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2015年12月09日

SATマガの記事より

市 (2015年12月09日 14:57) │Comments(24)訓練記事


あのイチローさんと日本で会える!?
その第一報が届いたのは、2015年7月のこと。イチローさんのブログで発信された、“ジャパンに行く予定がたちました♪”という報せに、全国のファンがどれだけ興奮したかは想像に難くない。憧れのイチローさんと日本で会えるなど、ほとんどのファンは夢想だにしていなかったことだろう・・・・・・。

“イチロー ナガタ”という特別な存在。
その名に尊敬の念と憧れを抱いているガンマニアは日本国内だけでもかなりの数に上るだろう。美麗極まる芸術的な写真と、斬新な切り口のレポートで数々の名銃を日本に紹介し、トイガンシーンを常に牽引して来た偉大な人物。
「月刊Gun」をはじめ、「COMBATマガジン」、「モデルガンチャレンジャー」といった、代表的なガン&ミリタリー専門誌をまたに掛け、長年にわたって活躍したのは、後にも先にもイチローさんただ一人だ。
それも、
“銃本来の性能を読者に伝えるためには、レポーターが一級の射手でなければならない”
という強い信念のもと、自ら様々なシューティングマッチに参加。ビギナークラスからスタートし徐々に成績を上げ、ついには最上級シューターへと上り詰めて行く様子が克明に綴られたレポートは、多くの読者を強烈に魅了した。
それまで、銃そのものを愛でるといった楽しみ方しか知らなかったガンマニアが、射撃という「行為」にも興味を持ち始めたのは、間違いなくイチローさんの影響によるものだ。
そんなイチローさんが2011年、インターネット上に突然ブログを開設された。
それまでは雑誌メディアで、月に1回発信されるだけだった最新の情報が、惜しげもなく連日公開されるという驚き。それまでは想像するだけだった、イチローさんの鋭い動きや、柔らかく響く肉声が、動画を通じて見聞き出来るという、今という時代ならではの喜び。さらには、ブログ上に書き込んだコメントに、イチローさんご自身がレスをくださるという夢のような現実。新鮮な文章から伝わって来るイチローさんのお人柄に、長年のファンはもちろんのこと、新たなファンが続々と増えて行ったのだ。
そのブログ「TACTICAL LIFE」にて先述の通り、9月の来日と、茨城県のサバイバルゲームフィールド「特殊作戦群区」内に常設された「JWCS公式レンジ(※現在は閉鎖)」、そして埼玉県の「田村装備開発トレーニングセンター」にて、イチローさんの直接指導による射撃訓練が行われることが電撃発表されたのだから、全国のイチローファンは上を下への大騒ぎ!
JWCS公式レンジでの訓練の参加枠は当初50名を予定していたが、用意されたエントリーチケットは一瞬で完売。会場のキャパシティ上ギリギリとなる10人分の枠を追加し、訓練は総勢60名で行われる運びとなった。


会場に続々と集まる笑顔また笑顔

美事な秋晴れに恵まれた、訓練当日の2015年9月23日(水・祝)、会場となるJWCS公式レンジには、遂に迎えたこの日を待ち望んだ参加者たちが続々と集結! 筆者は主催者側スタッフとして、受付業務を行っていたのだが、すべての参加者の輝くような笑顔と、全身から喜びが満ち溢れている様子を見て、なんとも言えない充足感に包まれた。
エントリー手続きにともなうやり取りの中、サバゲもシューティングも未経験で、この日のためにエアガンとホルスターを買ったという方もいることがわかっていた。訓練について行けるだろうか? と不安をこぼす方もいたのだが、そういった想いを遥かに上回る喜びのエネルギーが、肌に感じられるほどに強く、会場に充満していたのだ。


ガンハンドリングとドロウの基礎

まずは訓練会場に並んだ参加者をゆったりと見渡したイチローさん。全員の装備やたたずまいから、全体的なレベルのバラつき具合を確認されたのだろうか。まずはガンハンドリング(銃の扱い方)の基礎から、この日の講義がスタートした。
銃を撃つ時にとるべきスタンス、グリップの握り方、トリガーの引き方など、あくまで実銃を扱うことを前提とした教えを授けてくれるイチローさん。
ドロウから射撃を行い、ふたたびホルスターへと戻す基本動作を全員に実地練習させた後は、その動作に含まれる重要なポイントを解説してくれた。
射撃を終えて下ろした銃のマズルが、自分の身体に向いてしまうことを避けるためには、どのような動きを心がけるべきか?
銃を戻す際にはホルスターに目線を落として、その位置を確認する必要があるのは何故か?
すべての参加者が理解出来る平易な言葉で、ひとつひとつの動作が、何故そうすべきであるのか? という理由を、丁寧かつ合理的に解き明かすイチローさん。
その口調はあくまで静かだが、しかし有無を言わせぬ説得力に満ちており、参加者たちはひと言たりとも聞き逃すまいと全力で聞き入っているかのようだった。
ホルスターから抜いた銃で撃つ1発目の弾丸、すなわち“初弾”を、正確に、それも出来るだけ素早くターゲットに当てること。
競技射撃はもちろんのこと、実際の戦いにおいて最も重要なこの技術を身につけること。そして、強いマインドをもってそれを実行するということが、ここまでの講義のテーマであった。
イチローさんが誰かに射撃を教える際、その生徒にはこのように言われるそうだ。

“射撃ってのはなぁ、お前が考えているより、ずっと難しいものなんだ。”

そして1年後、その生徒が腕を上げて来た時にはこう言う。

“射撃ってのはなぁ、お前が考えているより、ずっとずっと難しいものなんだ。”

さらにその1年後には、

“射撃ってのはなぁ、お前が考えているより、ずっとずっとずっと難しいものなんだ!”

以下、その繰り返しなのだという。
つまりは、射撃の道にゴールは無いということで、そう言うイチローさん自身でさえ、さらなる高みを目指して、日々を必死でもがいているのだ。
人間である以上、完璧な射撃を毎回行うことは不可能といえる。それでも「完璧な射撃」に出来るだけ近付くために撃ち続けて行く。
強いマインドを持つ、というのは、そういうことなのかもしれない・・・・・・。


二重円陣を組んで撃ち合う、実戦形式訓練

ドロウからの射撃をひととおり練習したところで、屋内のシューティングレンジから、屋外フィールドへと場所を移し、訓練はいよいよ実戦形式へと進む。
砂利敷きのフィールドに出た参加者たちは、イチローさんの指示のもと、まずは大きく二重の円陣を作った。
あらかじめ赤、青、黄色、白と色分けされた、直径240mmのABSプレートを全員が胸に下げていたのだが、これは銃弾が命中すれば確実に倒れる位置、バイタルゾーンを表している。つまり、このターゲットに命中させない限り、相手は確実に撃ち返して来るというわけだ。
各人、同じ色が並ばないよう適度に散らばり、イチローさんの号令で内側の円陣は時計回りに、外側の円陣は逆回りにそれぞれ歩き出す。

“撃て!”

というイチローさんの合図とともに、内と外の円陣同士、自分の下げたものと違う色のターゲットを探して狙い撃つのだ。
サバゲ経験者でも、こういった形で撃ち合うのは初めてだっただろう。撃つべき色のターゲットを瞬間的に見つけ、素早く狙いをつけて正確にトリガーを引くというのは、相当に難しい芸当だ。咄嗟の状況に判断が追いつかず、やみくもにトリガーを引いた参加者が多かったようで、ターゲット以外の部分に被弾した痛みによる小さな悲鳴が、あちこちから聞こえて来た。
内と外のメンバーを交代し、円陣の回転方向も逆にするといった形で回数を重ねると、全員がかなり落ち着いた射撃を見せるようになったのだが、訓練はさらに難易度を増して行く。
今度は「撃て!」の合図とともに、隣の味方の後ろを通った上で、先と同じ射撃をするというメニューが開始された。
当然、味方の後ろを移動する時は、銃口を地面か空に向けて、安全を確保する必要があるのだが、敵側が撃って来るというストレス下においては、正確な動作が出来なくなるのだ。
この後さらに、「味方の前を横切ってから撃つ」というメニューが追加されたのだが、自分が前を通っているのに銃口を下げていたり、味方が前方にいるのに銃口を上げていたりと、もはや身体と頭がバラバラ状態。
ターゲットを狙い撃つだけであれば可能でも、それが撃つべき色を識別し、尚且つ横に移動し、さらに銃口の向きを意識する必要も生じるとなると、もはや別次元の難しさとなる。
身についていない技術は、実戦の場ではまったく実行出来ない。
つまり、こうしたシチュエーションでの訓練を十二分に積む必要があるのだということを、多くの参加者が身をもって痛感させられた内容だった。


1発外したらアウト! わずか35発の必中訓練

実戦形式の訓練を終え、ふたたび屋内レンジに戻った参加者たちには、新たな試練が与えられた。それは、JWCSというシューティングマッチに使用する全7ステージを常設した、JWCS公式レンジの環境だからこそ出来る訓練メニューだった。
まずは5発で当てる感覚を身につけるべく、各人それぞれにJWCSのステージを選び、試合形式でタイムを計っての射撃を行った。
そしていよいよ訓練本番。横1列に並んだ各ステージを5発でヒット出来たら、隣のステージに走り込み、また5発を当てたら隣へという具合に撃ち進む。
つまり、「全7ステージ35枚のターゲットを、1発も外さずに撃つまでのタイムを競う」という恐るべき内容だ。1発外したらそこで終わり! というルールは、凄まじいプレッシャーとなって参加者たちに襲い掛かった。
序盤のステージであえなく外して肩を落とす者、最終ステージの最後の1発を外して、その場に崩れ落ちる者。そこでは様々なドラマが展開されたが、たった35回の射撃が、「外したら終わり」という枷を与えられただけで、かくも厳しい難行となる。
しかし考えてみれば、銃を使った戦いの場で、「外してもいい状況」などあるはずも無く、どんな状況でも必中の一撃を放てなければ、生き残ることなど出来ないではないか。
生きるか死ぬかの戦い、という土壇場でのプレッシャーに較べたら、この程度の射撃など完遂出来て当然だろう。逆に言えばこの程度のプレッシャーに勝てずして実戦の場に立つことなど、到底出来ないはずだ。

一撃必殺。

過去の銃器雑誌のレポートで、イチローさんが何度と無く書かれて来たこの言葉が、ガンファイターとして最も必要とされる要素であること。それが今回の訓練を通じて、ようやく胸に落ちた。
そう思うのは筆者だけではない、と確信している。


夢のような一日を終えて

あっという間に過ぎ去った素晴らしき一日。憧れのイチローさんから、直々に訓練をつけていただいた、というこの日の体験は、すべての参加者にとって、今後の人生を明るく照らしてくれる最高の思い出となることだろう。
上述したJWCSステージを使っての必中訓練において、あえなく失敗した者には叱咤激励を、美事クリーン(=満射)した者には、惜しみない賞賛の言葉をかけてくれたイチローさん。その暖かい優しさに触れた参加者の皆が、どれだけの感激を味わったことか!
主催側の立場として、仕切りの部分で反省すべき点は多々あったが、訓練に参加したすべての人の、心からの最高の笑顔には、救われた思いだった。
幸運にも筆者は、アメリカでイチローさんのお宅にお邪魔し、その素晴らしい人となりに触れた経験を持っている。だからこそ、今回の訓練に参加された皆さんの気持ちが手に取るようにわかるつもりだ。
イチロー ナガタという人物は、我々ファンが長年想い描いて来た理想像をあっさりと塗り替え、改めて憧れてしまうほどの魅力を持った、本当に凄い人なのだ。
 
最後に、訓練終了後に設けられた食事の席で、筆者がイチローさんから授かった教えを記しておこう。
YouTubeで見られる、アメリカで実際に起こったシュートアウト(銃撃戦)の動画には、驚くべき至近距離からの、無茶苦茶な撃ち合いの様子が収められている。
そんな地獄の釜の底ような状況下で冷静に狙いをつけ、バイタルゾーンを一撃で撃ち抜くような芸当は、どうやったら出来るのですか? と質問した筆者に対し、イチローさんはただひと言、

“訓練だ!”

頭をひっぱたかれたような、衝撃の教えだった。イチロー射撃訓練の参加者よ、これからもお互い精進しようではないか!

Text by 金子カズヤ

ワシ、ただ普通のガンオタクなのにカズヤはちょっとオオゲサだね・・・
でもあの日の、表現に窮するような、なんというか・・すごく暖かい空気が立ちのぼる雰囲気の訓練は初めての体験だった。
参加者の喜びのオーラが充満していると感じていた。
人々に感動してもらえるのは、とても嬉しいことだとつくづく想ったよ。
ありがとう、皆さん(^-^)/

死ぬまえに、もいっかいヤリタイ(^○^)
市  


Posted by 市 at 14:57Comments(24)訓練記事