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2014年01月28日

SATマガ発売でぇ〜す♪

市 (2014年01月28日 00:00) │Comments(14)語りのプラザ
イチローさんお疲れ様です。 マリポサで見せていただいたイチローさんの速射は驚きの連続でした。で、いよいよビアンキの練習ですね。ご活躍を楽しみにしております。 ところでSATマガジンの記事を読ませていただきましたよ~。 久々のストーリー記事に興奮しました。きっとマルパソさんも大騒ぎでは(笑) 続きを早くよみたいですねぇ。宜しくお願いします~
哲也

おおう(^-^)
もうSATマガ発売なんだね〜♪

では、そのショート小説のオサワリを
載っけますから続きを読みたいヒトは
SATを立ち読みorゲットし、鑑賞して
くださいな(∩.∩)

      ★ただの老人★
 そんなある時、変わった事件に遭遇することとなった。
 それはいつものように「電話による突然の呼び出し」から始まる。
 コールしてきたのは、FBIのある部署の管理官、会うのは初めてだった。ミーティングの場所は夕刻の公園であり、彼はランニング姿で走ってきた。
 出逢うなり50歳ほどに観える彼はシゲシゲとのぞき込むようにしながらこう言った。
 “資料から優秀な仕事をしてる男がいるのを見つけましたが、なるほど想像どおりに、ただの老人なんですね~”
 と、ていねいながら無遠慮に言う。大学出で出世している苦労知らずな捜査官独特のいやらしさを感じたので楽しく応える気持ちが失せてしまった。
 “で、ご用件は?・・・”
 と、ビジネスライクに聞く。
 すると彼は真顔にもどった。
 大きな息を吐いてから用件を切り出す。
 “じつはですね、ハンターの中に心配な男がいるのですよ・・・”
 “心配とは?・・・”
 “身体が弱っているのです・・・病気ではないのですが、83歳という老体なのですよ・・・”
 “ふむ、歳とって弱っていてもハントを止めない、というわけですね?”
 “そうなんです、いくら説得してもぜったいに止めないと・・・”
 “すごいマインドセットの持ち主ですね? どういう理由かご存じで?・・・”
 “イエス・・・”
 そう言って管理官は視線を地面から空に移し、しばらく考えていた。そして話した。
 “彼はですね、若い時に最愛の妻を犯されたうえに殺されたのですよ・・・”
 “なるほど、ハンターとなるには充分な動機ですね・・・それで?・・・”
 なんとなく口の重たくなった管理官に続きを促す。正直なところ映画みたいに面白いハナシだと感じていた。
 “それ以来、彼は退職して熱心そのものなハンターとなりました。射撃の腕は一流で、判断力にも長けています・・・なにしろ彼はFBIのトレイニングユニットに在籍していた教官だったので・・・そして、とても良い夫であり、素晴らしい父親でした。彼には子供が1人あって、その子に寂しい想いをさせていることに関してもとても悩んでいました・・・”
 そう言いながら空に向けている管理官の目には潤いが増した。
 “・・・で、私になにかを頼みたいと?・・・”
 と、本件に入るよう促す。
 “・・・守ってほしいんです、あなたに・・・”
 “守るって?・・・”
 “彼がハントするとき、見守っていただきたいのです・・・”
 “私が彼の後をつけて現場に行き、何かがあったら助けろと?・・・”
 “はい・・・そうです・・・”
 管理官の声は力をなくしていた。
 “あのね、そんなこと可能だと想います? ・・・我々のハンティングは、すべては一瞬にして起こり、瞬時に終わるのですよ、それを離れたところから助けるなんて、あなたはそれが可能だと考えるのですか?・・・”
 “・・・イエス・・・いえ、ノーです・・・”
 管理官の視線は地面に落ちた。アメリカ人のボンボンにしては憂いのある男だと感じた。いったい、この男は・・・? 興味の対象が管理官に移った。ロウエンフォースメントに身を置きながら、言うことが変だと感じていた。CCW界のハンターを他のハンターに守らせるなどという発想からして幼稚というか現場を知らなすぎというか・・・、呆れた男だと想われても仕方がないだろう。それに本人は呆れられているのを自覚しており、それを覚悟で話をしているという風情だった。
 数分の間、互いに無言だった。
 “ヘイ、若いの・・・そのオジイさんだけど、CCWを取り上げてダウンタウンに現れたら市警察に行方不明者として保護させ、どこかに閉じ込めるという寸法はないのかい?・・・もちろん、それは考えたろうけど、それが出来ない理由があるわけだな?・・・”
 と、いきなり打ち解けた口調に切り替えて話しかける。
 “ええ・・・それはもちろん考えたのですが、それでは本人があまりに可哀想で・・・”
 “本人が可哀想だなんて、それは警察官の考え方ではないな・・・で、ほっとけばオジイさんはハントしそこなって死ぬ可能性が遠からずあるわけだが、その方が可哀想ではないのかな?”
 “・・・はい、でも・・・本人はそれを望んでおり、私としてはそうさせてやりたいと・・・”
 “ほほう、とんでもないことを言う管理官ではないの・・・善良なる市民が路上で闘って死ぬのをほっといてやろうとはね・・・”
 “いえ、ただ私は本人の意志を大切に・・・”
 管理官の苦痛の色は濃くなった。
 “・・・なるほどね・・・そうか・・・君は、その老ハンターの息子というわけかな?・・・”
 それほど自信があったわけではない、が直感で言ってしまった。
 “!・・・”
 明らかな手応えがあった。
 うつむいている管理官の肩をポンと叩いて立ち上がる。
 “いいか? 聞け、ジャパンではな、人と人とが腹を割って話をするときは、酒を飲みながらやるもんなんだ。だからひとつこれから静かなバーに行って相談しよじゃないか・・・ここにいるこのただの老人が君のパパを助ける相談に乗ろうじゃねえか若造よ・・・”
 すると、管理官はニガそうな笑いを浮かべながらも、いそいそと立ち上がった。



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Posted by 市 at 00:00Comments(14)語りのプラザ
この記事へのコメント
発売しているものは買わねばなんめーでしょう。

冷やし中華はじめまし・・・・いや、ワンショット1秒、始めました。

杖突いてなので。
そう術のホンも一緒に探しているところです。
Posted by 須田浩之スダヒロシ at 2014年01月28日 01:36
ハウディー!

テツヤさ~ん(^〇^)/
イチローさんのリポートに挿入されてる小説、大好きだす~♪
美しいフォトで紹介されるガンの魅力とイチローさんの描くテクニック描写の相乗効果にメロメロメロゥとなりますて(なんだコレ)、同型のモデルガンを買いに走るというおいらですた~♪
(=^∀^=) ウフフフフ

「タマ切れのガバ」を装ったM59で敵を撃退するストーリーや、
尾行する敵のクルマを一旦引き離し、曲がり角で迎撃するスィグのストーリーなどなど夢がモリモリで、ごはんがごはんがススムくん状態ですたよーん♪
o( ^▽^)/▽ オカワリ

今回の小説も楽しみだす~♪
o(^▽^)ノ ヒャッホウ

でもね・・
ナイン州は29日にならないと本屋さんに
並ばないんだす~!
並ばないんだす~!
並ばないんだす~!
ヾ(TдT)ノ ウワァァァン

なのでね
♪(・∀・) ケロリ

明日が楽しみだす~♪♪
o(^▽^)o ハヤクコイコイハツバイビ
Posted by マルパソ84 at 2014年01月28日 14:19
>曲がり角で迎撃するスィグのストーリーなどなど夢がモリモリで・・・。。。まるぱっそーん! あのストーリーを書き起こしてここに載せることなんてヒマはないけや??
Posted by 市 at 2014年01月28日 14:58
 お世話様です。
今日は高校の体育館の雪堀を! してました~ (^0^)」

あ~その記事を読んで!! 自分SIGプロが好きに成ったのですねぇ~ (*^0^*)

 マルパソさん
SIGありがと~ m(_ _)m
Posted by KO-1 「笛木 孝一」 at 2014年01月28日 19:38
はいい~っ♪ヒマもヤル気もモリモリだっす~♪
(^〇^)/ オーッ

明日 押し入れ、、もとい、、書庫をゴソゴソしてくるだす~♪
m(_ _)m シバシオマチヲ
Posted by マルパソ84 at 2014年01月28日 19:50
>>曲がり角で迎撃するスィグのストーリーなどなど夢がモリモリで・・・。。。まるぱっそーん! あのストーリーを書き起こしてここに載せることなんてヒマはないけや??

→私からもお願いします、マルパソさん<m(__)m>。
スコーピオンの記事の時も有りませんでしたか?
Posted by CYPRESS at 2014年01月28日 23:05
自分も職場でこの記事読んで、仕事帰りに慌てて本屋に行ってました。

今回の小説も大変面白かったです(「第一章 完」って事は続編あるんですか?!)。
それと丁度、この前のブラックホールで、タスコジャパン(現サイトロン)のミニミルダットが安値で買えました。
やっと「狙撃拳銃」に出来るようになった喜んでたところなので、余計に興奮してました。
でも、現在、ダットサイトを載せたハンドガンが入るホルスター無いんですよね…(汗)
「タクレットL」って、どうなったんでしょう?

>曲がり角で迎撃するスィグのストーリーなどなど夢がモリモリ
それって、確かSIG PROの時ですよね?
自分もまた読みたいです。
Posted by Q太郎 at 2014年01月28日 23:36
ハウ・・

\(;;〇△〇;;)/ ギャッ
\(;;〇△〇;;)/ ギャッ
\(;;〇△〇;;)/ ギャース!!

ありまへん!!
ありまへんがな、スィグの本!!

今朝、実家に行く
→スィグの本を引っ張り出す
→11時までにバリバリとやっちける
→イチローさんがアップしてくれる
→一躍ヒーローになれるルルル~♪
( `▽´)/ フハハハハ

、、と思って実家に行って書庫、、イヤ、タダの押し入れから97~99年頃にアタリをつけてダンボール箱を引っ張り出したらば・・・

「98年10~12月号貸出中」の付箋紙があああ
(;;◎◇◎;) エエエエ~ッ

たしかウイルコックスのライトを装着したスィグプロの表紙の本だったと思うんだす~!!!

し、し、しかし無い!!
ナイナイナイ!!!!
(;;〇△〇;;) ドーシヨウ

し、し、し、信ちゃん!!!
新居のテレビの左横の長~~い本棚の上段左側にコンマガ積んでるだすよね?
積んでるだすよね?
ね?ね?
不甲斐ないおいらに代わってやっちけてはくれられられられれんだすかね~ッ!!やっちけてはくれられられられれんだすかね~ッ!!

イチローさん、CYPRESSさん(小説はスコーピオンの時にもありますたねーっ♪)、Q太郎さん澄ミマセヌ・・。
(ノ_・。) モーシワケナイダス

by 世界中から “なんだコイツ(*゜д゜)、ペッ ” という大ブーイングを浴びている気がして昼ごはんがノドを通らないような、そんなことなさそうなナニガナニヤラなオトコ
Posted by マルパソ84 at 2014年01月29日 10:22
>by 世界中から “なんだコイツ(*゜д゜)、ペッ ” という大ブーイングを浴びている気がして昼ごはんがノドを通らないような・・・(^_^)マルパソや、まあそんなこたあるさ〜(^^)いちいちそんなことで責め立てるワシではないよ(^-^)気にしない気にしない・・・と言いながら心の底では “なんだコイツ(*゜д゜)、ペッ どこのやつじゃないぞぉ〜、、北朝鮮の収容所に10年は容れないといかんな〜” みたいに想っては・・・いるかも(^○^)(^◇^)
Posted by 市 at 2014年01月29日 11:38
o(;;〇△〇)o ワワワワワ

・・と慌てちゃったりもしたけれど私は元気だす♪(なんだコレ)

先ほどホットラインで信ちゃんに泣きついて、丸投げに成功して、ホッとして、ホットなお好み焼きを焼いているおいらだす~♪
イチローさん、CYPRESSさん、Q太郎さんっ。
信ちゃんが寝ずにバリバリとカキコしますのでしばしお待ちくだちい~♪
m(_ _)m ナニトゾ

信ちゃーん、今宵は愛猫ラムちゃんと遊ぶのはガマンしてカキコをしくよろ~ッ♪報酬にパラコードを60センチあげよう!(ケチだなー)
(・ω・)/ タノンダヨ

by イチローさんファンとして、いや、社会人としてなにかと足りなさ過ぎる文章を収容所でカキコしている妄想をしてみたらスゲー怖かった、という全く頼りにならないオトコ
Posted by マルパソ84 at 2014年01月29日 12:33
(^O^)ハウディ~!


♪つー ばァ~~きィ
はくゥー♪
まかせてちょ~ヨンピル。
世界の中心で‥否、実家の押し入れ書庫の前で叫ぶマルパソ兄ちゃん。
いつもなら、お願い事あっても細々した声でボソボソ遠慮がちに言う彼から、仕事中にホットラインでエラい強き発言。

“新居のテレビの左横の長~~い本棚の上段左側にコンマガ積んでるだすよね?”
ナンデスカ?ヤブラカボーに。ど~してソレを?
俺の目を盗んだナァ~!(インターセプターか)
空から衛星で監視してんか?
夜な夜なブルーサンダーで窓から覗いてたのか(ウィスパー モードで)


SIG PROの記事ちゅーたら、ペリカン ケイスのシリアルナンバーがどうやとか。
アイスティーやナゲット買うた話ね?

寝ぼけ眼のイチローさんが、FBIのオナゴに電話で起こされる…て、ありゃM84か(笑)


あのコンマガは押し入れ書庫に入れてたら、前の前の嫁(ゆうひめの前)に、除湿材を倒されて。
所々ペイジがヘロヘロなんだな。子供ん時に河原で拾ったエ○本の如く慎重にページを捲り、陽向ぼっこさせたらバリバリなんだけどダイブージョ、マイフレンド(^_^)v


タクレん中の相棒がWEブレラPx4サブコンになり。
以前まで愛用していたKJ G19を9州に丁稚奉公に出した男より。
Posted by 信玄 at 2014年01月29日 15:04
(^O^)ハウディ~♪


マルパソ兄ちゃんは‥
世界中から “なんだコイツ(*゜д゜)、ペッ ” という大ブーイングを浴びている気がして昼ごはんがノドを通らないような・・・
あう~(∋_∈)
ボクなんか、ムカーシKSCのお客様アンケートに応募して。見事に当選したプレゼントのSIG PROを、届いてから15分で手放した過去があるだけに、このガンの名前を聞くだけで胸が苦しい(ウソ。

そりゃね~。
ボクもイチローさんのリポートに挿入されてる小説は大好き♪各メイカーや、ガンスミスの方との、人との出逢いのドラマも大好き(ウェイン ノヴァックさんの話は良かったナァ~)
マルパソ兄ちゃんと同じく、美しいフォトで紹介されるガンの魅力。
イチローさんの描くテクニック描写の相乗効果にゾッコン。
レポートされた同型のモデルガンを買いに走るという所も同じ(なんてミーハーな)

だから‥
だから、せめても手放した罪ほろぼしにコンマガのSIG PRO記事コピペいたしますですよ~。


あ、小出しで出すのはボクがイケズでなくて。
朝は4時半起きで帰宅も遅いので、そこんとこヨロシク(ここんとこご無沙汰‥てナニが^_^;)
Posted by 信玄 at 2014年01月29日 21:29
THE SIG PRO

by Ichiro Nagata


 事件や災難といったものは、前ぶれなく突発的おこるものだ。日頃の平和な生活の中で考える「死」は、現実感などなくて、遠い未来のことか、または他人事くらいにさか思えない。
しかし、長い人生のある瞬間、それも唐突に、人はどうしようもなく災いの渦に巻き込まれてしまうことがある。まるで運命のツメに引っかけられたように‥‥


先日、こんなことがあったのだ。最初のところから詳しく書いてみるよ。
6月28日の夕刻、ワシはサンフランからサンディエゴに飛行機で飛んだ。
空港で、ニューハンプシャー州から着いたばかりのジム社長と落ち合った。
ジムは、ウィルコックス社の社長。秘書のバーバラと営業部長のボブも一緒だった。
大型のペリカンケイスが3個、スーツケイスは四個とうい大荷物だったので、社長はクライスラーのミニヴァンをレントした。


“ハイアットリージェンスィーなんてイーチの気に入るかな‥?”
7人乗りのゆったりしたミニヴァンでダウンタウンのホテルに向かう途中、ジムがワシに聞いた。運転はボブだった。
“そんな高級ホテルは好みじゃないな、そんなカネがあったなら火薬とブレットを余分に買って、もっとカップの練習をしたいよ”
ワシは、遠慮なしに言った。
“まあ、そう言うなって、ウィルコックスはキミのスポンサーなんだから、ブレットなんか家の床がヒシャげて地面が窪むほづ送ってやるからさ…たまには南キャリフォニアの豪華な空気を吸って、楽しくやろうよ…
といっても明後日からはミリタリーベイスに閉じこもっての仕事が続くんだがね…”

 ワシは、ウィルコックス社の開発アドヴァイザーだった。特殊部隊向けのプロトタイプができると、それをテストして、改良点を指摘するのが役目だった。
ウィルコックス社には、多くのエンジニアが働いているが、彼らが造った製品が実際に役立つかどうかのテストができる人が居なかった。そこで、スワットやシューティングの経験豊富なワシに役がまわってきたのだ。 その報酬として、ウィルコックスワシのビアンキカップのスポンサーになり、試合参加の費用などをヘルプしてくれるのだった。

今回の仕事は、サンディエゴの基地でパワーグリップとM4の組み合わせでナイトシュートのテストに立ち合うというものだった。
Posted by 信玄 at 2014年01月29日 22:19
テストをするのはスィールズの隊員達で、月曜日の夜から始まることになっていた。
サンディエゴには、大規模な軍港がある。空母や潜水艦も多く出入りし、トップガンのスクールもあればスィールズの訓練基地もそこにあった。

“まだ陽も高いし、どうだ?
ホテルに入る前に国境線でも見物するってのは…”
“まあ、いいわね、私初めてよ…”
と、若くて美人のバーバラがはしゃいだ。
“よーし、じゃあ、そこのフライドチキンに寄って、チキンナゲットとアイスティーを買おう。遠足気分を出そうってわけだよ”
 それを聞いたボブは、機敏にミニヴァンを駐車場に停め、チキンを買うためにサッとクルマを降りた。営業という仕事がらなのか、頭の回転や身のこなしも良い。
“ヘイ、待ってよボビー、私も行くから…”
 バーバラが小走りでボブの後を追った。
“…可愛いよね、バーバラは…”
と、ワシはあたりを見回しながら言った。
“ウン、あれで頭の回転も良いしね…忙しい時の残業や土曜出勤もイヤがらずにやってくれるんだよ”
“仕事を大切に考える女は、男もそうだけどさ、やはり魅力があるよね…”
そんな会話をしていた。
あたりには人がいなかった。
駐車場には一台のクルマさえ見えない。日曜日の午後はヒマな時間帯らしい。その静けさが気になってワシは外に注意を払っていたのだ。
そして。
まさにその時だ、一台の古いワゴン車がゆっくりと現れた。そして、植え込みの向こう側に停まった。50mほど離れていた。
チキンを買う客だったら、もっと近くに停めるハズ。かと言って他に店があるわけでもなかった。樹木がさえぎっているので見えにくかったが、ワシもジムもジッと観察した。
“あのエコノラインは、30年モノのアンティックだよジム…”
“…よく知ってるな…”
“モーターサイクルをアレに積んで野山に出かけるのが夢だったんでね…”
“…だけど、今どきあんなのに乗ってるヤツは、犯罪に関係してるのを宣伝してるようなもんだぜ…”
ジムの言葉は、半分真剣だった。

そして、その時、別のクルマがエコノラインに寄りそって停まった。これも年代モノだった。60年代の大型なアメ車だった。
ワシはスッとウィンドウから顔を退けた。ジムも同時に同じことをした。
何が起こるか、あるいは何も起こらないのか知らないが、あの連中と視線を合わせるのは不必要なことだった。
Posted by 信玄 at 2014年01月29日 22:20
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