TACTICAL LIFE

WCSの試合は終わった

そこで市は仲間を集めて訓示をした

「諸君は射撃の試合は挑戦なんだと
想っているだろうが、じつはこれは
ゲイムにすぎない･･･道楽だ。
本当の挑戦とは、自分を律することだ。
自分を律するのなら、まずは健康に
なるための努力をしろ。
デブデブと太った自分を恥ずかしいと
想え!･･･太りすぎの自分をけっして
許さないという気概を持て・・・」

市は、いつになく不機嫌であった。
それにはワケがあった。

練習中のこと、市の旧友が
くも膜下出血で倒れたのだ。

この脳内出血は、倒れたら死に至る
か昏睡状態に陥る可能性が50%もあり
社会復帰の確率は低いという難病だ。

楽しい射撃大会にあって、このことは
市の脳裏の片隅で虫歯のように痛みを
発していた。

倒れた旧友は優秀な男で、
射撃が好きであった。
だが、酒とタバコの罠にかかり
不摂生な生活をし睡眠も充分では
なかった。

くも膜下出血で昏睡状態になったら
もうなにもできない。
この残念さが市の心に痛みを与えて
いたのだった。

そういう気持ちで
ピギヨシトモバットンを観ると
その太りようにイヤケがさしていた。

この逆仏候補の親不幸者たちが･･･

今、しっかり言わないと後で後悔する
ことになる。
キッチリと伝えるべきことを
伝えておこう。
体重を減らし健康になるということは
並大抵のことではない。
食事を制限するということは
辛いことだ。
なので、どうせ真摯に受け止めは
しないだろうが言うことだけは言って
おこう、そし訓示の場面を撮影して
おこう･･･と、考えたのだ。

“いいか、食を控えて体重を落とせ。
辛いことに挑戦することに喜びを
感じるのだ･･･”

美味い料理を食ってネットで自慢を
し合うという、この飽食の時代。
市の言うことは逆行している。

今の今を楽しむ、、それが
どうしていけないのか?
という批判は多いだろう。

そういった反論に対する抗弁の能力
を市は持ち合わせていない。

ただ、自分の信念として伝える
ことしか術のない市であった。

食いまくることの快感よりは
健康な身体で生活するほうが
快感度は高いはず･･･

と、そう考える市のような人間は
時代の波に吞まれて消えるしかない
ないのであろうか。

なお、このような事を書くために
世の中のメタボ族とニコチン中毒者は
市を嫌うのである。(^○^)