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2017年11月28日

4インチパイソンの想い出

市 (2017年11月28日 03:42) │Comments(9)てっぽ

ザパッ!!
ヤングイチは両足を開きざまに4インチパイソンを抜きながら振り返って悪漢を撃った。
古着屋にて1ドルで買った緑色のミリジャケットが跳ね上がり、横殴りにパイソン構えた姿はダイナミックであった。
パイソンのヴェンティレイテッドリブから漏れる光を撮るという目的でパイソンを水平に構えたわけだが、この射撃術は後年になって映画などで盛んに使われるようになる。

この年代遅れのラッパジーパンも1ドルで買ったものだった。当時、古着を買うのは貧乏人だけであった。ヤングイチも貧しいがためにサルマタ以外は古着を着ていた。後年には古着ブームがおこり、これらのジーパンは異常な高値で売買されることとなるのだが、ヤングイチは膝に穴の開くまで履いてから捨ててしまった。


しかし貧しいとはいえ、ヤングイチの心は晴れやかだった。
なぜなら、日本にいたころから憧れていたパイソンをゲットできたからだった。
今もそうだが、パイソンは高価であり入手難だった。オレゴンで質屋をまわって中古の安いパイソンを探したものだったが、とうとう見つからなかった。
だがキャリフォニアに越してガンショウに行くことで ようやく対面できた。
美しい!
格好よい!!
迫力がある!!
カタログ写真でさんざんに観ていたが、実物の存在感には心打たれるものがあった。

これが最高の拳銃だ!!・・・
と、信じていた。
SWの評判は高くても見向きもしなかった。

自分が気に入った銃は一番性能が良い・・・
いつしかそう信じるようになっていた。

他と比べもしないで自分のが一番だと
根拠もなく信じ込む、、
これは島国で育った世間知らずの
日本人独特の「頑迷」であった。

あとで想うに、パイソンを選んだのは「それがカッコ良いから」というだけの理由からだった。無知すぎるために判断基準を持ち合わせていなかったわけだ。

射撃の知識もなく、他のリヴォルヴァへの知識もなく、だいたい拳銃の魅力とはなんなのかという解釈さえなく、ただそれが実銃であればよく、カタチの印象で選ぶしか能がなかったのだ。

パイソンを持つことで心は晴れやか、ヤングイチの気持ちは幸福感に満たされていた。満たされている時、人は探求心をもてないものだ。それは、ぬるま湯で育つとチャレンジ精神が育たないのに似ている。

やがてヤングイチはSWのM19を手に入れる。その理由は「評判が良いから」というものだった。世間の評判などどうでもよい、自分の好きな拳銃が一番なのだ、と考えていたヤングイチではあったが、パイソンを撫でさすって自己満足にひたり続けることへの疲れのようなものを感じていた。銃を知らない日本人のイーチは、拳銃とはトゥリガーを引けばターゲットに当たるものだとばかり信じていた。じっさい、モデルガンで撃ってターゲットを外したことなど1度としてなかったイーチは、自分の腕前はゴルゴ13と同じレヴェルなのだと信じていた。
まさか、たった25ヤードの距離でパイソンを撃ち、黒丸をミスることがあるとは想像だにしていなかった。
夜の海で100先のヨットに乗っている女のイヤリングを弾丸で砕くくらいはあたりまえで、街で女が後ろを歩いてきたら振り返りざまに殴ればよいのだと・・・までは信じ切れていなかったが、まあだいたい思考力はそのような日本人の平均レヴェルであった。

そしてパイソンとM19を撃ち比べる。
M19はあきらかに撃ちやすかった。
トゥリガープルに決定的な差があった。

ここでパイソンへの信仰は瓦解する。

パイソンとM19を見比べながら、ヤングイチは考え込んだ。
パイソンは厚化粧の妖艶なオンナであり、M19はコンバット射撃に対応するために産まれた闘志ある若者だということに気がついた。

ここでようやくにして銃というモノには個性があり、射撃能力に優劣があることを明瞭に認識する。

コレクション用と実用銃とは見分ける必要がある。銃を見分けるためには射撃の腕前を磨く必要がある。
射撃を満足にできなくて、どうして銃を語ることができようか・・・たったこれだけの常識的な道理を悟るために多くの時間とカネを使ったヤングイーチであった。
そしてアメヤ横町という井戸からイーチが抜け出すきっかけとなったのが、このパイソンであった。

銃は格闘の道具だ。
拳銃は、拳の距離をのばすための道具だ。
ボロな銃は拳が延びない、
延びないとは精度に欠けるということ。
いかに強い拳であろうと当たらなければ
自分が当てられてしまう。
射撃術に精通し、より良い銃を選ぶべし。

たったこれだけの常識を自分のものに
するために役だってくれた拳銃、
それがパイソンだった。

そしていま、この4インチモデルは
手元にない・・・
どこに行ったのかさえ記憶にない。

Gun誌の待遇に耐えかねて辞めることになったときに数十挺の銃の返還を迫られ、それらは二束三文で米国のガンショップに売られたわけだが、その中に4インチは混ざっていたのかもしれない。

人生において多くの人たちと知り合い、多くの人との別れがあるように、銃との出逢いと別離も多かった。

そんな中で、この4インチは好きではあったが別れる必要もあったのだろう。
今ではこのパイソンが別れた彼女のようになつかしい。しかし再会したいとは想わない。
これも成長の軋みによる痛みなのか・・・。

たっはっはっは (^◇^;)
なんとなく4インチの想い出を書き出したら長くなっちまったわ〜い (^_^;

で、おそまきながらマロンパ名物の許可盗作が届いたので載せておきますね。
このころから知り合ったポリスオフィサーの数はたいへんなもので、友人知人のたいていはポリスでした。イチローさんに射撃術を仕込んでくれたのも警察官とFBIであるという関係から、もしも道路上で警察官と誰かが撃ち合っていたら瞬時に狙撃拳銃で援護するというマインドセットがあるのです。

マイドセットの意味は
「こういう場合は、こう対応する」
という決心のことなのですからね。
市 (^-^)/


☆サージャント・ハーマン☆
さて、そこで、パイソン・ハンターの似合う男だが・・・・・・、私のイメージに合う男、それはコントラコスタ・カウンティー・シェリフのサージャントであるハーマン・レラーという男だ。ハーマンはもちろんピストルの名人で、マスターの上にディスティングイッシュトがつく。そして250人のリザーブ・ポリスのディレクターであり、ポリス・アカデミーのファイアアームス・インストラクターでもある。コンバット・シューティングのテクニックはFBIインストラクター、ジーン・ジョーンズの直伝という筋金入りの男で、雰囲気はチャールス・ブロンソン、プラスすることの俊敏X迫力の2乗=ハーマン・レラーというところだろうか。以前、私はピッツバーグPDレンジのポリス・アカデミー・ファイアアームス・トレーニングに招待されたことがあり、その時のディレクターであったのがハーマンだったというわけ・・・・・・。ちょっとばかりモデルになってくれんかの、と頼んだら、「エッ?このオレが絵になるかい?イヤーそうは思えんなあ・・・・・・、でもまぁ、お主がそういうならやってみようかい」と、引き受けてくれた。ハーマンは、勤務中にはユニフォームも着なければ一般のポリスカーにも乗らないのだが、特別に正装して、ポリスカーも借りてきてくれた。一度、彼が葬式に行くときに正装していたのを見て、こりゃ絵になると心ひそかに思っていたわけ・・・・・・。「これがそのハンターだけど・・・・・・」と、パイソンを見せると、「ウワーッ!スゲェーッ!・・・・・・、スゴイけどバランスが悪いぜ、大体長すぎてコンバットには向かないナ、やはりコンバットには4インチのM19かM66が・・・・・・」「イイカラ、イイカラ、分かってるよそんなこと、だけど、シェリフの行動範囲はポリスのそれとは比較にならないくらい広いから、たとえばあの山のてっぺんから狙われたりしたら、4インチでは太刀打ちできないゼ、そんな時これが一丁あったとしてみなよ。こいつなら200ヤード先の敵にだって脅威を与えることができるし、100ヤードだったらイチコロというものさ」「フーム、ナルホド・・・・・・、で、これはいくらするんだい?」「1,000ドルとちょっとだね」「ウヒャー!そりゃ高い、高すぎる。だいいちパイソンはアクションが悪いのでヤダよ。ウチのデパートメントに400人ばかりオフィサーが居るが、パイソンをさげている奴は20人か25人だな、それ以外は皆S&Wだぜ」大体、射撃のうまい人で、パイソンを好む人は非常に少なく、FBIの内部では皆無といえる。それでもポリス・オフィサーの中には熱烈なパイソン・ファンがたまに居て、実にうれしそうに腰にさしている。たとえばダーティー・ハリーの先生であるSFPDのビル・ラングロイもそうだし、ハーマンのボスにあたるキャプテンも6インチ・パイソンを17年間愛用している。 ピストルの名人、サージャント・ハーマン・レラーは、M19こそナンバーワンだという。だが彼の上役のキャプテンは、パイソンはGOOD GUNだと言って17年間も使用している。ここいらにアメリカ人のノビノビとした自由がある。 「ハーマン、お主がパトロール中に突然、銃撃を受けたとする。サァ、どうする?」「まず、とにかく車から出て安全なところに走って逃げるよ」「いや、逃げちゃ困る。逃げる前に2~3発ブッ放そうよ」「いや、なによりも自分のボディーをカバーすることが先決だからまず逃げるんだ。車から離れられないようだったら相手との間にエンジンとかホイールとか、とにかくタマが貫通しない部分を盾にして対峙する。車から出る時もうんと身体を低くして、窓越しにねらわれないように気をつける」「じゃ、車の後ろに避難したところで反撃だ、トランク・ルームの上からいこうか」「いや、これじゃちょっと頭が高い、実際の撃ち合いでこんなに頭を出せるもんじゃないゼ、イチロー」「でもあんまり低くされちゃ絵にならないから・・・・・・。空をパイソンのバックにしたんだよ。じゃ、今、敵は撃って来ない、そうだ、タマが切れたんだ、そこでお主はガバッと頭を出して、フリーズ!というのならどうだい?」「フーム、それなら良かろう・・・・・・」私はこういった写真を撮る時、必ず必然性と現実性を重要視してポーズをつける。だが、ハーマンはもっと上をいっているのに驚いた。微にいり、細にわたって注意深く必然性を追及するのだ。私は絵になるなら多少の妥協をするが、彼はそれを許さない。実に良い勉強になりました。

以上
  


Posted by 市 at 03:42Comments(9)てっぽ