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2020年04月19日

スミス&ウエッソン・アカデミー

市 (2020年04月19日 01:10) │Comments(7)訓練
スミス&ウエッソン・アカデミー

ある日、いつものように郵便箱を開けると、白い大型封筒がまるめて入っていた。
スミス・アンド・ウエッソン社からだった。
「ウギャ!?」と心の中で叫びながら、急いで中を読むと、「ディア、ミスター、ナガタ。あなたのS&Wポリス・インストラクタース・アカデミー入学願いは受理されました・・・・・・、〈略〉我々はあなたと会える日を待ち望んでいます。━━チャールス・スミス━━」とあるではないか。「そうか、来たか・・・・・・、遂に・・・・・・」私は胸が熱くなるのをおさえようもなかった。
S&Wアカデミーといえば、ポリス・インストラクターを育てる学校として世界一だといわれ、私の周囲のインストラクター達の中にも、このアカデミーを卒業するのが夢だという連中が多い。また、そこのディレクターであるチャールス・スミスという人は、FBIのチーフ・インストラクターとして活躍した人で、東のチャールス・スミス、西のジーン・ジョーンズとして有名な存在だった。
そんなS&Wアカデミーに私は以前から強い興味を抱いていたが、ここに入学できる人はポリス関係者オンリーで、しかも署の推薦状つきベテラン・インストラクターの行くところだと聞いた。だが、今、私にも入学許可が出たのだ。あとで聞いたことによれば、これは全く異例の出来事だったという。
なぜこうなったかというストーリーは長くなってしまうが、要するにジーン・ジョーンズを通してS&W社と接触が出来、ビル・クリードという名のS&W社の広告を担当している会社の社長の協力を得て、アカデミーのディレクターであるチャールス・スミスから支持を得られたということになる。
考えてみれば夢のような話だ。小学生の頃からモデルガンに熱をあげていた私がアメリカに渡り、コンバット・シューティングを習い、そして遂にかの有名なS&Wアカデミーにまで行けるとなるとどんな気持ちになるか、読者の皆さんなら分かってくれるでしょう?

写真は自由に撮っても良いとのことだったが、なにしろ生徒として全コースを受けなければならなかったので忙しくて思ったようには撮れず、またいろいろな面白いシーンも逃がしてしまった。それでも仲間やアカデミーのインストラクター達の協力を得て、なんとかまとめられるくらいの写真は集まったので見ていただきだい。

☆シュート・オア・ドン・シュート☆
チャーリーは屋外で生徒をしごくのをハンクとボブにまかせ、自分はインドアでのディスカッションに専念する。問題はどれも現実的なものだけに、一言でこれと言い切れるものはなく、たとえば、犯人が君の目の前で人質をとったらどうする、撃つか撃たないか・・・・・・、また、君は君の生徒であるオフィサーたちにそんな時のことをどう教えるか・・・・・・。といった問題提起をチャーリーがして、各インストラクターの体験や意見の交換が活発に行なわれる。
映画も様々なものを見せられるが、特に役に立ったのは、これまでに現実に起こった事件で、それもオフィサーが撃たれた時を克明に再現したもので、2人の犯人から4人のオフィサーが次々と撃ち殺されるシーンはそこらの映画よりもずっとスゴく、オフィサーがショットガンで顔や胸をグシャグシャにされるシーンなど忘れ難い。
そして映画はその時の様子を分析し、ではオフィサー達がどうしたら撃たれずにすんだか、どこにミステークがあって4人ものオフィサーが殺されたかなどを解明し、その事件が不可抗力ではなく、オフィサー達のトレーニング不足から来ている事を証明する。これまでに殉職したオフィサーの多くは、注意力とシューティング・テクニックの不足から来ている場合が多いという。
チャーリーは言った、「シューティングのテクニックは機械的作業だ。犯人にGUNを向けた時、うまく当たるかどうかなんて心配するようではだめだ、それは当然あたる必要があるわけで、それより君にとって一番大切なことは、撃つか、撃たないかを決める、その一瞬の決断だ。“シュート・オア・ドン・シュート”。これを正しく決断できなくてはいけない」。
「では、これから映画を映すから、一人ずつスクリーンの前に立って、撃つべきときに撃て、もちろんGUNにはタマを入れる必要はない・・・・・・」  
私はS&WのM10を両手に持って、銃口を45度下に向けてスクリーンを見つめた。
それは夜の街だった。静まりかえった舗道にオフィサーの足音がコツコツとひびく。カメラは、オフィサーの目のアングルでパトロールする。やがてオフィサーの目はコイン・ランドリーに入って中をチェックする。誰もいない。いや、ヒョット横を向くと、一人の男が若い女を床に組み敷いているではないか!私はハッと、男をGUNポイントする。
しかし、このまま撃ったらタマは男を貫通して女の方も傷つけるし、それに男が武器を持っているかどうかさえ疑問だ。私は待った。男はヒョイと振り向くと、立ちあがりざまに右手をサッとあげた。ナイフだ!だが、男の動きからしてそのナイフを投げる体勢には見えないのでトリガーは引かない。案の定、男はポロリとナイフを落として両手を上げた。だが、次のシーンで、私はフッ飛ばされることになる。
同じく、カメラは夜の街をパトロールし、やがて小さなスーパー・マーケットをヒョイとのぞく。そこには一人の黒人がピカピカに光る大型リボルバーをキャッシャーの男につきつけた、典型的なホールドアップ・シーンがあった。
向こうの方にも一人いるようだが、あれは客らしい。 これはいただきとばかり私はGUNポイントする。動くな!パッとこっちを見た男はいきなりGUNをスイングした。チャキッ!私のトリガーは一瞬早かった。だが、次の瞬間、奥に居た客らしい男がショットガンをこっちに向けてドッバーンとブッ放したではないか!
━━私はしばらく声も出ない。「いいか、常に犯人が一人とは限らないぞ!特にスーパー・マーケットのホールドアップなどは、複数だと思っていて間違いないのだから、決して一人の男だけに神経を集中してはいけない・・・・・・」と、ボブは言いながら、フィルムを戻して初めからやり直してくれる。
画面は最初に戻り、マーケットの内部をカメラがのぞく。ピカピカのGUNをかまえた男がまず目に入る。そしてよく見ると、その奥の方に居る男はちゃんとショットガンを持っているではないか。なぜさっきは見えなかったんだろう。私はGUNをかまえる。手前の男がスイングする。私はトリガーを引く。とたんに奥の男がふり向きざまに撃とうとする。一瞬前に私は2度目のトリガーを引く。それは1秒間に3発くらいのスピードを要するが、落ち着いてやれば誰にでも出来ることだった。  
以来、私は何度もそれを思い出し、「コンバット・シューティングの極意とは、平静な心がまえである」というチャーリーの教えを心に刻みこんでいる。

☆アベイラブル・カバー☆
指にタコが出来るまで撃たされた今までのコースを基礎として、そのインストラクターの総合的シューティング・テクニックを試されるのが、このアベイラブル・カバーというコースだ。ストリート・ガン・ファイトの場合には、身のまわりにある物、ゴミカンやポスト、自動車などを可能な限りカバーとして活用しながら戦うわけで、これは日頃よく訓練しておく必要のあるものだ。
S&Wアカデミーでは2種類のコースがあって、どちらも9個のターゲットをショットガンで2発、ハンドガンで18発撃ち、ヒット率に加えて所要時間も重視される。速く走って速く撃てば命中率が悪くなり、ゆっくりと全弾命中をねらえば時間がかかりすぎるわけだ。
シューターは自分のGUNにタマをこめて用意する。合図と共にショットガンにとびつき、丸木を盾にしてプローンでスラグ弾を2発撃つ。急いで起き上がり、ドラムカンのところまで走って、その左右から2発ずつ撃ち、GUNをホルスターに入れてから車のところまで一目散。そしてドアの陰から2個のターゲットに2発ずつ。
次は高さ1.2mくらいのフェンスに突進してヒラリと越える。だが、ヒラリというにはあまりにも重い人がけっこういるので、その人達はノソノソと下をくぐり抜ける。フェンスを越えたらポストの陰からやはり2個のターゲットに2発ずつ撃ち込み、再びフェンスを越えてドアのところに突進、パッとドアを開けて踏み込んでからクラウチングで2個のターゲットをガガガン、ガガガンと3発ずつヒットするわけだ。もうひとつのコースもこれと似ているが、ちょっと楽だ。

こんなような荒っぽい訓練をするのはジェフ・クーパーのスクールくらいかと思っている読者がいるかも知れないが、どうして、どうして、アメリカン・ポリスにとってこんなのは序の口で、スワット・トレーニングなどにいたっては、全力疾走しながらM16やイングラムをフル・オートで撃ったり、2.5mくらいの壁ぐらい素手で登り、やもりのようにひっついて敵を撃ったりするなど、映画の世界みたいなハードなことまでやっているのだ。

☆プロフェッショナル・キラー☆
「私達がこのアカデミーで育てるのは、より高度に訓練されたプロフェッショナルな殺し屋である・・・・・・」と、チャーリーは言う。
「その殺しのテクニックがより高度な程、パブリックというものを悪の手から守ることが出来るし、その自信ゆえ、不必要に犯人を射殺することなく、かつ犯人を一人の人間とみて、その命を救うことも可能なのだ。アカデミーではキラーを育てるが、その目的は人殺しでなく、パブリックとオフィサーを守り、なおかつ相手をも守ることにある。
凶悪犯人とはいえ、一人の人間であることには変わりないからだ。我々が正義と信ずることにポリス・オフィサーを使うなら、彼等にはより優れたテクニックと心構え、それに自信を持ってもらいたい。
また正当な理由から犯人を射殺したオフィサーをヘルプするのも我々の仕事だと思う。オフィサーも一般の人々と同じように感情というものを持っている。やむを得なかったとはいえ、一人の人間を殺してしまったことからくるショックは大きく、罪の意識を感じて深く傷つくオフィサーが多い。そういった場合、やはり我々は彼等と会って、なんらかの方法で助けるわけだ。
私はこのパブリックを守るという仕事を愛している。私はもっともっと多くの、世界中の人々と知り合いたい。そして、いかにしてパブリックを守るかを話し合いたいと思う・・・・・・」こんなような意味のチャーリーの哲学をシューティングの合間に毎日断片的に聞いてゆくと、2週間目に入る頃からなんとなく目が覚めたようになり、日頃ただ楽しんでいるだけのコンバット・シューティングが、なに故にあり、どれ程重要であるかということの確信が、ある重量感をともなって心の中に強く定着してくるのを感じた。

最後の日には全員による競技会が開かれ、勝ったもの数名にはゴンカルロのグリップなどが賞品として出るという。試合は月明かりのもとで、マン・シルエット・ターゲットをたてに二つ折りにしたものを使用する。
「敵だってスマートだから隠れて撃ってくるんだよ。オレは難しくして皆をしごくのが好きでねェ」とボブがひとりでうれしそうに準備していた。
撃ち方はPPCと同じで、7ヤードから50ヤードまでの60発コースだ。私は借り物のM10を使い、なんのためらいもなしにスムーズにトリガーを引き続けることが出来た。
シュート・オア・ドン・シュートの映画で、ショットガンにやられた時のショックはいつまでも頭に残り、人間、緊張しすぎたりしたらろくなことにならないことがいやという程わかったのだ。
シューティングは機械的作業!緊迫したその一瞬に落ち着いて状況をよく把握し、撃つか否かをギリギリのところでジャッジする、その決断力のある者が真のコンバット・シューターで、それを人に教えることが出来てこそ、本物のポリス・インストラクターといえるのだ!
GUNを持って家の中に入って来る奴がいたら、一発お見舞いしようとばかりに心待ちしている私なんて、ちょっとまだインストラクターとしては血の気が多すぎるようだ。しかし、十分に自分というものを反省する機会を持てたためか、それ以来、私のトリガー・プルはいっそう滑らかになったような気がする・・・・・・。

スミス&ウエッソン・アカデミー

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スミス&ウエッソン・アカデミー

以上です。

マロンパ博士の大作、
ありがとりー(^O^)/

by 名札の1/1000はかやしてもらったような気がするボク




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Posted by 市 at 01:10Comments(7)訓練
この記事へのコメント
マロさん、いっつも本当にありがとうございます。オイラ達が受けたFBI射法訓練は、この写真70年代の前の射法になると思われます。クラウチングとかの左手の位置とか違う。証拠写真手元に有り。アメリカは実戦を通じて進化した。コンバットシューティング!。日本は伝統武術を伝承して来た感じ?ここんとこのリヴォルバ話鼻血Boo!のヲトコでした!
Posted by 佐伯 at 2020年04月19日 04:55
ご転載ありがとうございます。運良くこの号はまだ手元にあります。表紙はのちにコクサイから発売になったブローニング1910のフィンガーレスト付きマガジンのタイプのベースというかコピー元オリジナルのブローニングでした。凄く綺麗で、コクサイはシリアルナンバーまでコピーする完璧なブローニングを発売しましたね。この頃は表紙の写真が特集の内容と関連がない号もあったんですね。
そしてイチローさんはM66を温存してレンタルのM10をお使いでした。ニッケルめっきのシリンダーで、見かけはお気に召さなかったようですが、良く当たるいいものだったとかで、これもプロのツールという感じでかっこよく写ってました。
Posted by @HENLLY at 2020年04月19日 10:31
大作有難うございました。
マロンパさんお疲れ様です。
イチローさんも有難うございます。
読み応えたっぷりで面白かったです。
本当にイチローさんのブログと出会えて自分は幸せ者です。
有難う御座います。
Posted by 晴れ晴れショー at 2020年04月19日 12:06
懐かしいな〜。
ほんと貪るようにして読みましたよね。
スゲーな、スゲーなって。

親方、感謝感謝です。
ありがとうございました。
Posted by MIZ at 2020年04月19日 14:29
マロンパさん、ありがとうございました!
懐かしい画像、ド忘れしている画像、脳内で入り乱れております。読み返したいな〜と。70年代でこれだけ濃密な内容のS&Wアカデミー、今どのぐらい内容がブラッシュアップされてたりそのまま受け継がれているのだろう?興味が尽きません!
Posted by ヨッシ at 2020年04月19日 17:05
イチローさん、マロンパさんありがとうございますにゃ。この記事は初めて読んだ気がするにゃ。判断、大事ですね。命がかかっていればなおのことだと思いますにゃ。時として判断に迷い結論までに時間がかかる事がよくあるミャーにはオフィサーは無理だにゃー。
Posted by ちびゆき at 2020年04月19日 20:58
>クラウチングとかの左手の位置とか違う。証拠写真手元に有り。
↑↑
今度、見せてくだちい~♪
(ドナグさんは有料=100エン)
ミセテ o(*゚∀゚*)oo(*゚∀゚*)o ミセテー


>凄く綺麗で、コクサイはシリアルナンバーまでコピーする完璧なブローニングを発売しましたね。
↑↑
うんうんうん♪
分解するときは、だれかさん∈^O^∋ みたいにスライド リングでツアイスのレンズを割らないよーに気をつけたもんでガース♪
(((*≧艸≦) ププッ


>読み応えたっぷりで面白かったです。
↑↑
ヨカッタ!ヨカッタ!幸せ者めぇぇ~♪
(*´_⊃`)人(´⊂_`*) シアワセモノー


>親方、感謝感謝です。
↑↑
いえいえいえ©️(いつものパターン)、
そーいってもらえると、オツカイ以外の外出を自粛しての監禁闘作生活もワルくない・・・と思えるよーな、そーでないよーな・・・
( ・∀・) ドッチヤネン


>懐かしい画像、ド忘れしている画像、脳内で入り乱れております。
↑↑
うんうんうん♪
(^ェ^)(^_^)(^ェ^)(^_^) ウンウン

月日が経っても魅力的なフォトを
ピンぼけ加工した罪をお許しくだちい~(^_^;)


>時として判断に迷い結論までに時間がかかる事がよくあるミャーにはオフィサーは無理だにゃー。
↑↑
おいらにも無理でガース♪
(*^o^)/\(^-^*) ナカマー
Posted by マロンパ90 at 2020年04月21日 22:24
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