2013年02月28日
CQBジジイ
市 (2013年02月28日 13:03)
│Comments(5)
│語りのプラザ

6時起床、旅行中は運動不足だった
ので4キロのジョギング・・・
そして張り切って少し仕事、、
昼は玄米とオニスラとニラ炒め♪
すると急に眠くなって(-_-)zz〜
けっきょく午前のみ仕事に ・・・
(×_×)
やはり疲れが残っているの
ですよね〜(^_^;
で、夕方は学校からもどった
ケンシローと再び4キロ走り、
100mの差をつけられてヤラレま
したよ(^^)(^0^;)
と、いうわけでCQBジジイの笑え
る1コマを見てやってくださいな
(∩.∩)
2013年02月27日
もどりました〜ん
市 (2013年02月27日 14:36)
│Comments(6)
│語りのプラザ

帰るのに10時間かかると想っていましたが
30分休みを2回とり、途中の日本食料店で
冷凍サンマと納豆をワンサと買って家に
着いたのは7時でしたよ。
正味8時間の走りでしたね。ムカシは制限
速度が55マイルだったのが今は70マイル
となっていたことを忘れていましたよ。
果てしない高速道路ですが、
クルーズコントロールを120キロに
セットしてスイーンと走るだけなので
昨日までの疲労がとれましたね〜(^_^)
と、ゆーわけで無事に帰宅し、1300枚
以上撮ったフォトをダウンロードして
います。
明日からのセレクションとフォトショップ
がこれまたなかなかの労働で・・・
急がされてもいますしね〜…>_<…
でもトシに似合わぬ大役を果たせたという
達成感があり、これで明日からの気力も
湧くのですよね。
では今夜は、早々と寝ま〜す(~0~)zzz
起きたら皆さんのコメントを読ませて
もらいますね〜 !(^^)!
2013年02月27日
モハベ砂漠を通過しました〜
市 (2013年02月27日 07:50)
│Comments(1)
│語りのプラザ

旅行けば〜するがの国に茶の香りぃ〜♪
みたいな情緒などはないのですが、
砂漠の一本道を走り続けているところで
町があるとホッとしますね〜

長あ〜いまっすぐな道がずぅ〜っと続く
のです。まっすぐな道は眠くなるので
東名高速にはわざとカーヴをつけた・・・
みたいな説がありますが、どうもワッシ
には信じられないことで・・
真っ直ぐな道は、楽しくて目が覚める
わい! (^。^)

ここはモハベで〜す♪
アメリカでは「モハァヴィ」とか発音
します。
たしかここで砂漠を突っ走る2輪レイス
があり、ワシがよく頼むメカニックは
毎回出ているそうですよ。
そうそう、これらのヒコーキは解体を
待つのか部品になって売られるのか・・
ここにはいつも古いヒコーキがタムロして
いるのですよ。
なんだか飛行機の墓場みたいなんです。
ここまで来ればウチまで5時間という
ところで、スタバのそれほど美味くない
珈琲でイップクしています(^-^)
2013年02月26日
入力禁止用語
市 (2013年02月26日 23:05)
│Comments(4)
│語りのプラザ
>>イチローさん、 初めまして。 「入力禁止の単語が含まれています」というコメント出るのですが、ご存知でしたら教えていただけますでしょうか。
Yuji
2チャンネルが犯罪の温床になっている
からなのかどうか、なんらかの犯罪に
使われるような単語が文章に含まれて
いると入力禁止となり、ワシがコメント
欄に書き込むときもよく禁止されます
(-_^:)
このブログはワッシが管理し、物事を
わきまえない書き込みは削除するの
で入力禁止を解除してもらいたいの
ですが、そういうことができるのか
どうか・・どなたか知っていたら
教えていただきたいです。
それと具体的にどんな言葉が
ヒッカカルのかも知りたいところです
よね〜
これも銃規制と一緒で、真面目な人達
にとって迷惑なハナシですね〜
さ〜て・・6時になるところです、
おはばんわん(^^)/
ぼちぼちベッドからはい出して玄米でも
たべて撮影にかかりま〜す・・・
今日は拳銃ひとつ撮ればいいので楽なの
ですが、その後10時間走って家まで・・
(>_<)トオイな〜
Yuji
2チャンネルが犯罪の温床になっている
からなのかどうか、なんらかの犯罪に
使われるような単語が文章に含まれて
いると入力禁止となり、ワシがコメント
欄に書き込むときもよく禁止されます
(-_^:)
このブログはワッシが管理し、物事を
わきまえない書き込みは削除するの
で入力禁止を解除してもらいたいの
ですが、そういうことができるのか
どうか・・どなたか知っていたら
教えていただきたいです。
それと具体的にどんな言葉が
ヒッカカルのかも知りたいところです
よね〜
これも銃規制と一緒で、真面目な人達
にとって迷惑なハナシですね〜
さ〜て・・6時になるところです、
おはばんわん(^^)/
ぼちぼちベッドからはい出して玄米でも
たべて撮影にかかりま〜す・・・
今日は拳銃ひとつ撮ればいいので楽なの
ですが、その後10時間走って家まで・・
(>_<)トオイな〜
2013年02月26日
生きてはいます・・^_^;
市 (2013年02月26日 15:02)
│Comments(2)
│語りのプラザ
こんにちばんわ〜(^O^)/
キャリフォニアで撮影、つづいてヴェガス
に移動してまた撮影をやっています。
今日はヒストリーの歴史上からみても
最近ではもっとも忙しく(*^^)v
朝8時からやって
今(もうすぐ22時)おわりました。
さすがにグッタリコンして風呂に入る元気
もなくワインもらってベッドに・・(;O;)
とゆうわけで無事ではありますが
余力がないのでブログも出来ず
もーしわけないです<(_ _)>
ホントはとっくにリタイヤしている
ハズなんですがね〜(-。-;)
お〜もうワインがキイテきました(^_^;)
キャリフォニアで撮影、つづいてヴェガス
に移動してまた撮影をやっています。
今日はヒストリーの歴史上からみても
最近ではもっとも忙しく(*^^)v
朝8時からやって
今(もうすぐ22時)おわりました。
さすがにグッタリコンして風呂に入る元気
もなくワインもらってベッドに・・(;O;)
とゆうわけで無事ではありますが
余力がないのでブログも出来ず
もーしわけないです<(_ _)>
ホントはとっくにリタイヤしている
ハズなんですがね〜(-。-;)
お〜もうワインがキイテきました(^_^;)
2013年02月24日
ショットガンの時代が・・・
市 (2013年02月24日 23:48)
│Comments(11)
│てっぽ

おはばんわ〜ん !(^^)!
このごろニュース番組で
「家を守るのならシャッガンがいいよ〜」
なんてよく言ってますが、ショットガン
は規制対象ではなくオバマも撃っている
フォトをハッピョしましたからね〜(^-^)
そこで早々とこんな短銃身散弾銃も
現れています(*_*)
これは鳥撃ち弾を使ったところですが
ダブルオウバックというタマを使うと
この4倍の火の玉が出ますよ (^-^)
で、キックはといえば44マグナムほど
もないような感じなんです。
3mから撃ってタマは20cmくらいに
広がりますね〜>^_^<
2013年02月23日
★ 瀕死のカナリヤ ★ 紫電の炎
市 (2013年02月23日 13:41)
│Comments(1)
│語りのプラザ
★ 瀕死のカナリヤ ★
スプリングフィールドのダウンタウンにあるデニーズに入った。上等なレストランは薄暗いので避けた。
明るいところで快活に事態を分析したかったのだ。しばらくは沈黙したままフィッシュフライを食べた。カレンは野菜サラダにフレンチドレッスィングをかけて少しずつ口に運んだ。まるで毒を飲んでしまったように、その姿は憔悴していた。
運命の毒牙に引っかけられた瀕死のカナリヤは、それでも充分に美しくて魅力に満ちていると思った。
熱いティーを飲みながら彼女に見とれ、そしていろいろと考えていた。
“なーに? どうしたの…”
カレンはチラッと瞳をあげて、また下を向いて小声でそう言った。
“ウン…色の白いは七難かくす、というコトワザがあってね…美人は困難に陥っても必ず男が助けてくれるという意味なんだ”
“…だから?”
“君がこんな魅力のある人でなかったら、ぼくは知らん顔してバイバイしたんだろうなと、そう思ったら自分のエゴがつらくなちゃったんだ…そのうえ、カッコ良く君を助ける能力がぼくにはないしね…”
“あなたって、素直に自分を正視するのね?”
“見たくないけど見えてしまうんだ”
“普通の人は見えているのに見ないのよ”
“ある程度、その方が幸福になれるな”
“見せかけの幸福よ、そういうのは”
“どっちにしても哀しいものだ…”
“ほかにないの?コトワザ・・・”
“えーと、これはふたつをくっつけたんだけどね「渡る世間に鬼はいないが人を見たらドロボーと思え」というのがあるよ”
“ウフ、フフフ、それってすごくおかしい!なんだかズバリと人間の世界を言いあてているようね”
まだ悲しみの影を引きずってはいたがカレンの顔には薄日が差したようだった。
“しかし、この辺りには悪い鬼達がいる、麻薬で変心した悪党がね”
“あなたはこの問題に関係しないでね”
“君がぼくだったらどうする?関係しないかい?・・・どうなの? ほっとくかい?”
“わからないわ、そんなこと・・・”
“するにきまってる、だろ?”
“私と一緒に殴りこんでくれるの?”
“そうして欲しい?”
“だめだめ、そんなことだったら私、姉のことを諦める。これ以上に被害を大きくできないもの”
“ちょっとここでデータをノートに書きながら整理しようか。事態をしっかり把握するにはこれが一番だからね、解決の糸口が見えるかも知れないよ。カレンはボクの質問に答えるんだよ、いいね?”
“そうね、いいやり方だわ”
“まず麻薬グループがある、これ人数はどれくらい?”
“8人がメインなの、ボスは特にいないけど、そのうちの3人はとても残虐でね、楽しみながら人を殺すというウワサがあるのよ。ときどきヴィヴィセクションパーティーというのを開くんだって”
“ヴィヴィセクションだって?生きたまま解剖とか?”
“女を裸にして、ベッドに縛りつけてナイフでゆっくりと切り刻むそうよ…”
思わず、ペンの動きが止まった。後頭部がカッと熱くなって髪が逆立ってくるのを感じた。その一言によって闘争本能が引きずり出された。身体がブルッと震えた。筋肉が固くなった。アドレナリンが身体中にズワーッと回り始めたのだ。日頃はもの静かな自分が凶暴になっていくのを抑えようがなかった。その8人の存在を無視して通り過ぎることはもうできないと思った。
以前にFBIがらみの事件があってサンフランのチャイナタウンで4人の麻薬犯を射殺したことがある。あのときはギャングたちに対する憐れみを感じながらトゥリガーを引いたものだった。人間である自分が同じ人間を殺さなければならないという哀しみにまみれながら仕事を果たしたものだった。
だが、今度の奴らは違う、カレン姉妹の敵は人間ではないっ!
“イチローっ、こわい目してる、怖いっ!”
“あっ、ごめん、ごめん…でも怖いのはヤツラだよ”
“人間の目じゃなかったわよ、今の目は…”
“どうして知ってるの? ヴィヴィセクションパーティーとやらの話だけど…”
“兄が見せられたのよ、そのパーティーを。それで兄は口止めしながらも姉に話したの。あまりのことに姉も秘密にしておけなくて私に話したのよ”
“本当のことだろうか?” “あの町では女性がときどき失踪するのよ。身体を売ってる人とか、旅行に来た若い人がね。そんな事件が今年だけでも7件はあったのよ。フェラーリで通りかかった大金持ちの娘が消えたりしてFBIも来たけど解決しないままになってるわ”
“それで、奴らのいる場所は?”
“クオモタウンのブラディーベッドというのが姉の行くストリップバーだということしか知らないわ”
“奴らの特徴はわかる?”
“姉なら知ってるけど私はひとりしか知らないの…あ、新聞に3人のリーダーの写真は載ったことがあったそうよ、なんとか探してみようか?”
“うん、でもどうして新聞に?”
“恐喝罪で訴えられたのよ。たしか3人の名前はジョニーとジェリー、それにジャックだったわ。スリーJギャングとか書いてあったもの。ジョニーだけは私にシツコク言い寄ってきているので知ってるわ、キモチの悪い恐ろしい感じのヒトよ。ふつう、垂れ目ってかわいいものだけど、ジョニーって不気味そのものなのよ…”
“ふん、それで?”
“訴えた男性は裁判中、家に押しこんだ強盗に撃たれて死んだわ…奥さんも子供もよ”
“その強盗は捕まらないんだね”
“みんな犯人が誰だかを知っているのにね…”
“そうか、それだけ有名な悪党なのか。じゃFBIがマークしてるから近いうちに捕まるだろうな。時間はかかるかも知れないが、必ずみんな逮捕されるよ”
“ほんとっ?”
“うんっ、昔はともかく、今のFBIはたいしたものだからね、だいじょうぶだよ”
“でも、今夜までに解決なんて訳にはいかないわよね”
“うん……、姉さんがいて、兄さんがいてと…ブラディーベッドがあってそこにスリーJがいて、兄さんはその仲間で、姉さんは彼のために売春をと…断れば3人とも殺されるということか…ヤツラ知ってるかな、カレンが来てることを?”
“知らないハズよ、姉とは私のモテルで会ったし、アパートにも行ってないしね”
“そう、でも念のために今夜はモテルを移るんだね”
“うん、バッグをピックアップして移るわ…でも、そして私はどうすればいいの?姉のことは?”
“客観的に見て、ここでは兄さんを諦めることになるだろうね。彼のまいたタネだし、人質とはいっても彼はスリーJの仲間になってしまっている。その上に愛する姉さんを売春婦にする側に回っているんだ、もう同情の余地などないよ。姉さんと君は逃げるんだ、それしかない…それにふたりが逃げてもスリーJは兄さんを殺しはしないよ。多少でも兄さんに利用価値がある限りは殺さない。まともな悪党はバカではないからね”
“姉は逃げないわ、身体を売ってでも兄をなんとかしようとするわ・・・そういう人なのよ姉という人は”
“ムリヤリ連れ出したら?”
“だめよ、即断のできない人だから”
“どうしてそんなに彼女は兄さんを溺愛してるの?”
“解らないわ、でも兄は姉を異常に慕っていたわ”
“仲良しキョーダイの溺愛関係、これじゃ、奴らの思うツボというもんだ、どうしようもない!”
“そんなこと言わないで…わたし悲しい…”
“姉さんは意外とこんな状況を心のどこかで楽しんでいるんじゃないかな?妹が心配するほどには本人は苦しんではいない気がしなくはないね”
“それは、ある程度言えてるかも知れない”
“じゃ、姉さんもほっとくか?”
“ほおっとくとどうなるの?”
“ん~、麻薬漬けのジャンキーになる”
“……耐えられないわ…ドイツからの移民の子としてやっとアメリカに根付いた私たち…父が死に、母が死んで、そうして3人でさみしく生きてきたのに…”
“…必ず弱い者がヒドイ目に遭う、か…まったく君の言うとおりだ”
泣き崩れるカレンを前にして、頭に疲れを感じた。さきほどは、カレンの不幸を知って涙が溢れたものの当の本人たちが現状を打破しようという意欲を失っているのだ。カレンの姉にしても救い出すに値するのかどうかさえわからない。
しかし、カレンのストーリーはそれとしても、黙って通過することのできない問題があった。
他でもない、スリーJのことだ。
野放しにできない危険な野獣の巣窟があるという事実は、狩猟本能をそそるのに充分なものがあった。ドクリ、ドクリと、鼓動が強くなり高まっていった。
スプリングフィールドのダウンタウンにあるデニーズに入った。上等なレストランは薄暗いので避けた。
明るいところで快活に事態を分析したかったのだ。しばらくは沈黙したままフィッシュフライを食べた。カレンは野菜サラダにフレンチドレッスィングをかけて少しずつ口に運んだ。まるで毒を飲んでしまったように、その姿は憔悴していた。
運命の毒牙に引っかけられた瀕死のカナリヤは、それでも充分に美しくて魅力に満ちていると思った。
熱いティーを飲みながら彼女に見とれ、そしていろいろと考えていた。
“なーに? どうしたの…”
カレンはチラッと瞳をあげて、また下を向いて小声でそう言った。
“ウン…色の白いは七難かくす、というコトワザがあってね…美人は困難に陥っても必ず男が助けてくれるという意味なんだ”
“…だから?”
“君がこんな魅力のある人でなかったら、ぼくは知らん顔してバイバイしたんだろうなと、そう思ったら自分のエゴがつらくなちゃったんだ…そのうえ、カッコ良く君を助ける能力がぼくにはないしね…”
“あなたって、素直に自分を正視するのね?”
“見たくないけど見えてしまうんだ”
“普通の人は見えているのに見ないのよ”
“ある程度、その方が幸福になれるな”
“見せかけの幸福よ、そういうのは”
“どっちにしても哀しいものだ…”
“ほかにないの?コトワザ・・・”
“えーと、これはふたつをくっつけたんだけどね「渡る世間に鬼はいないが人を見たらドロボーと思え」というのがあるよ”
“ウフ、フフフ、それってすごくおかしい!なんだかズバリと人間の世界を言いあてているようね”
まだ悲しみの影を引きずってはいたがカレンの顔には薄日が差したようだった。
“しかし、この辺りには悪い鬼達がいる、麻薬で変心した悪党がね”
“あなたはこの問題に関係しないでね”
“君がぼくだったらどうする?関係しないかい?・・・どうなの? ほっとくかい?”
“わからないわ、そんなこと・・・”
“するにきまってる、だろ?”
“私と一緒に殴りこんでくれるの?”
“そうして欲しい?”
“だめだめ、そんなことだったら私、姉のことを諦める。これ以上に被害を大きくできないもの”
“ちょっとここでデータをノートに書きながら整理しようか。事態をしっかり把握するにはこれが一番だからね、解決の糸口が見えるかも知れないよ。カレンはボクの質問に答えるんだよ、いいね?”
“そうね、いいやり方だわ”
“まず麻薬グループがある、これ人数はどれくらい?”
“8人がメインなの、ボスは特にいないけど、そのうちの3人はとても残虐でね、楽しみながら人を殺すというウワサがあるのよ。ときどきヴィヴィセクションパーティーというのを開くんだって”
“ヴィヴィセクションだって?生きたまま解剖とか?”
“女を裸にして、ベッドに縛りつけてナイフでゆっくりと切り刻むそうよ…”
思わず、ペンの動きが止まった。後頭部がカッと熱くなって髪が逆立ってくるのを感じた。その一言によって闘争本能が引きずり出された。身体がブルッと震えた。筋肉が固くなった。アドレナリンが身体中にズワーッと回り始めたのだ。日頃はもの静かな自分が凶暴になっていくのを抑えようがなかった。その8人の存在を無視して通り過ぎることはもうできないと思った。
以前にFBIがらみの事件があってサンフランのチャイナタウンで4人の麻薬犯を射殺したことがある。あのときはギャングたちに対する憐れみを感じながらトゥリガーを引いたものだった。人間である自分が同じ人間を殺さなければならないという哀しみにまみれながら仕事を果たしたものだった。
だが、今度の奴らは違う、カレン姉妹の敵は人間ではないっ!
“イチローっ、こわい目してる、怖いっ!”
“あっ、ごめん、ごめん…でも怖いのはヤツラだよ”
“人間の目じゃなかったわよ、今の目は…”
“どうして知ってるの? ヴィヴィセクションパーティーとやらの話だけど…”
“兄が見せられたのよ、そのパーティーを。それで兄は口止めしながらも姉に話したの。あまりのことに姉も秘密にしておけなくて私に話したのよ”
“本当のことだろうか?” “あの町では女性がときどき失踪するのよ。身体を売ってる人とか、旅行に来た若い人がね。そんな事件が今年だけでも7件はあったのよ。フェラーリで通りかかった大金持ちの娘が消えたりしてFBIも来たけど解決しないままになってるわ”
“それで、奴らのいる場所は?”
“クオモタウンのブラディーベッドというのが姉の行くストリップバーだということしか知らないわ”
“奴らの特徴はわかる?”
“姉なら知ってるけど私はひとりしか知らないの…あ、新聞に3人のリーダーの写真は載ったことがあったそうよ、なんとか探してみようか?”
“うん、でもどうして新聞に?”
“恐喝罪で訴えられたのよ。たしか3人の名前はジョニーとジェリー、それにジャックだったわ。スリーJギャングとか書いてあったもの。ジョニーだけは私にシツコク言い寄ってきているので知ってるわ、キモチの悪い恐ろしい感じのヒトよ。ふつう、垂れ目ってかわいいものだけど、ジョニーって不気味そのものなのよ…”
“ふん、それで?”
“訴えた男性は裁判中、家に押しこんだ強盗に撃たれて死んだわ…奥さんも子供もよ”
“その強盗は捕まらないんだね”
“みんな犯人が誰だかを知っているのにね…”
“そうか、それだけ有名な悪党なのか。じゃFBIがマークしてるから近いうちに捕まるだろうな。時間はかかるかも知れないが、必ずみんな逮捕されるよ”
“ほんとっ?”
“うんっ、昔はともかく、今のFBIはたいしたものだからね、だいじょうぶだよ”
“でも、今夜までに解決なんて訳にはいかないわよね”
“うん……、姉さんがいて、兄さんがいてと…ブラディーベッドがあってそこにスリーJがいて、兄さんはその仲間で、姉さんは彼のために売春をと…断れば3人とも殺されるということか…ヤツラ知ってるかな、カレンが来てることを?”
“知らないハズよ、姉とは私のモテルで会ったし、アパートにも行ってないしね”
“そう、でも念のために今夜はモテルを移るんだね”
“うん、バッグをピックアップして移るわ…でも、そして私はどうすればいいの?姉のことは?”
“客観的に見て、ここでは兄さんを諦めることになるだろうね。彼のまいたタネだし、人質とはいっても彼はスリーJの仲間になってしまっている。その上に愛する姉さんを売春婦にする側に回っているんだ、もう同情の余地などないよ。姉さんと君は逃げるんだ、それしかない…それにふたりが逃げてもスリーJは兄さんを殺しはしないよ。多少でも兄さんに利用価値がある限りは殺さない。まともな悪党はバカではないからね”
“姉は逃げないわ、身体を売ってでも兄をなんとかしようとするわ・・・そういう人なのよ姉という人は”
“ムリヤリ連れ出したら?”
“だめよ、即断のできない人だから”
“どうしてそんなに彼女は兄さんを溺愛してるの?”
“解らないわ、でも兄は姉を異常に慕っていたわ”
“仲良しキョーダイの溺愛関係、これじゃ、奴らの思うツボというもんだ、どうしようもない!”
“そんなこと言わないで…わたし悲しい…”
“姉さんは意外とこんな状況を心のどこかで楽しんでいるんじゃないかな?妹が心配するほどには本人は苦しんではいない気がしなくはないね”
“それは、ある程度言えてるかも知れない”
“じゃ、姉さんもほっとくか?”
“ほおっとくとどうなるの?”
“ん~、麻薬漬けのジャンキーになる”
“……耐えられないわ…ドイツからの移民の子としてやっとアメリカに根付いた私たち…父が死に、母が死んで、そうして3人でさみしく生きてきたのに…”
“…必ず弱い者がヒドイ目に遭う、か…まったく君の言うとおりだ”
泣き崩れるカレンを前にして、頭に疲れを感じた。さきほどは、カレンの不幸を知って涙が溢れたものの当の本人たちが現状を打破しようという意欲を失っているのだ。カレンの姉にしても救い出すに値するのかどうかさえわからない。
しかし、カレンのストーリーはそれとしても、黙って通過することのできない問題があった。
他でもない、スリーJのことだ。
野放しにできない危険な野獣の巣窟があるという事実は、狩猟本能をそそるのに充分なものがあった。ドクリ、ドクリと、鼓動が強くなり高まっていった。
2013年02月23日
アシのある風景
市 (2013年02月23日 13:33)
│Comments(2)
│語りのプラザ

パサデナちゅうところのホテルに入る
ところで〜す・・・

荷を解いて落ち着きました〜
熱い風呂にもザンブリと入りました〜

久しぶりに安い番組など観ながらくつろぎ
そして考え事をしています・・・
なぜ見苦しいアシなどのフォトを?・・・
「人間は考えるアシである」なんてこと
聞いたことがあるので・・・(^o^)
これで笑った人には「タスカルの原理」
がはたらいて、助かるのです。
あれっ?
ちょっとちがうね〜(^0^;)(◎-◎;)
たまにはこんなドベタフォトも新鮮組
で今度うは勇んでもっといいのを
載せますね〜(^・^)
2013年02月23日
哲学とは人と自分を識ること
市 (2013年02月23日 09:09)
│Comments(5)
│語りのプラザ
正義と悪。 最近の“正義”に関する考え方は、イチローさんの述べられる正義とは異なり、深い考察抜きであまりにも単純化され過ぎてるような気がします。 後ろめたい部分を隠す“単純化された正義”は、暴走するので恐ろしいものです。 イチローさんの作品を確か当時中学生か小学校6年生くらいで読ませてもらいました。(新聞配達もせず、立ち読みで、すみません。) 一人の命を奪えば殺人なのに、戦時では多くの敵を殺せば英雄とされることに気付かされたときは、頭をガツンと叩かれました。 日本でもフランスみたいに義務教育の中学生くらいに「哲学」を必修となればと思っています。複雑な“正義”や、生まれたからには必ず死ぬことを踏まえて、年取ってからではなく、若い自分から亡くなるときの蘇生処置の有無をどうするか、 胃瘻に対する考えやその反対側にある妊娠中の出生前診断など具体的なことを義務教育中から考える機会を作ってくれればと思います。 イチローさんの述べられる正義、後ろめたさを隠す正義をしっかり考えなければ、薄っぺらな人間にしかなれないと思うのです。
Ignacio,M.D.
そうですよね! うんっ(^-^)
我々人間とはどういう生き物なのか??
これを大人達の経験で解った事から
人の特徴、見分け方、愛し方、逃げ方(笑)
自分の性格を分析する方法、対人関係の
在り方、正義とは? 悪とは?
などなどに関する哲学のクラスがあって
当然ですよね〜
そういった「人間教育の時間」がないのって
オカシ過ぎですよね。
自分の存在も、人間とはどういうものかも
まったく習わないままにオトナになるとした
ら大きなハンディになるのではないかと。
うんとムカシは親や祖父母たちがシッカリ
していましたがね〜・・今は・・・(>_<)
市@macdo-盗電中
macdo-
↑
マクドーやねん(^。^)
こーひーのんでるねん(^^)
ちょっと少しかなり忙しかったのが
一段落し、これから一週間近くは
本格的に忙しくなるんです(;O;)(; ;)
フリーランスって引退するのが難しいと
つくづく想うこの頃です(-。-;)
Ignacio,M.D.
そうですよね! うんっ(^-^)
我々人間とはどういう生き物なのか??
これを大人達の経験で解った事から
人の特徴、見分け方、愛し方、逃げ方(笑)
自分の性格を分析する方法、対人関係の
在り方、正義とは? 悪とは?
などなどに関する哲学のクラスがあって
当然ですよね〜
そういった「人間教育の時間」がないのって
オカシ過ぎですよね。
自分の存在も、人間とはどういうものかも
まったく習わないままにオトナになるとした
ら大きなハンディになるのではないかと。
うんとムカシは親や祖父母たちがシッカリ
していましたがね〜・・今は・・・(>_<)
市@macdo-盗電中
macdo-
↑
マクドーやねん(^。^)
こーひーのんでるねん(^^)
ちょっと少しかなり忙しかったのが
一段落し、これから一週間近くは
本格的に忙しくなるんです(;O;)(; ;)
フリーランスって引退するのが難しいと
つくづく想うこの頃です(-。-;)
2013年02月23日
直感力で勝負
市 (2013年02月23日 08:43)
│Comments(2)
│語りのプラザ
>>今日、自分も部下に話をしました。 「人生や仕事には『分析』が大切」であると。 できれば、3回以上、「何故?」と考えることが 必要だと。 そして、上記と矛盾するようだが、「常に戦士としての感覚を磨き、自分のバランス感覚を大切にして、即決する習慣を持つこと」が大切だと。即ち、「好き」と「嫌い」の状況判断の技術を磨くことです。 方面軍砲兵に時間はあっても、戦闘機のパイロットや、ストリートファイターには分析の時間がない。大作戦の名参謀となる学習と、俊敏な優れた兵士たる嗅覚の両方を養い、状況に応じて使い分けなければ生き残れない、良く生きることができないと思っています。
maj.m
人は物心つく頃から選択の連続で、
そこから蜘蛛の巣のように人生が複雑化
していきますよね。
始めは、食べ物はどれにする?
オモチャはどれ? に始まり
学校はどこ?
就職はどこ?
配偶者は誰?
子供は作る?
子供はどう育てる?
学校は? 就職は?定年は? 老後は?・・・
いったい我々は1年にどれくらいの回数の
選択をするのでしょう???
で、これらの決定は勘または感情に頼って
いるのではないのでしょうかね〜
つまり「好き」か「嫌い」で左右どちらかに
目まぐるしく動きながら生活しているように
観えるのですよね〜
これを「正しい」か「間違い」で区切ると
したら、後になって正しかったか間違い
だったかなんて判断のつけようもなくなり、、
「直感力を磨いて本能を強化しよう」と、
ワシはよく想っていましたよ。
maj.m
人は物心つく頃から選択の連続で、
そこから蜘蛛の巣のように人生が複雑化
していきますよね。
始めは、食べ物はどれにする?
オモチャはどれ? に始まり
学校はどこ?
就職はどこ?
配偶者は誰?
子供は作る?
子供はどう育てる?
学校は? 就職は?定年は? 老後は?・・・
いったい我々は1年にどれくらいの回数の
選択をするのでしょう???
で、これらの決定は勘または感情に頼って
いるのではないのでしょうかね〜
つまり「好き」か「嫌い」で左右どちらかに
目まぐるしく動きながら生活しているように
観えるのですよね〜
これを「正しい」か「間違い」で区切ると
したら、後になって正しかったか間違い
だったかなんて判断のつけようもなくなり、、
「直感力を磨いて本能を強化しよう」と、
ワシはよく想っていましたよ。
2013年02月23日
人間の不思議
市 (2013年02月23日 08:23)
│Comments(0)
│語りのプラザ
>>法律ではなく、まるで小学校の
“帰りの会”で、“女子と男子の喧嘩を
防ぐためのルール決め”
みたいな感じですね(>_<)
Ignacio,M.D.
国の最高学府を出てですよ、国民のための
政治を司る人間たちがですよ、、
教養の高いはずのオトナがですよ、、
どうしてこんなに愚かなのでしょうね〜
(@_@;)リーダーになるべき人を強欲人間
たちが引き摺り落とし、洞察力のない
人間が集まって多数決で方針を決めて・・
これでは良い方向に船が進むわけが
ないのに、どうして人間ってこんなに
愚かでいられるのか・・
そこがどうにも解らないのですよね〜(*_*)
強いて考えれば、
人間はフルタイムセックス動物として
ディザインされているので、人口調整の
ためにウンと争い、せっせと自然淘汰
させるという機能を持たせる必要が
あったのではないかと・・・
かくして大戦争または星が吸い寄せられ
てくるなどの大災害が近いという気も
しますね〜…>_<…
“帰りの会”で、“女子と男子の喧嘩を
防ぐためのルール決め”
みたいな感じですね(>_<)
Ignacio,M.D.
国の最高学府を出てですよ、国民のための
政治を司る人間たちがですよ、、
教養の高いはずのオトナがですよ、、
どうしてこんなに愚かなのでしょうね〜
(@_@;)リーダーになるべき人を強欲人間
たちが引き摺り落とし、洞察力のない
人間が集まって多数決で方針を決めて・・
これでは良い方向に船が進むわけが
ないのに、どうして人間ってこんなに
愚かでいられるのか・・
そこがどうにも解らないのですよね〜(*_*)
強いて考えれば、
人間はフルタイムセックス動物として
ディザインされているので、人口調整の
ためにウンと争い、せっせと自然淘汰
させるという機能を持たせる必要が
あったのではないかと・・・
かくして大戦争または星が吸い寄せられ
てくるなどの大災害が近いという気も
しますね〜…>_<…
2013年02月22日
★楽しいプラクティス★ 紫電の炎
市 (2013年02月22日 13:15)
│Comments(8)
│語りのプラザ
★楽しいプラクティス★
“さぁーて、ミスカレン、プラクティスを始めるけど、その前にどんな練習をしたいのか聞きたいところですぞ”
“どんなって?”
“練習ったっていろいろあるんだ。スローファイヤのブルズアイとかドロウの訓練とか近接コンバットとかスタンスの基礎作りとか、ウィークハンドの集中訓練とかストロングハンドのポイントショルダー、ムーヴァー撃ち、ランニングシュート、バリケイド。それにムーヴメント、ドアエントリーなどなどハンドガンテクニックもいっぱいあるんだよ。他の武道と一緒でね、一人前になるにはミッチリはまりこんで3年はかかるんだ”
“どんな道も遠いのね・・・”
“だから、練習のときはあれもこれもと言わず、ひとつふたつの項目に限って撃ちこむんだ。ただターゲットに向けてバンバン撃つのは遊びとしては良いけど練習にはならず時間とタマがムダなだけ、常になんらかの目的を持ち、自分の技量を見つめながら創意と工夫で技術を改革しながら鍛錬するんだよ”
“そうなのね、わかりました”
“だから今日はなにをやりたいのか、それを決めよう”
“…わたしね、クロウスアタックの練習を習いたいの…”
“うん、近接コンバットか…じゃファンダメンタル スピードシューティンをやろうかね”
“…ね、驚かないの?”
“なにが?”
“人殺しのテクニックを習いたいって私は言ってるのよ、オンナのわたしが…”
“ハハハ、なにをカレンは言ってるの?拳銃という小型機械は人を撃つために造られているんだぞ。スポーツとしても世界中に広まって射撃はスポーツだと信じている人もいるけど、ハンドガンの本来の目的は人間や動物の命を絶つということにあるんだ。だからピストルを持ったら人殺しの訓練をするのもアタリマエと言うものだよ、違うかい?” “………”
“P7は純粋の殺人道具だ。闘いの宿命を背負ってこの世に存在する殺戮のトゥール。精密に人の命を絶つためのサラブレッドなんだ…持ち主はコイツを使いこなすために鍛錬しなければ無意味というものさ”
“殺戮のトゥール……なのね?”
“こわい? 君の用心棒クンが?”
“そうハッキリ言われるとツライものがあるわ。わたし護身用というコトバにボンヤリとしたロマンティックなイメイジしか持っていなかったから…”
“よくそれで心理学者のタマゴがつとまるね〜、あのね、殺人道具という言葉にショックを感じるのは、殺人が悪だという固定概念があるからではないの?”
“えっ?どうゆうこと?”
“殺人は悪いことだとは限らないだろ?世の中には死んだ方がいいヤツとか死ななければならないヤツ、それに生かしておけないヤツがいるじゃないか”
“でも、それは法律と警察の仕事よ、一般人がやったら犯罪なのよ”
“そこなんだ。殺人は悪、犯罪は悪、そう決めつけるところに人間のオロカさがあると思う。警察も手を出せない汚職政治家を狙撃したら刑務所行きだが、戦争では相手国の良いお父ちゃんをたくさん殺すほど英雄としてカネと勲章をもらえるんだよ。ヘンだと思わないかい?…”
“じゃ、正義と悪はどう決めて行けばいいの?なにが悪でなにが正義なの?”
“世には正も悪も存在しないよ”
“そんな!…そうかしら・・・どうして?”
“正も悪も人間がつくりあげたマボロシなんだ。いいかい?「悪」というのは「嫌い」という意味をもっともらしくした言葉なんだと想わないかい?”
“う〜ん・・・じゃ、正義はなんなの?”
“「正義」とは「好き」という言葉から後ろめたさを隠蔽したものさ”
“・・・・・・・”
“キライだから殺す、スキだから助けると、そう言ってるのならとても自然だ。動物界の自己保存の本能そのままだから納得がいく。でも正義だ悪だとワメキだす人間を見ると、そこにはエゴの腐臭がしてくるんだ。せっかく人間が持っている良心という微弱なタカラものをヤツラから感じ取ることはできないんだ“
“……そうか…そうなのね、スキかキライかという基準で考えていけば、価値判断がハッキリとして自分の進む方向は見えてくるような気がするわ…”
“そう、だから、ぼくの心には悪とか正義とかいう言葉はない。かわりにスキとキライというモノサシ言葉があるだけだ。だから、カレンが人殺しの練習をしたってなにも驚かないというわけだよ。君が銃をとって人を撃つとき、それがどんなカタチであれ、ぼくの心を裏切るものじゃないと信じているしね”
“ありがとう、自分の命の使い方が解ってきそうよ”
“クヨクヨするのは人生はあまりにも短すぎる、サアサア、練習だ!リクツはどうあれ、ハンドガンのシューティングはカケネなしに楽しいものだよ”
四角いヘッドが付いた IPSC 用のターゲットを使うことにしてステイプラーで木枠に2枚を貼った。ターゲットを貼り終えたところでステイプラーをカレンに向けて撃つ。コの字形の針がどういうわけかピンクのシャーツに貼り付いた。
“うらやましい・・・”
“えっ? なぁに?”
“うっ? いや、ほら、いまボクのPセブンでカレンは撃たれたんだ”
“うん、ほんとに音が似ているわね〜”
“ところでお父さんには拳銃の撃ち方をどんなふうに習ったの?”
“えーと、両手で持ってリアサイトの間にフロントサイトを並べて目の焦点はフロントに合わせてトゥリガーは引き絞るようにゆっくりと引く・・・だったわ・・・25ヤードで4インチのブルズアイに半分くらいは当たったかなぁ・・・”
“そうか、ではまず2mの距離に立って撃とうかね、はいここに立ってごらん”
“わぁー、こんなにターゲッツが近い!”
カレンは怪訝そうだった。
“では、銃を両手で持って銃が胸の前にくるように持ち、ブザーがなったらターゲッツを犯人だと想って1発ずつ撃ってみよう”
“わかったわ、マイティーチャー!”
タイマーを鳴らす、するとカレンはカキンとPセヴンのセフティーを切りざまに2発を連射した。大胆な動きだ、瞬発力もある。適性はあると感じた。1.4秒で弾丸は各ターゲットの中心付近を貫いていた。カレンはなにかを考えているようだった。
“どう想っているの?”
“このターゲットが犯人だとしたら、ゆっくり撃ってもだめだと想ったのよ”
“そうだね、トゥリガーを引き絞るように、なんて時間はないよね?・・・で、フロントとリアサイトを合わせて撃ったの?”
“それがぜんぜん見ないで撃ってしまったのよ、だってそんな時間ないし・・・自分でも変だと想うのだけれど・・・”
“つまりお父さんの言いつけをすっかり無視してしまったわけだね?・・・どうしてかな?”
“いえることはひとつだわ、それはあなたは父と違って危険そうだってことよ”
“危険だってぇ〜?”
“悪い人間にとってわね・・・という意味よ”
“ティチャースペット♪”
“なんの歌? それ・・・”
“ぼくがティーチャーで君はペットさ”
“なんのこと?”
“先生のお気に入りってこと・・・君は学校でも先生から好かれただろう?”
“教え甲斐がある、とは言われたわ”
“いやまったく彼は正しい、では今のを繰り返してやろう、だんだんにスピードを上げようか・・・”
2mからの2発、この訓練を30分ほどつづける。するとカレンの動きにはスピードがつきゆとりも生まれた。水を飲んで続ける。次は3mから同じことを繰り返す。そして次は4mに退ってまた撃つ。
“疲れないかい?”
“大丈夫よ、それよりとっても新鮮、普通のターゲット射撃では味わえない世界だわ・・・でもね、4mになってから当たる範囲が広がってきているのよ、これはどうすればいいの? スピードを落とすの? かまわず速く撃っていいの? ”
“速く撃つとどうなると想う?”
“真ん中に当たらなくなると想う”
“ガンファイトで真ん中を外すとどうなるのかな?”
“相手は倒れない、と習ったわ・・・”
“すると君が撃たれることになるね・・・”
“・・・精度を優先せよとおっしゃるのね、マイティーチャー?”
“イエース、マイペット君、それだよ”
“精度を上げると撃つのが遅くなって、その分撃たれる確率があがるのはどう考えればいいの?”
“それでも精度を保つほうがいいよ”
“相手も銃を持っている、撃たれるのは覚悟をしろ、という意味?”
“まさに、そうだよ”
“あなたは私よりもずっと速いのね?”
“ここではそう変わらないよ君と、そして1秒相手よりも速くヒットしたとしても相手は死にながらも撃ってくるよ”
“ではこの練習の意味はどこにあるの?”
“これはファンダメンタル、つまり基礎射撃というわけさ、じっさいはこのように相手と向かい合って撃ち合ってはいけないし、今やっているのはただ狙った相手を確実に倒すための訓練というわけだよ、で、次はターゲットを1つだけにしよう、そしてブザーが鳴ったら相手が倒れるまで撃ち続けるという訓練に切り替える”
“倒れるまでって?”
“弾丸が心臓のあたりに3発くらいは当たったという手応えがあるまで撃つ、まあ5発くらいかな?”
“たくさん撃つのね?”
“そう、人間の身体に1発の銃弾が当たって即死する確率は20%もない。撃たれた相手の意識が2秒間でもあったら弾倉が空になるまで君に撃ち込んでくるんだ・・・が、そのことは後回しにしてもっと基礎をやろうよ”
こうしてカレンはまた真剣に練習を始めた。スペアマグが1個しかないのでタマを詰めてやるのに忙しく、しまいには指が痛くなった。でも、幸福な気持ちだった。
“あー、もう続かないわ、腕と目が限界だわ…でもインスティンクトシューティンの感覚らしいものは判ってきたのよ”
“それは良かったじゃない”
“ところまた質問なのだけど、人を実際に撃つのって難しいことなのね?”
“そうだなあ…撃つことは簡単だけど、撃つまでがタイヘンというところかな?”
“どういう意味?”
“人はね、そこのターゲットみたいにつっ立って待っていてはくれないのだよ。場合によってはアッチもガンで狙ってくることもあるしね”
“そうよね…それで?”
“こっちのイノチはひとつ、つまりたったの1発食らってもオワリだから、ゼッタイに勝てるときだけ闘うという心がけが必要だよ”
“そんなの可能?”
“可能もなにも、そうするしか他に生きる道はないのだよ。だから、撃ちたいヤツがいたら後ろからとか、相手が武器を持っていないときとか、カンペキに油断しているときだとか、そういった状況で攻撃をかけるのが本当のガンファイターなんだな”
“ヒキョーな感じだわね”
“賢いと言ってほしいね、カレンがここのところをキチンと理解しないかぎりはガンファイターにはなれないぞ”
“ふふふ、ムキにならないでねマイティーチャー、さっきの話からそれは納得しているのよ・・・ところでほかの質問だけれど、あなたは撃ったことある?人を?”
“・・・えー…、ないよ〜…”
“あっ!あるのねっ?”
“ナイナイ、ないってば”
“あるわよ、だれにも言わないから言いなさいっ!”
“ホント…ないよ”
“ダメダメ、質問されてからあなたの目のまばたきの回数が増えたし、視線も宙に浮いたわ。これは真実を言ってないときの基本的な兆候なんですからね。心理学者の観察はするどいのよっ! 精神性発汗を調べたらすぐに判ることなんだから…ほら、あなたの手のひら、わずかに湿っている・・・これが証拠だわ・・・でも、もうこれ以上は聞かないでおくわね、ワケありのようだし…”
“なんのこと? うるわしき乙女に手を握られて平然としている男などいるとでも?・・・汗が滝のように流れ出ても自然なことだよ・・・”
“…そうか、後ろからとか、武器を持ってない相手を撃つのか…それなら難しくはなさそうそうね”
“そんなに皮肉っぽく言わなくてもいいだろ?そんな状況にもって行くのはやさしくないのだから。闘いというのは作戦にあるということなんだ。お互いが銃を持って正面から撃ち合うなんてことはゼッタイに避けるのがプロの道なんだ。流れダマや、まぐれあたりの恐ろしさときたらもう…とはいえ、そうも行かないことがたまにはあるけどね”
“あのね、私ね、相手に発砲のチャンスを与えないというあなたのやり方、内心ではとても理にかなっていると想っているのよ。ちょっと感動的な教えだと想うわ・・・ただあなたと同じでスラッとお世辞を言えない私があるだけなのよ・・・”
“そうか・・・どこまでボクの心を読んでいるのか判らないけど・・・ちょっとコワイね、心理学はタマゴでも・・・”
“・・・ねえ?私のような新米でも闘うことができるかしら?”
“昨日のチンピラくらいとならね”
“相手が複数で、銃を持っていたら?” “ダメ!相手がひとりでも、銃を持ったヤツとやり合ってはいけないよ”
“じゃ、どうするの?” “近付かないか、逃げるか、あやまるかだね”
“囲まれて、レイプされるようなときは?”
“生命をかけて闘うか、苦しみに耐えて生きのびるかだろう…君のそのときの価値観にまかせるしかない”
“価値観が生きるか死ぬかを分けるのね?”
“うん、生命というものは、ときにはまるで薄氷のようにもろいものだよ”
“ほんとに、わたしもそう思う…”
“ところで、今度はボクからの質問だけどね“
“なあに?”
“君は誰と闘うつもり?P7M13という相棒と一緒に誰を相手にするの?…”
“えっ?どうしてそんなこと聞くの?そんなつもりなんてないわよ”
“あっ!まばたきが増えた!視線もそらしたぞ!手のひらが湿った! 精神性の発汗だっ!”
“…シャーラーップ、からかわないでよ”
“君は突然に練習したいと言った。その練習には普通でない熱心さがあった。撃ち方に憎しみと怯えが感じられた。焦りもあった。タマを1000発も持ってきた……たしかに君はシューティングを楽しんでいた、だが笑顔がどこか空虚だった・・・これだけの根拠があるんだけど、もっと解説が必要?”
“……………”
“話すんだカレン、秘密は守るから…ねっ?”
“・・・ぜったいに、守ってくれる?”
“誓う!”
“でも・・・なぜ聞きたいの?”
“君を愛しているからだ…愛した人がトラブルしてたらなんとかしたいだろ?誰だってそうだろ?知らん顔なんてしないだろ?”
するとカレンは空の遠くに視線を投げた、そしてしばらく考えてから言葉を出した。
“……監禁されてるの”
遠くを見やったまま、そう言った。
“兄さんが、だね?…麻薬グループに?”
“警察に言えば殺すって…兄妹3人ともに…”
“それで、ヤツラはどうしろって?”
“姉を働かせて15万ダラ作って返せって要求してきたの・・・”
“フーン、1ヵ月に500ダラ返して何年かかるのかな、エーと…”
“違うのよ、姉は客をとらされるの、彼らのバーに住みこんで……だから銀行は今日で辞めたのよ”
“えっ!…強制売春か!”
“姉は今夜から行くの……”
“警察に連絡しよう!”
“したわ、きのうの夜に…でも証拠もなにもないし、姉の自由意思でバーで働くのじゃないかって言うの。あっちには弁護士もいてどうしようもないのよ…兄は証言なんてぜったいにしないし…”
“…そうか、それで君は独りでヤツラにアタックしようと考えた…”
“…それほどハッキリした考えはないわ、彼らと闘って勝てるとは思えないし…ただね、今日という精神的にハードな日をボンヤリとなにもせずに過ごすなんて気が狂いそうだと思ったの・・・そうしたらPセヴンを撃ちたくなったのよ…それだけなの・・・”
そう言うカレンの肩が小刻みに揺れた。あのトビ色の美しい瞳からは大粒の涙がハラハラとこぼれ落ちる。
とめどもなく流れ出る悲しい涙を拭おうともせずに彼女は夕日に向かい、小柄な身体を震わせて泣いていた。
こんな、とてつもない困難を抱えこんでいるのにカレンはさっきまで笑顔を絶やさなかったのだ。その気丈さに感動した。この、カナリヤのように華奢な身体のどこにそんな強靭な精神が宿っているのだろう。
薄暗くなったレンジには弾痕だらけのターゲットが静かに立っていてシューティングラインの右側には無数の空ヤッキョウが散らばって鈍く光っていた。
ボーゼンとなった。
思考が途絶えた。涙がこみ上げてきた。涙が出たとたんに哀しくなってカレンと一緒に佇んでしばらく泣いた。
不幸だらけの世の中。困難だらけの人の道。そんな情景の中にあって、何か抜き差しならないものを感じていた。
やがて、理性が戻ってきた。
…どうしよう…これは個人で解決できるようなことではない、頼めるところもない、かといってそのまま放置できる問題ではない。ここでカレンの困窮に背を向けて逃げ出すことはできるが、そんな自分には耐えがたいものがある。空疎な精神はいやだ!勇気を出そう!こんなときにまず必要なのは勇気なのだ…でも、どうするんだ?・・・いったい…いや、闘ったら負けると頭から決めているが、本当にそうだろうか?麻薬ギャングといっても強力な集団だとは限らないではないか…こっちだって2年以上もスワットのトレイニングを受けてきたのだから相手次第では案外…いったいどんな奴らなのか?・・・
そんなことを、じっと考えた。
“よぉし! カレン、どこか明るいレストランに行って軽いものでも食べよう、ねっ?熱いティーを飲もう、そして考えるんだ。しっかり考えよう。たった今できることはそれしかないんだから・・・そうだろ?”
そう言って、カレンを包むように抱いた。
仰向いたカレンの濡れた頬にキスをした。
彼女の涙は生まれ故郷の屋久島の海と同じ味がした。カレンは抱擁に応えて両腕の力を強めた。銃の道に生きる自分、もとより弾丸に当たって死ぬのは覚悟のうえだ。涙した後は気持ちが軽くなる。覚悟ができて怖れも消える。熱いティーを早く飲みたいと思った。
〔裏話〕
この章は、訓練方法がオリジナル小説と
まったく異なっています。
ムカシと今ではワシの教え方は随分と
変わり、より単純で明日から役に立つと
いう射撃方法に進化しているのです。
そして・・・
「“じゃ、正義と悪はどう決めて行けば
いいの?なにが悪でなにが正義なの?”
“世には正も悪も存在しないよ”
“そんな!…そうかしら・・・どうして?”
“正も悪も人間がつくりあげたマボロシ
なんだ。いいかい?「悪」というのは
「嫌い」という意味をもっともらしくした
言葉なんだと想わないかい?”
“う〜ん・・・じゃ、正義はなんなの?”
“「正義」とは「好き」という言葉
から後ろめたさを隠蔽したものさ”」
↑
ここの部分ですが、この小説ではこれを
市は言いたかったのです。
どう想いますか?
“さぁーて、ミスカレン、プラクティスを始めるけど、その前にどんな練習をしたいのか聞きたいところですぞ”
“どんなって?”
“練習ったっていろいろあるんだ。スローファイヤのブルズアイとかドロウの訓練とか近接コンバットとかスタンスの基礎作りとか、ウィークハンドの集中訓練とかストロングハンドのポイントショルダー、ムーヴァー撃ち、ランニングシュート、バリケイド。それにムーヴメント、ドアエントリーなどなどハンドガンテクニックもいっぱいあるんだよ。他の武道と一緒でね、一人前になるにはミッチリはまりこんで3年はかかるんだ”
“どんな道も遠いのね・・・”
“だから、練習のときはあれもこれもと言わず、ひとつふたつの項目に限って撃ちこむんだ。ただターゲットに向けてバンバン撃つのは遊びとしては良いけど練習にはならず時間とタマがムダなだけ、常になんらかの目的を持ち、自分の技量を見つめながら創意と工夫で技術を改革しながら鍛錬するんだよ”
“そうなのね、わかりました”
“だから今日はなにをやりたいのか、それを決めよう”
“…わたしね、クロウスアタックの練習を習いたいの…”
“うん、近接コンバットか…じゃファンダメンタル スピードシューティンをやろうかね”
“…ね、驚かないの?”
“なにが?”
“人殺しのテクニックを習いたいって私は言ってるのよ、オンナのわたしが…”
“ハハハ、なにをカレンは言ってるの?拳銃という小型機械は人を撃つために造られているんだぞ。スポーツとしても世界中に広まって射撃はスポーツだと信じている人もいるけど、ハンドガンの本来の目的は人間や動物の命を絶つということにあるんだ。だからピストルを持ったら人殺しの訓練をするのもアタリマエと言うものだよ、違うかい?” “………”
“P7は純粋の殺人道具だ。闘いの宿命を背負ってこの世に存在する殺戮のトゥール。精密に人の命を絶つためのサラブレッドなんだ…持ち主はコイツを使いこなすために鍛錬しなければ無意味というものさ”
“殺戮のトゥール……なのね?”
“こわい? 君の用心棒クンが?”
“そうハッキリ言われるとツライものがあるわ。わたし護身用というコトバにボンヤリとしたロマンティックなイメイジしか持っていなかったから…”
“よくそれで心理学者のタマゴがつとまるね〜、あのね、殺人道具という言葉にショックを感じるのは、殺人が悪だという固定概念があるからではないの?”
“えっ?どうゆうこと?”
“殺人は悪いことだとは限らないだろ?世の中には死んだ方がいいヤツとか死ななければならないヤツ、それに生かしておけないヤツがいるじゃないか”
“でも、それは法律と警察の仕事よ、一般人がやったら犯罪なのよ”
“そこなんだ。殺人は悪、犯罪は悪、そう決めつけるところに人間のオロカさがあると思う。警察も手を出せない汚職政治家を狙撃したら刑務所行きだが、戦争では相手国の良いお父ちゃんをたくさん殺すほど英雄としてカネと勲章をもらえるんだよ。ヘンだと思わないかい?…”
“じゃ、正義と悪はどう決めて行けばいいの?なにが悪でなにが正義なの?”
“世には正も悪も存在しないよ”
“そんな!…そうかしら・・・どうして?”
“正も悪も人間がつくりあげたマボロシなんだ。いいかい?「悪」というのは「嫌い」という意味をもっともらしくした言葉なんだと想わないかい?”
“う〜ん・・・じゃ、正義はなんなの?”
“「正義」とは「好き」という言葉から後ろめたさを隠蔽したものさ”
“・・・・・・・”
“キライだから殺す、スキだから助けると、そう言ってるのならとても自然だ。動物界の自己保存の本能そのままだから納得がいく。でも正義だ悪だとワメキだす人間を見ると、そこにはエゴの腐臭がしてくるんだ。せっかく人間が持っている良心という微弱なタカラものをヤツラから感じ取ることはできないんだ“
“……そうか…そうなのね、スキかキライかという基準で考えていけば、価値判断がハッキリとして自分の進む方向は見えてくるような気がするわ…”
“そう、だから、ぼくの心には悪とか正義とかいう言葉はない。かわりにスキとキライというモノサシ言葉があるだけだ。だから、カレンが人殺しの練習をしたってなにも驚かないというわけだよ。君が銃をとって人を撃つとき、それがどんなカタチであれ、ぼくの心を裏切るものじゃないと信じているしね”
“ありがとう、自分の命の使い方が解ってきそうよ”
“クヨクヨするのは人生はあまりにも短すぎる、サアサア、練習だ!リクツはどうあれ、ハンドガンのシューティングはカケネなしに楽しいものだよ”
四角いヘッドが付いた IPSC 用のターゲットを使うことにしてステイプラーで木枠に2枚を貼った。ターゲットを貼り終えたところでステイプラーをカレンに向けて撃つ。コの字形の針がどういうわけかピンクのシャーツに貼り付いた。
“うらやましい・・・”
“えっ? なぁに?”
“うっ? いや、ほら、いまボクのPセブンでカレンは撃たれたんだ”
“うん、ほんとに音が似ているわね〜”
“ところでお父さんには拳銃の撃ち方をどんなふうに習ったの?”
“えーと、両手で持ってリアサイトの間にフロントサイトを並べて目の焦点はフロントに合わせてトゥリガーは引き絞るようにゆっくりと引く・・・だったわ・・・25ヤードで4インチのブルズアイに半分くらいは当たったかなぁ・・・”
“そうか、ではまず2mの距離に立って撃とうかね、はいここに立ってごらん”
“わぁー、こんなにターゲッツが近い!”
カレンは怪訝そうだった。
“では、銃を両手で持って銃が胸の前にくるように持ち、ブザーがなったらターゲッツを犯人だと想って1発ずつ撃ってみよう”
“わかったわ、マイティーチャー!”
タイマーを鳴らす、するとカレンはカキンとPセヴンのセフティーを切りざまに2発を連射した。大胆な動きだ、瞬発力もある。適性はあると感じた。1.4秒で弾丸は各ターゲットの中心付近を貫いていた。カレンはなにかを考えているようだった。
“どう想っているの?”
“このターゲットが犯人だとしたら、ゆっくり撃ってもだめだと想ったのよ”
“そうだね、トゥリガーを引き絞るように、なんて時間はないよね?・・・で、フロントとリアサイトを合わせて撃ったの?”
“それがぜんぜん見ないで撃ってしまったのよ、だってそんな時間ないし・・・自分でも変だと想うのだけれど・・・”
“つまりお父さんの言いつけをすっかり無視してしまったわけだね?・・・どうしてかな?”
“いえることはひとつだわ、それはあなたは父と違って危険そうだってことよ”
“危険だってぇ〜?”
“悪い人間にとってわね・・・という意味よ”
“ティチャースペット♪”
“なんの歌? それ・・・”
“ぼくがティーチャーで君はペットさ”
“なんのこと?”
“先生のお気に入りってこと・・・君は学校でも先生から好かれただろう?”
“教え甲斐がある、とは言われたわ”
“いやまったく彼は正しい、では今のを繰り返してやろう、だんだんにスピードを上げようか・・・”
2mからの2発、この訓練を30分ほどつづける。するとカレンの動きにはスピードがつきゆとりも生まれた。水を飲んで続ける。次は3mから同じことを繰り返す。そして次は4mに退ってまた撃つ。
“疲れないかい?”
“大丈夫よ、それよりとっても新鮮、普通のターゲット射撃では味わえない世界だわ・・・でもね、4mになってから当たる範囲が広がってきているのよ、これはどうすればいいの? スピードを落とすの? かまわず速く撃っていいの? ”
“速く撃つとどうなると想う?”
“真ん中に当たらなくなると想う”
“ガンファイトで真ん中を外すとどうなるのかな?”
“相手は倒れない、と習ったわ・・・”
“すると君が撃たれることになるね・・・”
“・・・精度を優先せよとおっしゃるのね、マイティーチャー?”
“イエース、マイペット君、それだよ”
“精度を上げると撃つのが遅くなって、その分撃たれる確率があがるのはどう考えればいいの?”
“それでも精度を保つほうがいいよ”
“相手も銃を持っている、撃たれるのは覚悟をしろ、という意味?”
“まさに、そうだよ”
“あなたは私よりもずっと速いのね?”
“ここではそう変わらないよ君と、そして1秒相手よりも速くヒットしたとしても相手は死にながらも撃ってくるよ”
“ではこの練習の意味はどこにあるの?”
“これはファンダメンタル、つまり基礎射撃というわけさ、じっさいはこのように相手と向かい合って撃ち合ってはいけないし、今やっているのはただ狙った相手を確実に倒すための訓練というわけだよ、で、次はターゲットを1つだけにしよう、そしてブザーが鳴ったら相手が倒れるまで撃ち続けるという訓練に切り替える”
“倒れるまでって?”
“弾丸が心臓のあたりに3発くらいは当たったという手応えがあるまで撃つ、まあ5発くらいかな?”
“たくさん撃つのね?”
“そう、人間の身体に1発の銃弾が当たって即死する確率は20%もない。撃たれた相手の意識が2秒間でもあったら弾倉が空になるまで君に撃ち込んでくるんだ・・・が、そのことは後回しにしてもっと基礎をやろうよ”
こうしてカレンはまた真剣に練習を始めた。スペアマグが1個しかないのでタマを詰めてやるのに忙しく、しまいには指が痛くなった。でも、幸福な気持ちだった。
“あー、もう続かないわ、腕と目が限界だわ…でもインスティンクトシューティンの感覚らしいものは判ってきたのよ”
“それは良かったじゃない”
“ところまた質問なのだけど、人を実際に撃つのって難しいことなのね?”
“そうだなあ…撃つことは簡単だけど、撃つまでがタイヘンというところかな?”
“どういう意味?”
“人はね、そこのターゲットみたいにつっ立って待っていてはくれないのだよ。場合によってはアッチもガンで狙ってくることもあるしね”
“そうよね…それで?”
“こっちのイノチはひとつ、つまりたったの1発食らってもオワリだから、ゼッタイに勝てるときだけ闘うという心がけが必要だよ”
“そんなの可能?”
“可能もなにも、そうするしか他に生きる道はないのだよ。だから、撃ちたいヤツがいたら後ろからとか、相手が武器を持っていないときとか、カンペキに油断しているときだとか、そういった状況で攻撃をかけるのが本当のガンファイターなんだな”
“ヒキョーな感じだわね”
“賢いと言ってほしいね、カレンがここのところをキチンと理解しないかぎりはガンファイターにはなれないぞ”
“ふふふ、ムキにならないでねマイティーチャー、さっきの話からそれは納得しているのよ・・・ところでほかの質問だけれど、あなたは撃ったことある?人を?”
“・・・えー…、ないよ〜…”
“あっ!あるのねっ?”
“ナイナイ、ないってば”
“あるわよ、だれにも言わないから言いなさいっ!”
“ホント…ないよ”
“ダメダメ、質問されてからあなたの目のまばたきの回数が増えたし、視線も宙に浮いたわ。これは真実を言ってないときの基本的な兆候なんですからね。心理学者の観察はするどいのよっ! 精神性発汗を調べたらすぐに判ることなんだから…ほら、あなたの手のひら、わずかに湿っている・・・これが証拠だわ・・・でも、もうこれ以上は聞かないでおくわね、ワケありのようだし…”
“なんのこと? うるわしき乙女に手を握られて平然としている男などいるとでも?・・・汗が滝のように流れ出ても自然なことだよ・・・”
“…そうか、後ろからとか、武器を持ってない相手を撃つのか…それなら難しくはなさそうそうね”
“そんなに皮肉っぽく言わなくてもいいだろ?そんな状況にもって行くのはやさしくないのだから。闘いというのは作戦にあるということなんだ。お互いが銃を持って正面から撃ち合うなんてことはゼッタイに避けるのがプロの道なんだ。流れダマや、まぐれあたりの恐ろしさときたらもう…とはいえ、そうも行かないことがたまにはあるけどね”
“あのね、私ね、相手に発砲のチャンスを与えないというあなたのやり方、内心ではとても理にかなっていると想っているのよ。ちょっと感動的な教えだと想うわ・・・ただあなたと同じでスラッとお世辞を言えない私があるだけなのよ・・・”
“そうか・・・どこまでボクの心を読んでいるのか判らないけど・・・ちょっとコワイね、心理学はタマゴでも・・・”
“・・・ねえ?私のような新米でも闘うことができるかしら?”
“昨日のチンピラくらいとならね”
“相手が複数で、銃を持っていたら?” “ダメ!相手がひとりでも、銃を持ったヤツとやり合ってはいけないよ”
“じゃ、どうするの?” “近付かないか、逃げるか、あやまるかだね”
“囲まれて、レイプされるようなときは?”
“生命をかけて闘うか、苦しみに耐えて生きのびるかだろう…君のそのときの価値観にまかせるしかない”
“価値観が生きるか死ぬかを分けるのね?”
“うん、生命というものは、ときにはまるで薄氷のようにもろいものだよ”
“ほんとに、わたしもそう思う…”
“ところで、今度はボクからの質問だけどね“
“なあに?”
“君は誰と闘うつもり?P7M13という相棒と一緒に誰を相手にするの?…”
“えっ?どうしてそんなこと聞くの?そんなつもりなんてないわよ”
“あっ!まばたきが増えた!視線もそらしたぞ!手のひらが湿った! 精神性の発汗だっ!”
“…シャーラーップ、からかわないでよ”
“君は突然に練習したいと言った。その練習には普通でない熱心さがあった。撃ち方に憎しみと怯えが感じられた。焦りもあった。タマを1000発も持ってきた……たしかに君はシューティングを楽しんでいた、だが笑顔がどこか空虚だった・・・これだけの根拠があるんだけど、もっと解説が必要?”
“……………”
“話すんだカレン、秘密は守るから…ねっ?”
“・・・ぜったいに、守ってくれる?”
“誓う!”
“でも・・・なぜ聞きたいの?”
“君を愛しているからだ…愛した人がトラブルしてたらなんとかしたいだろ?誰だってそうだろ?知らん顔なんてしないだろ?”
するとカレンは空の遠くに視線を投げた、そしてしばらく考えてから言葉を出した。
“……監禁されてるの”
遠くを見やったまま、そう言った。
“兄さんが、だね?…麻薬グループに?”
“警察に言えば殺すって…兄妹3人ともに…”
“それで、ヤツラはどうしろって?”
“姉を働かせて15万ダラ作って返せって要求してきたの・・・”
“フーン、1ヵ月に500ダラ返して何年かかるのかな、エーと…”
“違うのよ、姉は客をとらされるの、彼らのバーに住みこんで……だから銀行は今日で辞めたのよ”
“えっ!…強制売春か!”
“姉は今夜から行くの……”
“警察に連絡しよう!”
“したわ、きのうの夜に…でも証拠もなにもないし、姉の自由意思でバーで働くのじゃないかって言うの。あっちには弁護士もいてどうしようもないのよ…兄は証言なんてぜったいにしないし…”
“…そうか、それで君は独りでヤツラにアタックしようと考えた…”
“…それほどハッキリした考えはないわ、彼らと闘って勝てるとは思えないし…ただね、今日という精神的にハードな日をボンヤリとなにもせずに過ごすなんて気が狂いそうだと思ったの・・・そうしたらPセヴンを撃ちたくなったのよ…それだけなの・・・”
そう言うカレンの肩が小刻みに揺れた。あのトビ色の美しい瞳からは大粒の涙がハラハラとこぼれ落ちる。
とめどもなく流れ出る悲しい涙を拭おうともせずに彼女は夕日に向かい、小柄な身体を震わせて泣いていた。
こんな、とてつもない困難を抱えこんでいるのにカレンはさっきまで笑顔を絶やさなかったのだ。その気丈さに感動した。この、カナリヤのように華奢な身体のどこにそんな強靭な精神が宿っているのだろう。
薄暗くなったレンジには弾痕だらけのターゲットが静かに立っていてシューティングラインの右側には無数の空ヤッキョウが散らばって鈍く光っていた。
ボーゼンとなった。
思考が途絶えた。涙がこみ上げてきた。涙が出たとたんに哀しくなってカレンと一緒に佇んでしばらく泣いた。
不幸だらけの世の中。困難だらけの人の道。そんな情景の中にあって、何か抜き差しならないものを感じていた。
やがて、理性が戻ってきた。
…どうしよう…これは個人で解決できるようなことではない、頼めるところもない、かといってそのまま放置できる問題ではない。ここでカレンの困窮に背を向けて逃げ出すことはできるが、そんな自分には耐えがたいものがある。空疎な精神はいやだ!勇気を出そう!こんなときにまず必要なのは勇気なのだ…でも、どうするんだ?・・・いったい…いや、闘ったら負けると頭から決めているが、本当にそうだろうか?麻薬ギャングといっても強力な集団だとは限らないではないか…こっちだって2年以上もスワットのトレイニングを受けてきたのだから相手次第では案外…いったいどんな奴らなのか?・・・
そんなことを、じっと考えた。
“よぉし! カレン、どこか明るいレストランに行って軽いものでも食べよう、ねっ?熱いティーを飲もう、そして考えるんだ。しっかり考えよう。たった今できることはそれしかないんだから・・・そうだろ?”
そう言って、カレンを包むように抱いた。
仰向いたカレンの濡れた頬にキスをした。
彼女の涙は生まれ故郷の屋久島の海と同じ味がした。カレンは抱擁に応えて両腕の力を強めた。銃の道に生きる自分、もとより弾丸に当たって死ぬのは覚悟のうえだ。涙した後は気持ちが軽くなる。覚悟ができて怖れも消える。熱いティーを早く飲みたいと思った。
〔裏話〕
この章は、訓練方法がオリジナル小説と
まったく異なっています。
ムカシと今ではワシの教え方は随分と
変わり、より単純で明日から役に立つと
いう射撃方法に進化しているのです。
そして・・・
「“じゃ、正義と悪はどう決めて行けば
いいの?なにが悪でなにが正義なの?”
“世には正も悪も存在しないよ”
“そんな!…そうかしら・・・どうして?”
“正も悪も人間がつくりあげたマボロシ
なんだ。いいかい?「悪」というのは
「嫌い」という意味をもっともらしくした
言葉なんだと想わないかい?”
“う〜ん・・・じゃ、正義はなんなの?”
“「正義」とは「好き」という言葉
から後ろめたさを隠蔽したものさ”」
↑
ここの部分ですが、この小説ではこれを
市は言いたかったのです。
どう想いますか?
2013年02月22日
DRAKE 300マグナム狙撃銃の続き
市 (2013年02月22日 07:49)
│Comments(2)
│てっぽ


長いテッポですが、折りたたみストックなので
運ぶのには便利ですね〜
だけど重いのはイヤですね〜・・・
タマも高価ですからね〜(;O;)
2013年02月22日
DRAKE 300マグナム狙撃銃
市 (2013年02月22日 07:35)
│Comments(3)
│てっぽ


ドゥレイクの300ウィンマグナム狙撃銃です。
一瞬ほしいかな? と想ったのですが、撮影の後
は返してしまいましたよ。
なにしろ重いので (・・;)
黒マリン背負ってこれ持って10km歩くのは
ツラ過ぎですからね〜(。・ˇ_ˇ・。)
で、自分が撮ったフォトでも契約があり
勝手にほいほいブログに使うわけにはいかず
こうやって印刷されたのを見ていただくしか
ないのですよん。
TUCSONちゃん、興味があったら
スーパーマーケットあたりにこの雑誌は
出てますよ〜
2013年02月22日
小道具を並べる
市 (2013年02月22日 03:46)
│Comments(4)
│語りのプラザ

ただいま撮影中なのですが、タマとライトと
バッテリーの配置に苦労しています。
これはひとつひとつ慎重に置いてゆき
それぞれの小道具たちが仲良く融合する
ように並べるわけで、ここでしくじると
無神経丸出しになるですよね〜(・・;)
どうです? これでパスしそうですか?
市
2013年02月21日
★Pセヴン★ 紫電の炎
市 (2013年02月21日 12:14)
│Comments(3)
│語りのプラザ
★Pセヴン★
次の日、撮影の仕事を早く切り上げて3時前にスミス&ウエッスン社のメインゲイトに行った。
10分前なのにカレンはもう来ていた。ジーンズとピンクの半袖シャーツ、そしてピンクのナイキ シューズがよく似合っていた。
“ヘーイ、約束の時刻を守るんだねぇー!”
“そーよ、相手を待たせるなんてとっても失礼なことでしょう?だからよ”
“うんうん、マッスマス気に入ったね。さっ、レンジに行こか!”
S&W社の専用シューティングレンジは工場から20キロ離れた所にある。300メートルを撃てる広いレンジで、その日は誰もいなかった。
“うわー、広くて気持ちいい!なんだか晴々してきそうよ、うれしいわ!”
そう言いつつ、カレンは両手を高々と挙げて背伸びをした。そのしぐさがとても可愛く、飛びかかって抱きしめたいという衝動にかられた、が、見ていないふりをした。肩で揺れる彼女のヘアが残像となって網膜に焼き付いた。気がおぼろになりそうだ。震い付きたいとはこのことかと想った。
“ねっ?いつ来るの?紹介してくれるインストラクターは?”
“えっ?・・・あ・・・世界一の良い男のことだよね?ヤツならもう来ているよホラ、ここに、君の目の前だ”
と、人差し指で自分の鼻をさす。ここではおどけて本心を隠すしかない。
“………”
無言のままジッと睨まれた。
“冗談じゃないって、ホントにぼくは射撃を教える資格を持ってるんだから”
“資格ったって、講義さえ受ければ誰でももらえるという実のないNRAインストラクターなんていうのじゃダメよ。知ってるのよ、あんなインチキ資格を持ってる人に限って自慢するのだから…”
カレンは遠慮無くつっこんでくるところがある、だが言い方が爽やかなせいで文章から感じるほどの激しさはない。言いたいことをイヤミなくいえる女性のようだ。
“ぼくのは FBIとS&Wアカデミーの発行したもの両方だよ、ほんとに…”
“言わなかったわ、そんなこと”
“聞かなかったじゃないか”
“Aクラスというのはどうだか?・・・ビアンキカップに出てるというのもほんと?”
“ほんとだってば、カップは17位だったんだ、しいてウソを探すなら世界一の良い男というところで、男前でいえば一番でなくてホントは世界の3位くらいだけどね”
“ふふふ………”
“カレンはこんな男が世界ランキングのシューターなんてシンジラレナーイって考えているんだよね?”
“それもあるけど、私、人の観察方法が完全に間違っているんじゃないかという気がしてきたの。あなたはこんなウソを言う人じゃないから・・・あの格闘術をこの目で見たのだし、間違っているのは私だろうなって…”
“ははは、まったくそのとーりだ、反省したまえ心理学のセンセイ様。さあさ、楽しいシューティングを始めようではないか。ところでカレン先生はなんというウエポンをお持ちですかな?”
“Pセヴンというオートローダーよ、きっとあなたは知らないと思うけど”
“へー、エイチンケイかぁ…”
“まあ、ヘックラー&コックをご存じなの? M13の方なのよ、ほら、これよっ”
そう言いながら彼女はM13をハンドバッグから出し両手に乗せて差し出した。柔らかいカレンの手に乗った小型の精密機械はいっそう個性的に輝いて見えた。
“コラッ!人に銃を渡すときはチェンバーからタマを抜かないと危ないじゃないか!非常識だぞっ!”
“あ〜!ごめん、ごめん。でもどうして判ったのかな?触ってもいないのに…”
“エクストラクターのフロントがせり上がっている”
“あっ、そういうものなの?”
M13を受け取って、抜いたマガズィンを右手の小指にはさみスライドをビッと引くとチェンバーのカートリッジが宙に舞う。それをパッと左手で取った。
“ワンダフル!あなたはプロなのね。今までPセヴンを触ったことのある人なんていなかったのよ。マグリリースを押すときトゥリガーフィンガーを使ったわね。M13の場合はそうするのが本当だって父が教えてくれたのを想い出したわ…”
“でもね、ぼくのPセヴンは左の親指でキャッチを押すんだよ。うんと初期のまだM8という名がつく以前のモノなんだ。そのころはPセヴンといえば8連マグだけだったんだよ。やがて13連のダブルカアラムが発売されてM13とM8とに分かれたんだよ”
“そうなの?…持っているのね? 見たいなぁ、あなたのPセヴンを触ってみたい…”
“君って銃が好きなの?”
“好きだわ。とくにPセヴンがね、あのね、父がこれを持っていなさいと言ってくれたのはワルサーPPKだったのよ。でも私、そっちのでなきゃイヤーと騒いでとうとうもらったのが、このM13だったの”
“こんな大きなのはカレンには使いこなせなーい!こっちの小さいのにしなさーい…”
“そうそう、そう言って父はなかなかくれなかったのよね。でも、私、これ以外だったらいらないと思った。これってとても存在感が強いでしょ?メリハリがピシパシとあって、きわだった個性があって、生命感さえもにじみ出ているんだわ。どっからどこまでタイトな感覚があってスキがなくて、見たところ小柄なんだけれど、握るとアッと思うくらいにふてぶてしくて、まるで野生の馬のように精悍な手ごわさがあって、私、そんなPセヴンが大好きなの。この知的で強い用心棒がいつも一緒だと思うだけで安心して生きていられるような気がしてしまうのよ・・・”
“…驚いたなあ、君の感受性というか、表現力、的確というのを通り越こして芸術的だ”
“ねぇ、プロから見てどうなの?Pセヴンは?本当のところを一度聞きたかったの、教えてくれる?どうして知名度が低いの?実力はどうなの?
“うん、知名度は決して低くはないよ。ちょっと知識のある人ならみんな知ってはいるよ。知ってるけれど撃ったことはないという場合が多いね。でも、あまり売れてはいないというのも確かだね。その原因は値段の高さにあるんだよ。ベレッタやコルトやS&Wなどの同クラスの銃と比較して軽く2倍という値段だからね。つまり、P7を1梃だけよりベレッタ92FとM59の2梃を買った方がいいというファンが多いワケだね。同じ理由からSIGのP210のような超高級銃もあまり売れないんだ。でも本当は安物をたくさん持つより、心底から惚れた銃を1梃持ってるほうが精神的な満足感ははるかに高いよね。安物をいくら多く所有しても充足感は得られない。バカなヤツラ大勢と付き合うよりも、自分を成長させてくれるひとりの人の方が良いといった感じかな”
“どうしてそんなに高価なの?Pセヴンはその分品質が高いというワケ?”
“うん、高品質そのものだよ。エイチンケイのものは手がかかっている。近代的なんだけど、昔ながらの名人芸を注ぎこんで造っているようなところがあって、そこが魅力なんだよね。良い意味でも悪い意味でも、頑固一徹なドイツ人の精神と根性とがキッパリと表現された作品だと思うね。君がPセヴンに強烈な魅力を感じるのはそんなところからだと思うんだけどね”
“うれしいわ…ねっ?それで拳銃としての実力はどれくらいなの?それほど大したことないのかな?”
“とんでもない。ファーストクラスさ。第一級の信頼性と精度があるよ。オートの場合、マガズィンがとても重要で、銃本体の設計にかける精力と同じくらいマグにも努力しなければならないというほどに重要なことなんだよ。P7のマグは、まぎれもなく最高なんだ。本来なら15連のサイズなのに、上の方を絞ってフィーディンをより安定させ、あえて13連に減らしたところにドイツ人の凝りがある。しかも、造りがこれまた素晴らしいのだよ。手触りでも判ることだけど上等な機械で上等な鉄を使って造られているんだな。さらにだよ、P7のマグは、他のピストルと違ってスライドに対してより直角に近くなっているんだ。マグはスライドと直角になるのが理想なんだけど、ピストルでそれをやるとグリップアングルが不自然になってしまうんだ。だから、マグのアングルはグリップに追従するというのがフツーのやり方なワケだ。でも、P7はギリギリにそこを攻めて攻めつくしたんだ。グリップの形も上下ストレイトにして、ヨーロッパ特有の下膨れ症候群から脱却している。両側にあるマグリリース、大きなトゥリガーガード、ユニークなトゥリガーメカニズム、あらゆるところでしっかりと踏みこんで、よく造ってあるんだよ。でも、P7の最大特徴はなんといってもショートリコイルをやめてPPKなようなストレイトブロウバックになっているところだね。もちろんナマのブロウバックでは9ミリルガー弾のキックをハンドルできるワケがないので、ディレイタイプになっている。ディレイブロウバックは過去にイロイロと出たがサヴァイヴしたものはなかった。スライドの強烈な後退にうまくブレイキをかけるのは難しいのだよ。そこでP7は、バレルの下にスィリンダーを設け、スライドに直結したピストンをその中に入れたんだ。チェンバーのすぐのところには穴があり、それがスィリンダーにつながっている。タマがホールを通過したとたんにガスはスィリンダーに流れこむ。発射の反動を受けて後退するスライドには、ガスの抵抗を受けたピストンによって急ブレイキがかかる。だからスライドはフレイムに激突しないですむというシカケなのだよ、判るかな?“
“よく判らないけれど。PPK の9ミリショートとPセヴンの9ミリルガーとはずいぶんとエナジーに差があるという感じなのね”
“まあ、構造知識はそんなところでいいよ。クルマのエンジンについて知っているから運転がうまいかといえば、まったくそんなことないからね、射撃とメカ知識は別ものさ”
“私のボディーガードがつわ者で実力者だと判ってとっても嬉しい!ありがとう!”
“ピストルの種類はゴマンとあるけれど、実際に命をかけて敵と撃ち合うときに安心して使えるモノは数少ないんだ、が、P7はその中の1梃だよ。ところで、P7にはニックネイムがあるのを知ってる?”
“まあ、教えて!”
“ステイプラーって言うんだ”
“え、あのホチキスのこと?” “そう、ジャッキン、ジャッキンのあれさ”
“スクイズコッカーのことね?”
“そう、この音はP7の最大の欠点と言われている”
“私、ぜんぜん気にしてなかったわ”
“たまにマズイときがあるんだよ”
“まあ、そうなの?”
“それも使いこなしのモンダイかな…”
“解りませんが、そうですとも”
“ところで、モンクを…”
“なーに?” “チェンバーにタマを入れたままの銃を人に渡すのはゼッタイにいけない”
“はーい…”
“そういった方法で相手を試すのは危険だからしてはいけないよ”
“…試したなんて、どうして判るの?”
“ぼくも、たまにやるから”
“あははははは…ローデッドガンを渡して扱い方を観察すると、その人の技量が判るというのは父から習ったのよ”
“もう止めようね、お互いにね・・・”
巻末特別付録 『紫電の炎 裏話』(^o^)
今はなきMGCがP7を発売するにあたり
広告課のてっちゃんからカタログ撮影と
文章を依頼されました。
ほんでもって撮影がすんでP7の特徴など
に関するキャプションを書くことにし
聞き役にカレンという人物設定をした
ところカレンはズンズンと走りだし
静止することもできずその行動を
ワシはメモっていきました。
そしてストーリーはあらぬ方向に
展開してゆき、延々と続きました。
これではカタログに入りきるわけも
ありません(^_^;)
そこで広告には一部を抜粋したと
いうわけです。
そしてその後もストーリーは完結
せず、気がついたらなんと
10日間もかかってしまったのです
ほんとにカレンはオテンバでしたよ。
(^-^)
次の日、撮影の仕事を早く切り上げて3時前にスミス&ウエッスン社のメインゲイトに行った。
10分前なのにカレンはもう来ていた。ジーンズとピンクの半袖シャーツ、そしてピンクのナイキ シューズがよく似合っていた。
“ヘーイ、約束の時刻を守るんだねぇー!”
“そーよ、相手を待たせるなんてとっても失礼なことでしょう?だからよ”
“うんうん、マッスマス気に入ったね。さっ、レンジに行こか!”
S&W社の専用シューティングレンジは工場から20キロ離れた所にある。300メートルを撃てる広いレンジで、その日は誰もいなかった。
“うわー、広くて気持ちいい!なんだか晴々してきそうよ、うれしいわ!”
そう言いつつ、カレンは両手を高々と挙げて背伸びをした。そのしぐさがとても可愛く、飛びかかって抱きしめたいという衝動にかられた、が、見ていないふりをした。肩で揺れる彼女のヘアが残像となって網膜に焼き付いた。気がおぼろになりそうだ。震い付きたいとはこのことかと想った。
“ねっ?いつ来るの?紹介してくれるインストラクターは?”
“えっ?・・・あ・・・世界一の良い男のことだよね?ヤツならもう来ているよホラ、ここに、君の目の前だ”
と、人差し指で自分の鼻をさす。ここではおどけて本心を隠すしかない。
“………”
無言のままジッと睨まれた。
“冗談じゃないって、ホントにぼくは射撃を教える資格を持ってるんだから”
“資格ったって、講義さえ受ければ誰でももらえるという実のないNRAインストラクターなんていうのじゃダメよ。知ってるのよ、あんなインチキ資格を持ってる人に限って自慢するのだから…”
カレンは遠慮無くつっこんでくるところがある、だが言い方が爽やかなせいで文章から感じるほどの激しさはない。言いたいことをイヤミなくいえる女性のようだ。
“ぼくのは FBIとS&Wアカデミーの発行したもの両方だよ、ほんとに…”
“言わなかったわ、そんなこと”
“聞かなかったじゃないか”
“Aクラスというのはどうだか?・・・ビアンキカップに出てるというのもほんと?”
“ほんとだってば、カップは17位だったんだ、しいてウソを探すなら世界一の良い男というところで、男前でいえば一番でなくてホントは世界の3位くらいだけどね”
“ふふふ………”
“カレンはこんな男が世界ランキングのシューターなんてシンジラレナーイって考えているんだよね?”
“それもあるけど、私、人の観察方法が完全に間違っているんじゃないかという気がしてきたの。あなたはこんなウソを言う人じゃないから・・・あの格闘術をこの目で見たのだし、間違っているのは私だろうなって…”
“ははは、まったくそのとーりだ、反省したまえ心理学のセンセイ様。さあさ、楽しいシューティングを始めようではないか。ところでカレン先生はなんというウエポンをお持ちですかな?”
“Pセヴンというオートローダーよ、きっとあなたは知らないと思うけど”
“へー、エイチンケイかぁ…”
“まあ、ヘックラー&コックをご存じなの? M13の方なのよ、ほら、これよっ”
そう言いながら彼女はM13をハンドバッグから出し両手に乗せて差し出した。柔らかいカレンの手に乗った小型の精密機械はいっそう個性的に輝いて見えた。
“コラッ!人に銃を渡すときはチェンバーからタマを抜かないと危ないじゃないか!非常識だぞっ!”
“あ〜!ごめん、ごめん。でもどうして判ったのかな?触ってもいないのに…”
“エクストラクターのフロントがせり上がっている”
“あっ、そういうものなの?”
M13を受け取って、抜いたマガズィンを右手の小指にはさみスライドをビッと引くとチェンバーのカートリッジが宙に舞う。それをパッと左手で取った。
“ワンダフル!あなたはプロなのね。今までPセヴンを触ったことのある人なんていなかったのよ。マグリリースを押すときトゥリガーフィンガーを使ったわね。M13の場合はそうするのが本当だって父が教えてくれたのを想い出したわ…”
“でもね、ぼくのPセヴンは左の親指でキャッチを押すんだよ。うんと初期のまだM8という名がつく以前のモノなんだ。そのころはPセヴンといえば8連マグだけだったんだよ。やがて13連のダブルカアラムが発売されてM13とM8とに分かれたんだよ”
“そうなの?…持っているのね? 見たいなぁ、あなたのPセヴンを触ってみたい…”
“君って銃が好きなの?”
“好きだわ。とくにPセヴンがね、あのね、父がこれを持っていなさいと言ってくれたのはワルサーPPKだったのよ。でも私、そっちのでなきゃイヤーと騒いでとうとうもらったのが、このM13だったの”
“こんな大きなのはカレンには使いこなせなーい!こっちの小さいのにしなさーい…”
“そうそう、そう言って父はなかなかくれなかったのよね。でも、私、これ以外だったらいらないと思った。これってとても存在感が強いでしょ?メリハリがピシパシとあって、きわだった個性があって、生命感さえもにじみ出ているんだわ。どっからどこまでタイトな感覚があってスキがなくて、見たところ小柄なんだけれど、握るとアッと思うくらいにふてぶてしくて、まるで野生の馬のように精悍な手ごわさがあって、私、そんなPセヴンが大好きなの。この知的で強い用心棒がいつも一緒だと思うだけで安心して生きていられるような気がしてしまうのよ・・・”
“…驚いたなあ、君の感受性というか、表現力、的確というのを通り越こして芸術的だ”
“ねぇ、プロから見てどうなの?Pセヴンは?本当のところを一度聞きたかったの、教えてくれる?どうして知名度が低いの?実力はどうなの?
“うん、知名度は決して低くはないよ。ちょっと知識のある人ならみんな知ってはいるよ。知ってるけれど撃ったことはないという場合が多いね。でも、あまり売れてはいないというのも確かだね。その原因は値段の高さにあるんだよ。ベレッタやコルトやS&Wなどの同クラスの銃と比較して軽く2倍という値段だからね。つまり、P7を1梃だけよりベレッタ92FとM59の2梃を買った方がいいというファンが多いワケだね。同じ理由からSIGのP210のような超高級銃もあまり売れないんだ。でも本当は安物をたくさん持つより、心底から惚れた銃を1梃持ってるほうが精神的な満足感ははるかに高いよね。安物をいくら多く所有しても充足感は得られない。バカなヤツラ大勢と付き合うよりも、自分を成長させてくれるひとりの人の方が良いといった感じかな”
“どうしてそんなに高価なの?Pセヴンはその分品質が高いというワケ?”
“うん、高品質そのものだよ。エイチンケイのものは手がかかっている。近代的なんだけど、昔ながらの名人芸を注ぎこんで造っているようなところがあって、そこが魅力なんだよね。良い意味でも悪い意味でも、頑固一徹なドイツ人の精神と根性とがキッパリと表現された作品だと思うね。君がPセヴンに強烈な魅力を感じるのはそんなところからだと思うんだけどね”
“うれしいわ…ねっ?それで拳銃としての実力はどれくらいなの?それほど大したことないのかな?”
“とんでもない。ファーストクラスさ。第一級の信頼性と精度があるよ。オートの場合、マガズィンがとても重要で、銃本体の設計にかける精力と同じくらいマグにも努力しなければならないというほどに重要なことなんだよ。P7のマグは、まぎれもなく最高なんだ。本来なら15連のサイズなのに、上の方を絞ってフィーディンをより安定させ、あえて13連に減らしたところにドイツ人の凝りがある。しかも、造りがこれまた素晴らしいのだよ。手触りでも判ることだけど上等な機械で上等な鉄を使って造られているんだな。さらにだよ、P7のマグは、他のピストルと違ってスライドに対してより直角に近くなっているんだ。マグはスライドと直角になるのが理想なんだけど、ピストルでそれをやるとグリップアングルが不自然になってしまうんだ。だから、マグのアングルはグリップに追従するというのがフツーのやり方なワケだ。でも、P7はギリギリにそこを攻めて攻めつくしたんだ。グリップの形も上下ストレイトにして、ヨーロッパ特有の下膨れ症候群から脱却している。両側にあるマグリリース、大きなトゥリガーガード、ユニークなトゥリガーメカニズム、あらゆるところでしっかりと踏みこんで、よく造ってあるんだよ。でも、P7の最大特徴はなんといってもショートリコイルをやめてPPKなようなストレイトブロウバックになっているところだね。もちろんナマのブロウバックでは9ミリルガー弾のキックをハンドルできるワケがないので、ディレイタイプになっている。ディレイブロウバックは過去にイロイロと出たがサヴァイヴしたものはなかった。スライドの強烈な後退にうまくブレイキをかけるのは難しいのだよ。そこでP7は、バレルの下にスィリンダーを設け、スライドに直結したピストンをその中に入れたんだ。チェンバーのすぐのところには穴があり、それがスィリンダーにつながっている。タマがホールを通過したとたんにガスはスィリンダーに流れこむ。発射の反動を受けて後退するスライドには、ガスの抵抗を受けたピストンによって急ブレイキがかかる。だからスライドはフレイムに激突しないですむというシカケなのだよ、判るかな?“
“よく判らないけれど。PPK の9ミリショートとPセヴンの9ミリルガーとはずいぶんとエナジーに差があるという感じなのね”
“まあ、構造知識はそんなところでいいよ。クルマのエンジンについて知っているから運転がうまいかといえば、まったくそんなことないからね、射撃とメカ知識は別ものさ”
“私のボディーガードがつわ者で実力者だと判ってとっても嬉しい!ありがとう!”
“ピストルの種類はゴマンとあるけれど、実際に命をかけて敵と撃ち合うときに安心して使えるモノは数少ないんだ、が、P7はその中の1梃だよ。ところで、P7にはニックネイムがあるのを知ってる?”
“まあ、教えて!”
“ステイプラーって言うんだ”
“え、あのホチキスのこと?” “そう、ジャッキン、ジャッキンのあれさ”
“スクイズコッカーのことね?”
“そう、この音はP7の最大の欠点と言われている”
“私、ぜんぜん気にしてなかったわ”
“たまにマズイときがあるんだよ”
“まあ、そうなの?”
“それも使いこなしのモンダイかな…”
“解りませんが、そうですとも”
“ところで、モンクを…”
“なーに?” “チェンバーにタマを入れたままの銃を人に渡すのはゼッタイにいけない”
“はーい…”
“そういった方法で相手を試すのは危険だからしてはいけないよ”
“…試したなんて、どうして判るの?”
“ぼくも、たまにやるから”
“あははははは…ローデッドガンを渡して扱い方を観察すると、その人の技量が判るというのは父から習ったのよ”
“もう止めようね、お互いにね・・・”
巻末特別付録 『紫電の炎 裏話』(^o^)
今はなきMGCがP7を発売するにあたり
広告課のてっちゃんからカタログ撮影と
文章を依頼されました。
ほんでもって撮影がすんでP7の特徴など
に関するキャプションを書くことにし
聞き役にカレンという人物設定をした
ところカレンはズンズンと走りだし
静止することもできずその行動を
ワシはメモっていきました。
そしてストーリーはあらぬ方向に
展開してゆき、延々と続きました。
これではカタログに入りきるわけも
ありません(^_^;)
そこで広告には一部を抜粋したと
いうわけです。
そしてその後もストーリーは完結
せず、気がついたらなんと
10日間もかかってしまったのです
ほんとにカレンはオテンバでしたよ。
(^-^)
2013年02月20日
★恋の予感★ 紫電の炎
市 (2013年02月20日 13:01)
│Comments(7)
│語りのプラザ
★恋の予感★
マサチューセッツに着陸すると、もう夜だった。どんよりと曇っており、空気は湿気を重いほどに含んでナマ暖かい風がけだるく吹いていた。
“落ち着いたら食事に行きましょうね”
そうカレンは言って、エイヴィスのレンタカーで去った。
独りになると急に寂しくなった。
あの聡明なカレンと一緒にマサチューセッツの夜を過ごせたらどんなに楽しいだろうと思った。そう思うといっそう逢いたくなった。別れたばかりなのに、もうカレンに逢いたくなる自分に驚いていた。恋しいと感じていた。彼女の居場所を聞かなかったことを後悔した。それを知らないことでいっそう寂しい気持ちが増した。
…ナサケないっ!
ゆきずりの女くらいでウダウダするなよな!明日からスミス&ウエッスン社で撮影をするんだからオンナは忘れろ!忘れるんだバカものがっ!…
そう自分を叱咤しながら暗い中をハーツのレンタカーでスプリングフィールドに向かってドライヴした。
人間とは哀しい動物だとつくづく思った。好きなオンナを見つけたのに、即座に追いかけることもできないのだ。知性とか理性とかいったワケの解からないものがどれだけ人間を不幸にしていることだろう。脱落感におそわれて夜の闇がうっとうしいと感じていた。
スプリングフィールドのホリデイインにチェックインし、レストランでサケの焼いたのを食べた。もともと独りでいるのは好きな性格なので、見知らぬ土地での食事は楽しかった。カレンのことを思い出しても寂しいという気持ちは、もう無かった。こっちはカレンに恋しても、彼女は今それどころではない状況にある。カレンの窮状につけこんで心に踏み込むのはよくないことだと考えていた。初めのうちは様子を見ながら良い友達として接しておくのが礼儀だろうと諦めをつけていた。復元できた自分の心に頼りがいすら感じていた。
部屋に戻ると、電話についた小さなライトが点滅していた。誰かが伝言を残したのだ。
“ハロウ、なにかメッセイジ?”
と、フロントにコールする。
“カレンという人が電話を待ちますとのことです、番号はですね…”
よしよし、グッドラックはしっかりと続いてる!そう思いながら電話のプッシュボタンを押してカレンをコールする。
“ハロウ?…”
懐かしい声が聞こえた。
“ウエール!ハロウ、ハッロウ…”
と、グレゴリー ぺックの口調で言った。
“あ、イチローね?”
“うん、モテルに泊まってるんだね、ここからは遠いのそこ?”
“…たぶん、スプリングフィールドからは1時間くらいのドライヴでしょうね”
“どうしたの?声に元気がないぞ”
“疲れているかな私?・・・でも、ちょっとお願いしようかと思って…”
“なになに?”
“あなたはスミス&ウエッスンで撮影すると言ってたと思うけど…”
“うん、そうだけど?”
“じゃあ、だれか知り合いで私にピストル射撃をコーチしてくれるシューターはいないかしら…明日にでも…”
“あ…いるよ、いるいる。コンバットシューティングでAクラス、ビアンキカップではベスト20という素晴らしい男がね・・・”
“まあ良かった、お願いしてくれる?指導料はもちろん払いますから、ねっ?”
“オゥケイ、じゃ3時にS&W社のメインゲイトで会おうかな、行き方は判る?”
“ハイ、でもいいの?その人の都合は?”
“ああ、彼は世界一良い男で必ずやってくれるからシンパイないよ。でも急にどうしたの?兄さんの方はうまく行きそう?”
“うん、なんとかね…じゃあ、明日3時に逢ってね…”
なんだか変だと感じた。彼女はシューティングなどやってる状況ではないハズだ。なのに、なぜ?…
そんな疑問はあったが早々に彼女と再会できるという嬉しさで深くは考えなかった。考えたって解けるナゾではないとも思った。
特別付録 『紫電の炎 裏話』(*^^)
karen→カレンという名前はキャサリン
の別称で、じっさいは「ケレン」と発音
されます。
でも、市は「可憐な人」が好きなので
「かれん」としました。
可憐とは〔いじらしくて可愛い〕という
意味なのですよ♪
さて、皆さんがカレンという女性を知り
彼女を好きになってきたころから物語は
じょじょに険しい方向に向かいますが、
もうすこしカレンの可憐さを味わって
いただきますね (*^_^*)市
2013年02月20日
米国銃規制の乙女情報
市 (2013年02月20日 12:29)
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│語りのプラザ
〒イチローさん モンゴルのウェブサイトは相変わらずメンテ中です。 Precision Deltaではバックオーダーを受け付けていて、実際に入荷し発送するまではクレカチャージされないので今夜オタマちゃんをオーダーします。 今日は野暮用の後、旦那と(先日Cabela'sのレジでばったり再会した)旦那の友人と近くでランチタイム一緒にして、その後Cabela'sに3人で行きました。「オレがランチの前にココに来た時には9㍉がやっと入荷して600箱あるって聞いていたのに。。。」と半泣き。なんと残り1箱(50発入り)ぽっち。。。 見つけた時に買っとかなきゃですね。 しかしっアナタどんだけ頻繁にこの店に通っているのぉ?と笑っちゃいました。 80年代からシカゴで活躍するラジオのDJなんですが射撃も好きとのこと、もうこうなったらリローディングマシン買うぞ〜と言っていましたよ。 買物リストを作ってメールするところです。もちろん市子さんオススメのワンショットもリストに〜! 〒 kimiさん 射撃に縁がない人と一言で片付けるような書き方をしてしまいました。なんとゆーんでしょうか、たとえば、提案をする議員が、家でアモ作る人がいるって知っていたらばアモの保有可能数とかブレットのタイプを制限する案に但し書きで「リローディングする人もコレに準じる〜」とか最初から言及するでしょうし、銃=悪→世の中から抹消しろ、という考えの議員は、一度にロード可能な弾数を少なくする/アモ所有可能数を減らすとか、とにかく減らすことばかりに重点をおいた提案をひたすらプッシュ。 今回の提案をしたダレル•シュタインベルクという議員の詳細、あいにく私には分かりかねますが彼の公開プロフィールをみたらLE所属歴なしです。(LEってロゥエンフォースメントの略でいいんですよね?!) 記者会見で当議員は「去年CA州では自動車事故と同じくらい銃に関わった死亡者数(殺人、事故等含む)が出ているんだから、銃も車と同じように登録制にして云々。。。」と言っていました。 この提案はこれから専門家の意見も取り入れながらカタチを整えて正式に番号がつけられて法案として議会に出されるのだと思います。 NYの件もありますし、LEに関してはどーするのかツッコミ入れられていることでしょう。 マガジンが着脱可能な銃も違法にしようとしているので「アソルトウェポン」で重装備の犯罪者に対応するにはLEを例外にしないとかなり心もとないですよね。 ってかマガジン、、、着脱交換出来ないって、、、T_T;;; 最近は銃器のパーツ名を間違えた/知らなかったジャーナリストや議員がTV等で叩かれることも多いので、みんなどんどん学習していっているようですよぉ。 銃規制をすすめる議員がおそらくシュラウドとか何とかって言ったんでしょうかね、すかさず「シュラウドって何ですか?」って記者がマイクを向けたらおもむろに話をそらす議員。食い下がって同じ質問を繰り返したら「私はシュラウドがなにか知りません、」と白状した様子が滑稽でした。 そんな私も半年前までシュラウドすら知らず〜 <<<虎穴堂さんのブログ>>>で、おーちゃんさんに教えていただいたことがあります ^_^ 私は趣味でシャゲキックスをするシロートなので知らなくてもアハハとごまかせますが。。。 州毎に法律が違うのって戸惑いますよ、陸続きですし州境で検問される訳でもないですし。あ、ハワイやグアムは別として。 kimiさん、アメリカにお越しの際には訪れる地域のキマリをチェキラってくださいねん。 CCW OK牧場な他州からCCW違法のIL州に入る直前ガソリンスタンド等に寄ってキャリーしているピストルをケイスにしまう作業がメンドーです。 CA州在住ではありませんが、イチローさんやヴィエラさんがお住まいなので今後どうなるのか気になります!!
リリコ
リリコ
2013年02月19日
カレン ユンハンス 紫電の炎
市 (2013年02月19日 13:23)
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│語りのプラザ
★カレン ユンハンス★
飛行機は狭くて混んでいた。まずシカゴに飛び、そこからマサチューセッツ行きに乗り換えるのだが、ウンザリするほど時間がかかる。それだけに隣りに座った女性の存在はとても輝いた。
“キュークツな長旅でも、ひとりでなかったら時間が速く経つんだよね”
そんな話題から会話を始める。
“そうよ、ひとりで4時間もじっとしてるのは退屈なうえに疲れるものね”
“で、さっきから手に持っているケイスだけど、楽器?クラリネットかな?”
“オーボーなのよこれ”
“オーボー…?”
“小さいときからやっているの、今は地方のオーケストラで夜だけ練習してるのよ”
“オーボーって、あのベートーヴェンの交響曲3番の2楽章でストリングのあとにソロで奏でるあの楽器のことだよね?”
“えっ?あ、エロイカのことね?…そうよ、どうして?”
“あれは良い!”
“好き?・・・”
“好きなんてもんじゃないよ、あんなすごいものはめったにないよ。とくにフルトヴェングラーがベリンフィルを指揮したのが好きでね、2楽章が始まると胸がジーンとなって感動の世界に引き込まれるんだよ”
“ちょっと沈痛で陰鬱だけど、素晴らしく清潔で理知的で…”
“そう! それだよ、それ!”
“日本でもフルトヴェングラーは有名?”
“スーパースターだよ”
“まあ、うれしい!”
“フルトヴェングラーの演奏は超スローで行くよね、だから交響曲の9番はウンと長い。あの LPレコードをひっくり返さず通しで聴くのが日本のファンの夢だったんだよ。だから、CDの録音可能時間を決定するときに9番がスッポリ入るというのが第一条件だったんだよ。そしてそれは実行されたんだ、と雑誌で読んだよ”
“ステキな話ね!知らなかったわ。父が聞いたら大喜びして抱きついちゃうようなストーリーよ”
“君は愛されたんだね、お父さんに…”
“そうなの、だからオテンバよ”
窓際に座った彼女との話がはずんだ。こだわりのない性格らしく、まっすぐな返事が返ってくる。
“ところで、そろそろ、ぼくの美しいフレンドの名を聞いてもいいですか?”
“あっゴメン、私はカレン、カレン ユンハンスといいます…”
“ぼくはイチローだ、逢えてうれしいよ”
そう言いながら右手を差し出すと彼女はしっかりと握り返してきた。
“日本ではね、見知らぬ人達がこんなふうに早く打ち解けることってメッタにないんだ。アメリカでは、逢えて嬉しいと言ってアイサツをするけど日本人にはとても言えないセリフなんだ。どこか心を素直に表現できない空気がボクの国にはあるんだな”
“そう…自信のない人が多いのね。でもドイツ人の間にもそんな空気はあるのよ、アメリカってなんだか特別にオープンな感覚になってしまう国なのね”
“心がオープンになれないのは自信がないからというわけ?”
“そうよ、自分を信じられないから他人をも信じられないということよ。だから自分の本心は他人に知られたくない。隠しても仕方がないのは判っていても隠してしまう。だからますますありのままの自分から遠ざかってしまう…他人の目を気にして生きる人はどうしても自信を失ってしまうものだわ”
“うーん、なんだかぼくの内面のことを言われてるみたいだ…”
“ノー、あなたは内向的な性格には見えるけれど、とても心が開放されているから心配ないわ…私の兄なんて、もうたいへん…”
“兄さんがどうしたの?”
“…麻薬中毒なの…”
そう言うなりカレンの表情はドーンと暗くなった。アメリカには麻薬中毒者が多いので驚きはしなかった、が、彼女の妹としての心労には痛ましいものを感じた。
“…それで、兄さんは今どこに?入院とかしているの?”
“病院なんて行く気はなくて、姉のアパートに住みついて麻薬仲間とばかり集まって遊んでばかりいるの…”
“カレンと姉さんがどんなに言っても聞こうとしないというワケだね?好きなの?兄さんを?”
“キライだったわ…気が弱いくせに妹の私をイジメてばかり…ちょっとしたことで怒って、すぐに蹴るの。やつあたりのターゲットはいつも私だった…”
“今もまだ嫌い?”
“トラブルメイカーなのよ麻薬患者は。心は弱いくせにミエを張って、凶暴だし、少しも尊敬できる性格ではないのよ。私と兄をつないでいるのは兄妹という文字だけなのよ、ほかにはなにもない…”
“じゃ、ほっとくしかないんだ、離れていれば実害はないんだろ?”
“今まではね・・・。でも姉がどうしても兄のことで相談があるから来るようにって言うのよ。だから私は夏のアルバイトを休んでマサチューセッツに行くところなの…”
“君は大学生?”
“うん、デイヴィスのね…心理学専攻なの”
“で、姉さんはカレンにどんな相談だろ?”
“兄がね、悪い仲間からオカネを借りているの、それが10万ダラ以上という大金で、私たちにはとても払えない金額なんだわ…”
“ウーン…家が買える値段だね。それは困ったものだ、けれどカレン達に返済義務はないんだろ?姉さんが遠くに逃げてしまうわけにはいかないの?”
“姉は優しいの、私や兄と違って母の優しさを独り占めして生まれて来たような、とっても優しい心の持ち主だから兄を見捨てるなんて考えられない、そういう性格なのよ”
“カレンは優しくないの?”
“私は自分が好きな人にはとてもやさしくなれるけど、キライな人には優しくできないわ。これではいけない気もするけど、できないものはできないのよ”
“…それで充分に正常さ。でも姉さんは借金のモンダイをどう解決するのかな?”
“とくに良策はないのよ。私は警察に駆けこんですべてを打ち明け、麻薬グループをぜーんぶ逮捕したらいいと提案したのよ”
“そうしたら兄さんも刑務所行きだけど、姉さんはどう考えているんだろ?”
“もう、それしかないかも知れないだって”
“そうか、姉さんも追い詰められたんだ”
“優しい心が困難を解決できるなんてことは安っぽいドラマの世界だわ。だれもがメデタシなんてありえないことなのよ。必ず弱い者が痛い目に逢うのよ。これが自然界の法則なんだから…”
“君って、心が強いね”
“でもまだ弱いと思うわ、もっともっと強くなりたい!”
トビ色の瞳に憂いを含みながら真剣に話す彼女には引きこまれるような魅力を感じた。なんとか助ける方法はないかと考えたが、カレンの考えどおり警察に相談するのが一番だと思った。麻薬のドロ沼から抜け出すにはキレイゴトではすまないのだ。この兄妹の前途には暗いものが待ち受けているとしか想えず、鉛のように重く不吉な想像が頭の中をかけめぐった。
飛行機は狭くて混んでいた。まずシカゴに飛び、そこからマサチューセッツ行きに乗り換えるのだが、ウンザリするほど時間がかかる。それだけに隣りに座った女性の存在はとても輝いた。
“キュークツな長旅でも、ひとりでなかったら時間が速く経つんだよね”
そんな話題から会話を始める。
“そうよ、ひとりで4時間もじっとしてるのは退屈なうえに疲れるものね”
“で、さっきから手に持っているケイスだけど、楽器?クラリネットかな?”
“オーボーなのよこれ”
“オーボー…?”
“小さいときからやっているの、今は地方のオーケストラで夜だけ練習してるのよ”
“オーボーって、あのベートーヴェンの交響曲3番の2楽章でストリングのあとにソロで奏でるあの楽器のことだよね?”
“えっ?あ、エロイカのことね?…そうよ、どうして?”
“あれは良い!”
“好き?・・・”
“好きなんてもんじゃないよ、あんなすごいものはめったにないよ。とくにフルトヴェングラーがベリンフィルを指揮したのが好きでね、2楽章が始まると胸がジーンとなって感動の世界に引き込まれるんだよ”
“ちょっと沈痛で陰鬱だけど、素晴らしく清潔で理知的で…”
“そう! それだよ、それ!”
“日本でもフルトヴェングラーは有名?”
“スーパースターだよ”
“まあ、うれしい!”
“フルトヴェングラーの演奏は超スローで行くよね、だから交響曲の9番はウンと長い。あの LPレコードをひっくり返さず通しで聴くのが日本のファンの夢だったんだよ。だから、CDの録音可能時間を決定するときに9番がスッポリ入るというのが第一条件だったんだよ。そしてそれは実行されたんだ、と雑誌で読んだよ”
“ステキな話ね!知らなかったわ。父が聞いたら大喜びして抱きついちゃうようなストーリーよ”
“君は愛されたんだね、お父さんに…”
“そうなの、だからオテンバよ”
窓際に座った彼女との話がはずんだ。こだわりのない性格らしく、まっすぐな返事が返ってくる。
“ところで、そろそろ、ぼくの美しいフレンドの名を聞いてもいいですか?”
“あっゴメン、私はカレン、カレン ユンハンスといいます…”
“ぼくはイチローだ、逢えてうれしいよ”
そう言いながら右手を差し出すと彼女はしっかりと握り返してきた。
“日本ではね、見知らぬ人達がこんなふうに早く打ち解けることってメッタにないんだ。アメリカでは、逢えて嬉しいと言ってアイサツをするけど日本人にはとても言えないセリフなんだ。どこか心を素直に表現できない空気がボクの国にはあるんだな”
“そう…自信のない人が多いのね。でもドイツ人の間にもそんな空気はあるのよ、アメリカってなんだか特別にオープンな感覚になってしまう国なのね”
“心がオープンになれないのは自信がないからというわけ?”
“そうよ、自分を信じられないから他人をも信じられないということよ。だから自分の本心は他人に知られたくない。隠しても仕方がないのは判っていても隠してしまう。だからますますありのままの自分から遠ざかってしまう…他人の目を気にして生きる人はどうしても自信を失ってしまうものだわ”
“うーん、なんだかぼくの内面のことを言われてるみたいだ…”
“ノー、あなたは内向的な性格には見えるけれど、とても心が開放されているから心配ないわ…私の兄なんて、もうたいへん…”
“兄さんがどうしたの?”
“…麻薬中毒なの…”
そう言うなりカレンの表情はドーンと暗くなった。アメリカには麻薬中毒者が多いので驚きはしなかった、が、彼女の妹としての心労には痛ましいものを感じた。
“…それで、兄さんは今どこに?入院とかしているの?”
“病院なんて行く気はなくて、姉のアパートに住みついて麻薬仲間とばかり集まって遊んでばかりいるの…”
“カレンと姉さんがどんなに言っても聞こうとしないというワケだね?好きなの?兄さんを?”
“キライだったわ…気が弱いくせに妹の私をイジメてばかり…ちょっとしたことで怒って、すぐに蹴るの。やつあたりのターゲットはいつも私だった…”
“今もまだ嫌い?”
“トラブルメイカーなのよ麻薬患者は。心は弱いくせにミエを張って、凶暴だし、少しも尊敬できる性格ではないのよ。私と兄をつないでいるのは兄妹という文字だけなのよ、ほかにはなにもない…”
“じゃ、ほっとくしかないんだ、離れていれば実害はないんだろ?”
“今まではね・・・。でも姉がどうしても兄のことで相談があるから来るようにって言うのよ。だから私は夏のアルバイトを休んでマサチューセッツに行くところなの…”
“君は大学生?”
“うん、デイヴィスのね…心理学専攻なの”
“で、姉さんはカレンにどんな相談だろ?”
“兄がね、悪い仲間からオカネを借りているの、それが10万ダラ以上という大金で、私たちにはとても払えない金額なんだわ…”
“ウーン…家が買える値段だね。それは困ったものだ、けれどカレン達に返済義務はないんだろ?姉さんが遠くに逃げてしまうわけにはいかないの?”
“姉は優しいの、私や兄と違って母の優しさを独り占めして生まれて来たような、とっても優しい心の持ち主だから兄を見捨てるなんて考えられない、そういう性格なのよ”
“カレンは優しくないの?”
“私は自分が好きな人にはとてもやさしくなれるけど、キライな人には優しくできないわ。これではいけない気もするけど、できないものはできないのよ”
“…それで充分に正常さ。でも姉さんは借金のモンダイをどう解決するのかな?”
“とくに良策はないのよ。私は警察に駆けこんですべてを打ち明け、麻薬グループをぜーんぶ逮捕したらいいと提案したのよ”
“そうしたら兄さんも刑務所行きだけど、姉さんはどう考えているんだろ?”
“もう、それしかないかも知れないだって”
“そうか、姉さんも追い詰められたんだ”
“優しい心が困難を解決できるなんてことは安っぽいドラマの世界だわ。だれもがメデタシなんてありえないことなのよ。必ず弱い者が痛い目に逢うのよ。これが自然界の法則なんだから…”
“君って、心が強いね”
“でもまだ弱いと思うわ、もっともっと強くなりたい!”
トビ色の瞳に憂いを含みながら真剣に話す彼女には引きこまれるような魅力を感じた。なんとか助ける方法はないかと考えたが、カレンの考えどおり警察に相談するのが一番だと思った。麻薬のドロ沼から抜け出すにはキレイゴトではすまないのだ。この兄妹の前途には暗いものが待ち受けているとしか想えず、鉛のように重く不吉な想像が頭の中をかけめぐった。
2013年02月19日
まよいが・・・
市 (2013年02月19日 13:07)
│Comments(2)
│語りのプラザ
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
面白~いです〜。ワクワクさせて頂いて
おります。
ありがとうございます。(=^ェ^=)
薩摩小雪
じつは、今朝考えて「あんまオモシロクない」
と気がついて、連載を止めようかと想ったの
ですよ(>_<)
あの時の自分と今のワシではギャップが
ありすぎてね〜(; ;)かといって書き直すと
すごく不自然になっちゃうし(;。;)オロオロ
まあ、70になって自分の昔の作品がイイ
なんて想ったとしたら酷い痴れ者で^_^;
でも、皆さん&小雪さんが喜んでくれるのなら
いいかと(*^_^*)
なので続きをいきまぁ〜す!(^^)!
面白~いです〜。ワクワクさせて頂いて
おります。
ありがとうございます。(=^ェ^=)
薩摩小雪
じつは、今朝考えて「あんまオモシロクない」
と気がついて、連載を止めようかと想ったの
ですよ(>_<)
あの時の自分と今のワシではギャップが
ありすぎてね〜(; ;)かといって書き直すと
すごく不自然になっちゃうし(;。;)オロオロ
まあ、70になって自分の昔の作品がイイ
なんて想ったとしたら酷い痴れ者で^_^;
でも、皆さん&小雪さんが喜んでくれるのなら
いいかと(*^_^*)
なので続きをいきまぁ〜す!(^^)!