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2015年05月17日

来年の武器

市 (2015年05月17日 12:54) │Comments(8)てっぽ
来年の武器

真実、ああ、この過酷なるもの・・・

来年の武器

 キャンザスシティーに向かう飛行体の中でスタンダールの赤と黒を読んでいたイチナールは、ふと空腹をおぼえた。待望の弁当を開くときだった。けして盗まれることのないように大切に足下に保管してあったデラックス弁当を取り出しおもむろに開き、それをためつすがめつ愛でるように眺めた。まずは注文したとおりに主食が玄米であることを確認し感慨にふける。アメリカではいたるところで玄米にお目にかかれるわけで、これは元気老人のイチナールを喜ばせる一因ともいえた。けして食通でもグルメでもないイチナールだったが、旅に出るときは とくに深刻に考えるような事案もなく、心理的には退屈というような状態だったので毎食の食べ物には、おのずから興味を感じるものである。
 楽しい食事が終わると、飛行機が着陸するまでは もうなにもやることがなかった。昼間から飲んだジン&トニックが頭にまわってスタンダールを読むほどの集中力は失せていた。
 しかたがないのでウスぼけた脳でムーヴァーのことを考えていた。ムーヴァーとはムーヴィング ターゲットのことで、ムーヴァーとはニックネイムのようなものだ。またの呼び名をランニングターゲットともいう。日本語で書けば移動標的ということになる。
 世界には、様々な拳銃射撃の競技があるが、大口径部門でムーヴァーを連続48発、しかも10から25ヤードまでのステイジで撃たせるという競技はビアンキカップをおいて他に類をみない。
 ビアンキカップとは、ホルスタ製作で成功したジョン ビアンキが世界の拳銃射手を一堂に集めて競わせたいと思いついたところから始まった競技で、現代において最も正統な拳銃の試合だと考えられている。じっさい、その競技内容の困難さがゆえに名だたるシューターでさえ怖れをなし、自分はビアンキカップが嫌いだなどと、ほざくような者がいるほどである。そのようなシューターにビアンキカップに出場して撃ったことがあるのかと問えば、答えはノーであり、出場したこともないのにビアンキカップが嫌いだと言う本人は陰では笑いものになっているというのが現状なのである。
 様々な試合に出たという経験のあるイチナールにとってもビアンキカップだけは難敵そのものであった。射撃のコースは4種あり、バリケイドもプレイトもプラクティコォもイチナールはクリーンしたことがあり親近感をもっていたが、とりわけムーヴァーに関しては30年間以上も挑戦しているというのに、一度たりとも満足できる成績を出したことはなかった。もともと拳銃射撃というものは難しいものではあるわけなのに、その上にターゲットが走るというのであるから難度は数倍となる。
 40歳になってから出場したビアンキカップでマルパソの試算では今年で32回目になるそうであるが、マルパソ本人の確認はまだとれてはいない。これについては近々に公式発表がある筈であるというのが巷のもっぱらの評判となっている。
 イチナールは、アメリカ空軍の爆撃が原因となって、物心が付いた頃から貧しい育ちかたをしていたが、それが発条となって頑張りのきく人格が形成されていた。よく考え、よく働き、潤沢な生活も手に入れていた。射撃は金のかかる道楽ではあったが、自分で稼いだ金でたたきあげてきたので、そこらの親のスネをかじって無駄金を注ぎ込んでいる若造たちとは一線を画していた。そういうイチナールも仕事からほとんど隠居でき、いよいよビアンキカップに本腰を入れられるという環境を手にしている。
 いわば今年は隠居射撃元年といえるような年であった。そんなビアンキカップに向かう飛行体の中でイチナールは考えていた。他でもない、来年への作戦計画である。

来年の武器
 射撃練習のための時間と射撃場は確保できそうである。だが問題は他にもある。それは次回の試合に使う拳銃はどうするかということだった。いま使っている銃は二挺あるが、二万発という練習量を考えると来年のためには新しくあつらえた銃が必要だろうと想定していた。それには2011なのか1911なのかと熟考した結果、やはり1911にしようと決めた。そのための候補としてマックが早撃ち競技で獲得してプレゼントしてくれたSTI製のフレイムとスライドが銃庫のなかに温存されていた。それをイチナールはビアンキカップ会場に持ち込むことにしていた。その奈院天威令文はパーツが一切インストールされていなかったので撃てるという状態にはほど遠かった。だが、まずは極上のムーヴァーマウントを吟味して装着しようという目論見があった。その計画を達成するためにはウォーレンに会って談判をする必要があった。この男、一流の機械工でありディザイナーでもあった。しかし彼の新しいムーヴァーマウントには欠陥らしいものがあるとイチナールは考えていた。ここでウォーレンと酒でも酌み交わしながら満足できるマウントを造るよう促すくらいのことをしなければならなかった。
 そうこうするうちに飛行体はキャンザスに向かって降り始めた。つづきはやがて書くとしよう。
来年の武器
 酔って書いているので誤字脱字はゆるされよ。
 by イチタンダール

主婦の小雪さん、こんな読み物でも面白いかい?(^^)
 
 



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Posted by 市 at 12:54Comments(8)てっぽ
この記事へのコメント
イチローさん、最高デス!
只今、サラッと読まさせて頂きました(^^)面白~い
今からじっ~くり楽しみながら読みますぅ!
ありがとうございます☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
Posted by 薩摩小雪 at 2015年05月17日 13:11
イチローさん、今年もミズーリですか。
良い写真、有難うございます。

なかなか飛行体の写真なぞは間近に見るのはめったに無いので、是非このような写真も載せて欲しいものです。
Posted by まぁ~ちゃん at 2015年05月17日 13:34
酒が入っているのでだんだん眠くナール
Posted by 須田浩之スダヒロシ at 2015年05月17日 14:12
ふぉぉぉぉ。
一気に読み込んでしまいました。。。。
体がを動かしたくて仕方ないくらいワクワクがとまらないです!!

お風呂掃除してからハンドガン素振りしよぅ!
Posted by 影斬 電ノ介影斬 電ノ介 at 2015年05月17日 17:46
 なんとも美しい銃です。スライドとフレイムだけなのに、ぐっと心に迫ってくるものがあります。気品を感じます。
 ビアンキカップの上位入賞者の殆どが、1911を使っていますよね。どうして2011を使わないのかと、不思議に思っていました。なんだかここに重要な鍵がある気がします。やはり、握ったときにしっくりくるのでしょうか。特にウィークハンドのときに、握り心地の差が大きく出るのですかねえ(・・? 頭捻ってます。これを考えるのも、僕にとっとは楽しいんです。この先の展開が楽しみです。 
 それにしても、まだ本戦が始まっていないのに、もう来年の手配をされるとは。
 イチローさんのベストが出るように祈ってます。
 
Posted by 松浪和夫 at 2015年05月17日 18:07
眺めるだけのホッコリってどうでしょう。

http://virates.com/funny/0194165
ココらへん。
Posted by 須田浩之スダヒロシ at 2015年05月17日 19:20
ハウディー!

今日は地区の運動会ですた~・・って朝の準備にチョイとカオを出した程度なんだすがね~。
(ノ▽`;) ヘヘヘ

ゴールデンウイーク直後の市週間をなんとか乗り越えてホッと一息♪
信ちゃんが送ってくれたDrPepperをグビグビ飲みながら、アレやコレやとカキコしていたんだす、、いたんだすがしかし!!
イチローさんに先を越されてしまいますた~♪
(*^喜^*)ヾ ワタシマケマシタワ

そーだすよね~♪
イチローさんがビアンキカップに参戦されるというニュースは、モデルガンチャレンジャー1983年7月号のイチロー特集号巻頭ペイジで知りますたので、実に32回目の天下一拳銃大会なんだすね~!!
\(;@〇@)/ ワァ~オ♪

あの時は、テッポの体育会系競技で活躍されるイチローさんを“本当にスゲー人なんだな~!!”と想う反面、破壊力バツグンのマグナムガンとか、2丁拳銃のワイルドな刑事とか、特殊装備に身を包んだSWATなどの紹介リポートが減ったらヤダナぁ、、という気もしますてね。なんていうんだすかね、風吹裕矢がワイルドな街道レーサーを卒業してオトナのプロレーサーの世界に行っちゃったよーなサビシサを子どもゴコロに感じたりもして、羽ばたくイチローさんを手放しで喜べない自分がいたりもした18歳の夏・・って、おいらはムカシから面倒くさい読者だったんだすね~。
(ノA`;) スンマソン

ともあれ。その年に生まれた赤ん坊が32歳のオトナになるホドの間、熱意と創意工夫で大金を文字通りケムリに変え続けてこられたからこその(←スゲー誉めてます)練習だったり、対策だったり、手首のイタミだったり、赤と黒を読むヨユーだったり、早々と来年の作戦を構想する先見力だったり、自己分析力だったり、愛でるよーに眺めるデラックス弁当だったりするんだすねー♪(1つ余計)
∈`∀´∋ ドントコイ♪

にしても、、
スライド&フレイム状態から組み上げていく奈院天威令文って、真っ白なキャンバスみたいで、どんな作品が描かれるのかスゲー楽しみだすね~♪
o(^-^)o ワクワク


追伸チカモクド:
今回、映画館で居眠りしながらご覧になる作品は(失礼な文書)トモさんと旅行中というコトもあり、トモクルーズ主演の最新作「ローグ ネイション」だとミタ!!
m9`▽´) ズバリ

・・と、想ったけれど、飛行機だし、まだ全米でも公開されてナインだすね~と後悔している日曜日の昼下がり(なんだコレ?)


by 想いついたコトはとりあえずカキコしちゃうというスタンスの カマッテちゃん成分ダダ漏れなオトコ
Posted by マルパソ88 at 2015年05月17日 21:49
そこはジン&トニックじゃなくてギムレットでしょう!と思わず突っ込みを入れてしまいましたが、
超下戸の私も、どうしてもアルコールを飲まなくてはいけないときは、
「ジントニック・・・ジン少なめで(敢えて三船敏郎風に男っぽく)」と注文します(笑)。

さてさて、それにつけてもカスタムガンのブランク材の美しいこと。
手が入って完成された銃も魅力的ですが、「素体」の状態は
材質の良さなんかも伝わってきて思わず溜め息。
昔、彫刻家で「石の中に、最初から像はある。自分はそれを彫り出しているだけだ」と語った人がいたそうですが、
このブランク材を見ているとちょっとわかるような気がしたりしなかったり(どっちやねん)。
またまた楽しみが増えました。

余談になりますが、カスタムベースに1911を選べるだけでも羨ましいです。
ジャパンでは、ガバ系のインターフェイスを望むと、
ほぼ自動的に2011になってしまいます。
1911のプラフレイムでは、マウントもシュラウドも取り付け強度に不安があったり、
バリケでしなったりするもので・・・。

自分の手の小ささが恨めしいです。
Posted by ルシファ at 2015年05月17日 22:16
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