も苦しい時期でした。AR-180を買うという目標を立てることで自分を元気づけたのだと想います。
 
 この想い出は70歳となった今でもワシの心に鮮明に残り、あの熱い気持ちと実行力を忘れてはならないと自分を戒めています。

 その後、学費の支払いでさらに貯金は減り、とうとう全財産170ダラという窮地までいきました。まあ、それを想定していたので AR-180は買わなかったのですがね。
 “いよいよ脇目もふらずに働く時だ!” 
  と決意し、学校もレストランも辞めて観光ガイドをやったり大林建設USAに売り込んで建築写真を撮ったりしながら暮らし、やがて Gun誌の仕事も始めました。
 始めの頃は Gun 誌の記事のギャラは180ダラでしたが、それを回すことでテッポが買えるようになっていきます。ガイドの収入は千ダラを超えていたので、今の日本でいえば30万円くらいの月収があったことになります。こうなると収入の1/4ほどという AR-180の値段はキツイとは感じなくなりました。
 なので、バス代を倹約しはじめてから1年と経たずして、夢のAR-180を買うことができました。  

    ★豊和のAR-180★
 いや~、ようやく買えた AR-180!!
   たいしたものです。
 かっこいいですし、恋するほどに憧れでしたからね~♪
 で、それはイギリス製でした。アメリカのアーマライト社のテッポなのにイギリス製だというのです。でも、イギリス製となれば聞こえがいいので安心して撃ちましたよ。
 すると、れれれ??
   ジャムるのですよ。ヤッキョウが出てこずイジェクションポートに引っかかるんです。ワンマグなんて撃てません。オリジナルのスコープを載せて撃ってみると50mで5cmくらいの精度だったと想います。
 百年の恋は数日で冷めました。
 美人でなくてよい、健康な身体を持ち炊事洗濯をキチッとやってくれる女性がほしいんです。それだとコッチも頑張って働けます。
 “AR-180ってダメですね~”
 と、ワシは言うようになりました。ムカシ恋した女の悪口を言うもんじゃありませんよ、でもまあそれがモノであり事実だったらゆるされますよね。すると・・・
 “キミのはホーワではないな? AR-180はホーワ以外はダメだよ、ホーワにしなさい”
 と、ガンショウでオジサンに言われました。そしてガンショップでもどこでも同じ事を言われました。
 「AR-180は豊和製でないとダメ」
 と、これはアメリカではほとんど常識となっているらしいのですよ。

 そして年月は惜しみなく流れました。
 ワシは70歳のジーサンとなりました。
 なんと40年近くもテッポに漬って生きてきたのです。

 “そのテッポ、くれんかね~?”
 と、メイカーに言えば
 “カーシコーマリマシータ~! ”
 と、言われるほどに出世しました。
 そして、市老がここで観ていただくのは、言わずとしれた豊和のAR-180なのです。
 
      ★最も89式に近い銃★
 なぜ今に AR-180か??
 それには目的があります。
 この銃は数あるライフルの中で最も89式に近いのです。
  AR-180は、アーマライト社が開発し、豊和工業が下請けで製作し輸出していました。そして後に89式を開発するにあたり、このアーマライト銃をコピーしたわけです。
 
 そこで、この銃を撃ってみることで89式の特徴や命中精度を探ることができるのではないかとワシは想ったわけなのですよ。

 89の精度を探ってどうすんだ、ですって?
 はい、それには目的があるのですよ。

 去年の五月、軍隊が集まって射撃競技会があったそうですね。
 場所は、オーストラリア。
 参加したのは日本の自衛隊、そしてアメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ニューカレドニア、ニュージーランド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイと東ティモール。さらに中国やトンガなどからも来年参加するためにオブザーヴァーとして来ていたというウワサもあります。

 競技は、各国の正式採用のライフルや拳銃などで競われたらしいです。
 日本は、精鋭無比と長年に渡って自称する「空挺団」から選手を送ったそうです。
 で、結果はビリから二番目だったと。
 敗因は、400m という距離も撃たされ、銃の装備が競技に適していなかった言う説が多いようです。
 
 各国が500mを射撃できる装備の銃を持ってきたのに空挺団ティームは、ダットサイトだけの89式だったと聞いています。
 アソルトライフルでの試合となれば、5、25、50、100、そして200m どまりでいいと想うのですが、どうもこのマッチには狙撃の要素が強いという気がしますね。なので低倍率スコープを採用しているアメリカ軍も苦労したのではないかと想います。
 ともあれ、空挺 OBの意見として「精鋭無比と言われた空挺団も古い猛者隊員がいなくなって、戦闘能力のレベルが低下している」などとのたまう元自もいるようですが、猛者と射撃の巧さは無関係で、射撃に精通した自衛隊員なんて昔からおらず、今もいないだけではないのでしょうか。

 たった1人、自衛隊に射撃のプロがいて、試合のルールを読み、彼の作成したメニューで半年の訓練を行っていればビリから二番目ということはあり得なかった、とワシは想うのですよ。
 負けるという結果は恥ではない、だが、勝つための訓練も努力もなにもせずに無策で出かけるなんて聞くのも恥ずかしい。そしてもっと恥なのはそれをまた今年も繰り返すということ。

 これは殺し合いではなくて「競技」です。
競技というからには、コース設定がありルールがあります。
 「コースとルールを読み、攻略方法を考える」だけのことなのです。何が起こるか想像もつかない実戦にくらべたら楽チンなのです。トップに立つことは難しくても、中くらいの成績は出せるのですよ。
 
 たとえば、サンフランスィスコ エリアのコンバットシューティング競技で五指に入っていたワシが世界の舞台であるビアンキカップに初出場したときの成績は90位あたりだったと想います。成績が悪かった原因は、コースに慣れていなかったこと、そして銃がビアンキカップを撃つのに適切ではなかったことです。そこでワシはヒマをみては攻略法を考え、訓練に励みました。そしてやがて20位付近に上がり、やがては世界の8位にまでいけました。
 ワシは射撃が大好きなのですが、それほどの才能はなく、集中力もなく、いわば「お楽しみシューター」なのですよ。まあ、フツーのテッポ野郎なんです。それでも努力だけで世界のトップテンに入ったわけです。
 努力というのは「良い銃、良い照準器、適切な訓練」これだけのことです。
 空挺団の得意なラグビーも銃剣道も持久走も落下傘降下もなにも出来ないヒヨワなワシですが、拳銃射撃だけは趣味でやっているうちに上手くなったわけですね。
 さてそこで、
 自衛隊の射撃技術が世界ではビリから二番目というのは、ワシとしてはオモシロクないのですよ。
 これが世界の最貧国ならともかく、押しも押されぬ経済の列強国であり、オリンピックやサッカーや野球でも世界レヴェルである立派な国なのに、その国を守る自衛隊の射撃術がビリの方では日本人なら誰でも笑えないのではないかと想うのですよね。

 敗因は装備だって?
 バカこくでねえだ!
 射撃の競技には良い銃と良い照準機が必要なのは常識だろがっ!!
   準備もしないで試合に出るという無能さが一番の敗因だろうがっ!!
 
 と、やんわりとツッコミたいのですよ。
 
 で、そこで、
 なんでも、銃やスコープは自衛隊が公式に採用しているものでないといけないというルールがあり、もしこれが今年も惨敗するための言い訳としてマカリ通っているとしたら、外国人は日本人全体の知能水準をせせら笑うことになるのではないかと想像するのですよね。

夫: 試合があるんでスコープほしいよ
妻: だめよ、今あるダットで出なさい
夫: あれだと400m を狙えないんだよ
妻: 競技結果なんかどうでもいいわ
夫: それでは隣り近所に恥ずかしいよ
妻: ビリではどうしていけないの?

 と、そういった会話をしている夫婦がいました。そして彼らは世界で三番目の大金持ちなのですよ。
 “さすが交戦権のない家族はすごいな~” 
 と、印戸寝士矢などの家族らが感心するやら驚くやら・・・。

 ま、でも文句は言いますまい。
 過ぎたことはもどらないので、それよか今年の競技について考えてみましょう。
 今年の自衛隊は強いですよ。
 なぜって、空挺団は学んできたからです。
 優勝した国やトップクラスだった兵士達の銃の写真がゴマンと撮ってあるハズです。彼らの銃はどれで、性能はどうで、スコープはどこ製で倍率はこうで・・・そういうデータが収集されており、それらを参考に自衛隊が今年の競技に使う銃と新しいスコープはすでに決まっており、射撃のスタンスもどこに重点をおくかとか、距離による弾道や風の読み方などにも熟知しており、来たる5月の試合に向けて日々訓練をしているハズです・・・と想うのです。
 当然ながら、今年のティームを訓練する幹部は多くの情報をとって400mくらいはどんな隊員でも確実にヒットできるような銃を隊員たちに渡して「命中させる訓練」を指揮しているわけですから、今年は「中程度」には行けるだろうとワシは期待しているのです。

    ★OTSのスコープ★

 去年の敗因が「装備の不備と訓練不足」でしたら、今年は「装備の充実と1年間の訓練」があるわけで、次に出るティームは去年とは見違えった強力な選手陣となるのは自明の理というものですよね。
 ただのウワサですが、今年は富士学校が競技大会を受け持つという情報があり、もしそうだとしたら、ここは自衛隊の中心なので最高の能力が発揮されるハズですね。

 というわけで、ワシは今年の自衛隊にとても期待しています。銃が好きで、SAT マガジンを読むような君も、やはりワクワクする気持ちで待っているのではないですか?

   そこで、今回は「自分が選抜ティームの指揮官だったら、銃はこうする」という課題で実験してみることにしました。

 とはいえ、しょせんは民間人ですから89式を撃つわけにはいかず、89に最も近いと想われる豊和工業製の AR-180を使っての実験となるわけです。

 さてさて、
 まずは、AR-180にスコープを載せる必要があります。といっても、180には89のようにフレイムの上に薄い鉄板が貼ってあり、ここに専用の小型スコープをマウントするようになっています。89式の場合はここにブラスキャッチャーをマウントするのですよね。そしてここにダットサイトも載せているわけです。で、それにはかなりムリがあり、89を横にして落とせばダットサイトはマウントごとボロリと外れてしまうのではないかと想像しています。
 とはいえ、89も180もなんとかここにスコープマウントを装着しないと400m を撃てる銃にはならないわけで、そこがオーストラリア競技大会に出るための最初の難関であり、これをクリアできれば50%は前進することになるとワシは想うのですよ、というよりも、マウントを付けられないとしたら再びダットサイトで見えもしないような400m 先 のターゲットを撃つことになるわけです。
 そこで、ですが・・・
 AR-180で狙撃ができれば89式でも400m を撃つことができる・・・と、ワシはこう考えたわけです。
 そう思いついた夜に、インターネットで探してみました。急がば回らず急げ、というわけです。笑
「scope mount for ar180」とキーをたたきました。すると・・・あった~!! のですよ。
 世の中には AR-180ファンがちゃんといて、彼らはそれに高倍率のスコープを載せて撃ちたいと願い、それが作られ売り出されているのですよね~。 速攻ゲットです。ハンドガードの下に取り付けるレイルもあったのでこれもお買い上げです。これで自分の好きなバイポッドが使えます。
 三日後にはこれらが届き、その日のうちに AR-180はライトスナイパーライフルの様相を帯びました。
 スコープマウントとレイル。
 この二つのアクセサリーはとても貴重な存在です。なぜって、これらのサポートによって遠距離ではまるで無能だった180が鋭く変身し400m への挑戦権を得たのですからね。
 アメリカの軍用銃にナイツ社のレイルを付けることによって阿呆な M16が M4というワールドクラスの軍用銃に変身したわけですから、89式も「使える銃」に仕立てることは難しくないのですよ。
 
 長年好きだった AR-180・・・。
 これにマウントとレイルを付け、グリップポッドを装着して立たせました。
 “う~ん、トラトラトラだぁ~!!”
 とワシはご機嫌となってワインを飲みながら眺めていましたよ。
 真珠湾攻撃の映画では、奇襲隊がパールハーバーの上空に達した時点で「奇襲成功、トラトラトラ」の信号を発していました。
 そうなんです、180にマウントが載った段階で、ワシは「400m 射撃 成功せり」を確信でき、トラトラトラと叫んだわけです。
 翌朝、ワシはそれにスコープを搭載しました。ウチにはすごいボロからものすごいスコープまでイロイロと揃っています。
 ここで選んだのは、現時点で89式に最も適すると想われる OTS の1-6倍です。これは日本製ですし、値段もわるくないと想います。これがどうして良いかというと、1倍(実際はすこし倍率あり)で使えば CQB の速射に使えるからです。スイッチを入れると真ん中でダットが光り、まさにダットサイトとして使えるのです。そして、ズームアップすると6倍までいくのですよ。6倍という倍率は300ヤード射撃を可能にする充分な倍率なのです。
 6倍は300ヤードを撃てる、というこの根拠ですが、FBI スナイパーティームがムカシ行った実験で「ポリススナイパーが発砲する距離は平均で80ヤードほどであるから300ヤードまでを撃てればヨシとする」という結論を出したところからきています。で、300ヤードで狙うターゲットは人間の頭の中心10cm 径くらいなので、競技会で使う大きなターゲットだと400mでも充分な射程といえるのではないかと想うのです。
 そこで、今年のショットショウの後で6人の御一行様を招いて「スナイパーごっこ」をしてみました。M4タイプのライフルにイロイロなスコープを載せて400や500ヤードを撃つという実験です。そのうち2機の M4には OTS の1-6倍を搭載しました。
 御一行様の内訳は、ジャンボという柔道3段ながらテッポは初めてというドシロート、ナイフ屋のヤマシタ、拳銃名人のヤダピとトモ、そして自衛隊射撃教官クラスが2人というものでした。教官たちは当然ながら上官の許可を得たうえでウチに来ています。私費を使ってやってくる見上げた男達で、彼らの知識欲には素晴らしいものがあります。
 訓練内容は略しますが、この三日間の射撃で判明したことは、M4にスコープを搭載すればジャンボやヨシのようなシロートでも400mで当てられ、教官クラスになると、より素早く当てることができる、ということでした。そして数々の拳銃試合に出ているヤダピとトモはさらにスピードと精度を出せた、ということです。自衛隊員よりも射撃訓練歴の長いフトッチョの民間人の方が上手いわけですが、これは当たり前のことですね。
 スケートだって、どんなに体力のある人でも年間20分しか練習させてもらえない場合は、毎週リンクで遊んでいる女子供にも敵わないわけで。自衛隊の射撃訓練不足には世界に冠たるものがあるのですよね。

 自衛隊は海外派遣などで活躍しているので、さぞや個人戦闘能力も高いと想っているとしたら大間違いで、実際に銃撃戦に巻き込まれたらバタバタと撃たれて倒れることは明らかだとワシは考えています。
 いつも89式を持っているのに、それを撃たせると下手、なぜかといえば射撃訓練をほとんどやらせていない・・・これが実体なのです。
 オーストラリアの試合結果は、それを予感させるものとし「より深刻な問題」と捉えていただきたいものです。
 「試合で弱いと実戦でも弱い」
 これは当たり前のことですからね。

 ともあれ、AR-180のテスト模様はフォトで説明させてもらいますね。
 で、そこで、
 “AR-180にはスコープを搭載できても89式だとどうやねん? ムリやろ?・・・”
 という妥当な疑問があるのではないかと。

      ★89式バトルスナイパー訓練★

 ところがですね、もう何年も前に陸自では次のような驚くべき実験訓練を行っていたらしいのですよ。
 「建物をテロリストが占拠し、それを攻めるために隊員を建物に向かって走らせると、窓や屋上から撃たれるために兵士の損耗率は膨大なものになる」
 と、こういう報告があったそうです。
 「だったら89にスコープを搭載し、突入する前に見えているテロリストを遠くからの狙撃ですべて倒し、窓や屋上がクリアになってから走り出せばどうか?”
 と、いう提案があり、それを実戦的な訓練に興味のある司令官が音頭をとって実験されたそうです。
 まず89式にスコープを載せることから始まり、スコープとはなんぞや、いかなるものぞや、どのように構えるものぞや・・・などなどの勉強会を開き、クラスルームの机には多くの89式ライトスナイパーが並び、なかなか壮観だったらしいです。
 受講者は陸曹クラスが中心で、たいていは生まれて初めてゴルゴ13のようなスコープを覗いたということで感動していたと。 
 次の日は実射もやったようです。
 まずは100mでゼロインをやり。なんと本番では、ビアンキカップ用のフォーリングブレイトを、それも100m から撃ったと!!
 当たればコロンと倒れるので、倒れたらロープを引いて起こすのです。なんと100m の距離から引っ張るのですが、連隊ではすでに実験をすませ、ターゲットをうまく起こせることを実証していたそうです。
 そして、あれこれと射撃メニューをこなし、ラストは個人個人による画期的な「6枚落とし」をやったと!!
 合図で隊員は射撃を開始、6枚の8インチプレイトをいかに速く倒すかの競技だったと。
 中にはスコープのゼロがズレながらも、そのズレを見越した修正でよく当てていたと。まあ、スコープ搭載で100mから手のひらサイズというターゲットは簡単すぎて初心者向けともいえるのですが、ギリギリのスピードを出せ、ということになればハナシは別です。こうなると突然のように難しくなるのはスティル チャレンジを撃ったことのある人なら解っていることでしょう。
 で、だいたいは12秒程度で6枚を倒し、なんと8秒で倒した隊員もいたそうで。で、その隊員ときたら89式はめったに撃たないという部署から来ていて「ただ言われたとおりに狙って撃っただけ」ということらしいです。こういう射撃才能のある隊員が全国にはかなりいるようなので、射撃ティームを編成するのはきわめて簡単だと想えるのですよね。
 柔軟性に欠ける自衛隊でこういう訓練を実行できる司令官は、偉大な存在ではないかと感じます。
 
「89式バトルスナイパー」の実験を陸自ではすでに行い、良い結果を出していた、なんて
画期的ですよね。

 ということは、つまり、89に高倍率スコープを搭載するというノウハウは陸自にあるわけです。考えてみれば、89にはダットサイトが載っているのですから、それをスコープと交換するだけという単純なハナシなので充分に可能なわけですものね。

 それなのに、空挺ティームはスコープを搭載しなかった。後になって「制式装備でないと使えない」などと言うのはバカげた言い訳にしか聞こえませんよ。他の国がやっていることなら我が国でもできるわけですからね。

 しかし、今年は天下の富士学校から選手が送られるというウワサ。本当だといいですね。そして中くらいでいいから来年へのステップとなる成績を出してもらいたいです。

 今年は日本の報道陣も興味を示して競技に関するニュースを流してくれると嬉しいですね。あ、でも彼らは壊滅した民主党の残党的な存在なので、また文春あたりからの報道となりますかね~。
 ともあれ、
 オーストラリア戦に向けて猛訓練中の隊員各位様、国を想う我々からも試合での健闘を祈ります。
 鉄砲指南 永田市兵衛




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 お待ちどうさお〜ヽ(^0^)ノ (2014-12-15 20:35)

Posted by 市 at 13:45Comments(5)記事
この記事へのコメント
もう何年も前の話ですが、LAのポモナのガンショーでイチローさんにAR-18のスコープをお渡ししたのですが、まだ持っていてくれていますでしょうか?(笑)

豊和工業のAR-180は出来がいいですよね! 私もNIBの豊和製を持っていましたが、盗難にあってしまいそれきりになってしまいました。 今ではもう高嶺の花になってしまい所持することはかないませんが、確かに高いポテンシャルを持っていると思います。 間違いなく私の好きなアサルトライフルの1つです。
Posted by Peko at 2014年03月23日 14:39
>LAのポモナのガンショーでイチローさんにAR-18のスコープをお渡ししたのですが、まだ持っていてくれていますでしょうか?(笑)(@_@;) えええっ(゜◇゜)ガーン そうだったのですか? 困った! まったく覚えてないのです(;O;)おろおろ(×_×)ウチには2つのスコープがあって、載っていたヤツはもういらないので売ってしまい、もうひとつは箱入りのキレイなもので、それはとってあります。それがどうしてウチにあるのか覚えがないので、それかも。ひとつどういうことだったのかおしえてくださいな。それとAR-180盗難とのことですが、残念ですね〜(;。;)泥棒にでも入られたのですか?・・・
Posted by 市 at 2014年03月23日 21:40
連ドラ『特別狙撃隊 S.W.A.T.』のDVDは日米で出てますね。
第1シーズンだと日本でもアメリカ並に安いのが出てます。
Posted by CYPRESS at 2014年03月23日 23:08
不勉強なもので、イチローさんは豊和がお嫌いなんだと思ってました。ビックリです!!
というのも、イチローさんと豊和工業の組合せで検索をかけると出入禁止の話題がたくさん出てくるからです。

ともあれ、オーストラリア戦が楽しみですね。
国のお金で射的ゴッコができるなんて羨ましい限りです!
Posted by これは… at 2014年03月23日 23:51
私がお渡ししたのは何も書いていない白い箱の中に白いウレタンのシートに包まれた新品のスコープですので多分まだお持ちのスコープがそうでしょう。 1998年10月号のコンマガに載せて頂いたスコーフィールドの記事の取材の時にイチローさんからAR180が好きでスコープを探しているとお話していらしたので、そのすぐ後にCAWの社長さんが御礼をしたいということでポモナのガンショーで落ち合ってスコープをお渡ししたといういきさつだったと思います。(スコーフィールドの記事の件は私のホームページで書いたので気になる方はどうぞ!)

ガンショーはイチローさんと一緒に回って見つけたSIGのP210を買うかどうか迷ってらしたのを今でも覚えています!(笑)  私もつい先週、P210-1のオーナーになりまして毎日にやついています。(爆)
Posted by Peko at 2014年03月24日 02:10
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